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伝記

フリーな1日何しよ!

「あった私の番号!」

合格番号が貼られた掲示板を夫と雪が見ている。良かった第一希望の高校受かって。

倍率が2倍近くあり塾の講師からも厳しいと言われていたから、半ば私学を覚悟していたけど何とか公立に受かったよ。


「早くママに報告に行かなと!」

「じゃー帰りそのまま墓参りにいくか⁈」


…そっか元の世界では私はいないんだった。でも雪の志望校合格が分かりうれしい!


『たえ いや?』 てん君が呼ぶ声で目が覚めた。


久しぶりに夫と娘の夢を見た。左手が暖かくなって来て、てん君が出たがっているようだ。てん君を呼ぶと心配そうに私に寄ってきて顔をなめてきた。


どうやら私泣いていたようだ。


『たえ いたい? いや?』

『大丈夫だよ。夢を見ていたの』

『いや ない なでて』


もちろん喜んで!朝一からてん君をもふり癒されています。


「多恵様お目覚めですか?入室の許可を⁉」


どうやら今日はエレナさんが当番の様です。サリナさんは自室待機という名の休暇中です


今日は1日フリーです。こっちに来てからお休みは初めて。やっとゆっくり書物庫で本を選べる!

エレナさんに身支度をしてもらい朝一から書物庫に向かいます。

部屋を出たところでトーイ殿下と遭遇


「おはようございます。多恵殿お体はもういいのですか⁈ 昨日はモーブル国境まで巡視に出ていてお聞きしたのが夜更け故、伺えなかったのです。申し訳ございません」


「大した事無いので大丈夫です。皆さんにご心配をおかけしました。今日は1日お休みなのでよく休んで復活します」


「モーブル国境の町は食べ物が豊かで菓子が有名です。ナッツの焼き菓子が名物なので買って参りました。後で届けさせますので召し上がって下さい」


「ありがとうございます。楽しみにしています」

「ちなみに多恵殿はどちらに?」

「書物庫で本を借りようと思いまして」

「勉強熱心ですね。途中までですがお送りしましょう」


「ありがとうございます。勉強ではなく趣味の読書ですけどね」


トーイ殿下と並んで廊下を歩きます。トーイ殿下は気さくな性格で話も砕けたものが多く、気を使わなくていいので殿下との会話は楽しいです。


殿下に途中まで送ってもらい後は護衛騎士さんと向かいます。少しすると目の前に大きな黒い扉が見えてきました。中に入ると本独特の匂いに胸が躍ります。


今日は勉強の本1冊と小説(こちらの恋愛もの)を借りる予定。


勉強の本は今まで召喚された異世界人の伝記物を借り今後の参考にするつもりです。

恋愛ものは…一応こちらの男性と恋愛しないといけないので恋愛事情を学ぼうかと…


トーマスさんみっけ!早速本の相談をしよう!


「トーマスさんおはようございます。朝からすみません。本を選ぶお手伝いをお願いできますか?」


「多恵様。ご機嫌麗しく、お元気そうで何よりです。今日はどんな本をご希望ですか?」


「リリスに召喚された異世界人の伝記ものと娯楽で恋愛ラブストーリーものを少々…」口にすると案外恥ずかしい!!


トーマスさんは「こちらに興味深い本がありますよ」と分厚い書籍が並ぶ本棚に案内してくれた。


選んでくれたのは「女神の乙女レベッカの功績」という本で、私の前に召喚された乙女の伝記本だった。同じ女性だしこちらで伴侶を迎えている方だから箱庭の男性との恋愛の参考にもなりそうだ。


「ありがとうございます。ではこの本をお借りします」

「そうそう。令嬢の間で人気の小説はこれで、王子との恋愛話ラブストーリーです。昨日か返却されたばかりですよこちらは如何ですか?」


何か相手が王子ってのがちょっと引っかかるけど、早くレベッカ伝記を読みたいのでその本に決めた。

2冊とも分厚く重い。両手で抱えていたら今日の当番騎士のマーカスさんがすぐに持ってくれた。こちらの男性は紳士だよね・・・

夫だったら言わないと持ってくれないよ!


トーマスさんの机があるカウンターの横に大きな掃き出し窓があり、その横にテーブルとソファーがある。日当たりがよくここで読んだら、気持ちいいだろうなぁ…ここで読んだら駄目かなぁ⁈


「トーマスさんあちらのソファーで読んでもいいのでしょか?」

「どうぞ。ソファーは解放しているのですが皆さん私が居るからでしょうか、こちらでは読まれないのです」少し悲しそう


マーカスさんにここで読んでいいか聞いてOKを貰いました。ソファーに座り早速読みます。

まずはレベッカの伝記から…



【297年前。女神リリスの召喚により異世界より1人の女性が箱庭に現れた。名はレベッカ。緩やかなウェーブがかかった金髪にターコイズブルーの瞳が綺麗な女性だった。

彼女が選んだドアは”レックロッド

レックロッド帝国は国をあげて歓迎し乙女レベッカを迎えた。


この時レックロッドが抱えていた問題はレックロッドの地形にあった。

レックロッドはきりたった山々に囲まれていて、隣接した国に向かうには険しい山道を数日かけ越えなければならない。

レックロッドは平地が少なく自給率は低く、農作物はモーブル王国から、香辛料や海産物はアルディア王国からの輸入に頼っている。


レックロッドの主産物は鉱物と高地に自生する薬草である。レックロッドで採れる宝石は純度が高く、市場で高値で売れる。しかし、輸出は時間と人件費がかかる。


当時の王は乙女レベッカに解決を依頼した。

乙女レベッカは異世界の知識をもちいて、アルディア王国とモーブル王国に地下道をつなげ各国へ近道を作った。山越えをしなくなり移動時間は半分以下に。新鮮な食材が輸入されレックロッド帝国の食文化は豊かになった。

そして高品質の宝石ジュエリーと薬草はアルディア王国の港より、他の箱庭に渡り外貨を得たのである。


レックロッド帝国の発展に貢献した乙女レベッカは、当時の王弟ウィルソンと婚姻し、後にレックロッド帝国筆頭公爵となり、レックロッド帝国を支え続けた。

伴侶を得た乙女レベッカは2児に恵まれ、晩年家族に囲まれ幸せな生活を送り、65歳で生涯を終えました】


大まかな粗筋はこのようは内容で、関わった人物紹介や地下道の作り方、乙女レベッカが流行らせたファッション、メイクやスイーツが紹介されていた。


なんかすごい…私この箱庭を救えるか自信が無くなって来た…

参考どころか落ち込んで来た。


大きい掃き出し窓の外を見ながら遠い目をする。

テンション駄々下がり。ソファーに両手を着いてあからさまに落ち込んだ。


私の様子にマーカスさんとガイさんが慌てだす。

「多恵様。お疲れの様です。お部屋にお戻りを!

おイヤで無ければ、お部屋までお抱え致します!」


「っん?」体調悪く無いよ⁈


何か昨日せいで周りの人が過保護になってませんか⁈

自信を無くした多恵。

テンションが上げる事はできるのか⁈

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