表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
430/442

共有

妖精王ロイドの訪問の理由は…

少し落ち着いたが未だロイドが来た理由が分からず、プチ困惑中の私にロイドはテーブルに置いてあった菓子からチョコを選び、私の口に押し込んでお茶が入ったカップを持たせた。どうやら糖分チャージをし落ち着けと言いたいのだろう。生チョコなので直ぐに口の中で溶けお茶を飲み一息つく。その様子を確認したロイドは口元も緩ませ


「そうだな。小動物を愛でている様だ」

「?」

「いや。フィラと聴覚と視覚を共有していて、ずっとフィラの多恵自慢が続いていてな。溺愛ぶりに微笑ましく思っていたのだ」


どうやらロイドの目を借り私を愛でているフィラは、ずっと惚気ているようだ。こんな状況でもぶれないフィラに少し和む。ずっと微笑んでいたロイドは、急に真面目な顔をし来た理由を話し始めた。

まずは動揺している王子二人に()()言葉をかけて欲しい事と、王妃の最後の願いでグリード殿下に言葉を伝える為に来たようだ。王妃の言葉は伝える事は出来ても、王子に直接話す事なんて出来ないはず。いくらフィラとロイドは視覚聴覚を共有していて、私の言葉は伝わるが王子達とは繋がっていない。どうするつもりなのか考えていたら、ロイドは私の手を握り自分の額に私の手を当てた。すると微かにフィラの声が聞こえてきた。


『聞こえるか?俺は今お前の愛らしい声が聞けて最高に幸せだ』

『私も』


フィラはロイドを通じて私を見る事が出来るが、私は声しか聞こえない。声だけでも嬉しいけどやっぱりフィラの顔を見たい。そう思っていたらロイドが私を抱え込んで


『あまりイチャイチャするな。俺もリズが恋しくなる』


そう言い時間が無いと言い本題に入る。先ほど疑問に思った事を聞いてみると、今フィラはモーブルの王城にいるらしく、隣に王子とダラス陛下がいるそうだ。フィラは王子の手を取れば、フィラを介し私の声が王子に届くと話した。急な話でまだ王子にかける言葉も思いつかないのに、フィラはグレン殿下に繋いでしまう。やっぱりフィラはこういう事に疎いのだと改めて思った。


『多恵殿?』

『グレン殿下お体は大丈夫ですか? すみません。私も突然の事で言葉が見つからず…』


本当に急に繋がれたのでなんて言っていいか分からない。すると少しの沈黙の後に殿下が…


『母上と僕たちの事を気にかけてくれてありがとう。僕は大丈夫です。今は悲しいより母上の想いをしっかり受け止めて、母上が愛したモーブルを護れる男になろうと思っています』


気丈な殿下の声を聞き、少し会わない間に成長した殿下に胸が熱くなり涙腺が緩む。そして殿下はフィル殿下はまだ状況が理解できていないので、王妃様が亡くなった事は触れないで欲しいと願った。

私を気遣うグレン殿下の成長に高速(マッハ)で母性が溢れる。

そして次にフィル殿下に代わると、殿下は元気な声で沢山話をしてくれる。モーブルを発つまでは乳母の通訳が無いと話の半分も分からなかったのに、数週間合わないだけで言葉が増え何が言いたいか分かるようになっていた。子供の成長に感動していたらフィル殿下が


『まー りりあ とこ。 まー いっしょ なかない』

『そうですか。フィル殿下はお母様とお約束したのですね』

『うん やくしょく!』

『お母様はリリスと一緒だから大丈夫ですよ』


もう会えない事は理解できていない様だが、王妃様が女神(リリス)の元にいる事を、陛下が分かる様に説明してくれたのだろう。立派になった2人の王子の声が聞けて安堵する。

沢山話すフィル殿下の可愛い声に癒されていたら、突然低音イケボが炸裂し思わず飛び上がってしまう。その様子をロイドが珍獣を見る様な目で見ていた。


『多恵殿…』

『陛下。突然の訃報に言葉が見つからず…すみません』

『いや。貴女は息災か?』


悲しいはずなのに大人な陛下は私の事を気遣ってくれる。落ち着いてお悔やみを述べると、陛下はフィラのお陰で王妃様は苦しまず安らかに逝ったと話し、そして陛下は出来る事は全てやったので後悔は無いと言った。

続けて本来人に不干渉の妖精王が手を貸してくれた事に感謝を述べられ、それは私のお陰だと言い私にも感謝の述べる。私はモーブルを離れ何も出来なかったと言えば


『いや。貴女の存在がリリスの箱庭の者の助けになっているのです。妖精王フィラも貴女が望む事をしたまでだと言い、感謝は貴女にする様に仰いました』

『フィラが?』


驚いているとフィラが話に加わり


『何度も言うが俺は人に興味はない。リリスの命で妖精達を保護するのが役目。今回モーブル王家に手を貸したのは、多恵が幼い王子を大切に想っていたからだ。王子や王妃を助ければ多恵が喜ぶからに他ならない。だから手を貸すのはこれが最初で最後だ』

『フィラありがとう。貴方の(私への)想いが嬉しい』


そう言うとフィラは少し声のトーンを上げ


『俺はこんなにもお前を愛し欲している。早く帰って来い。恋し過ぎて気が狂いそうだ』

『うん。頑張るからもう少しまってて。私も早く会いたいよ』


少しバカップルぽくなったけど、フィラと久しぶりに話せて私も癒されリフレッシュできた。


『そろそろいいか⁈お前たちを見ていたら愛しい妻に会いたくなった。今回かなり力を使ったから暫くは頼るなよ』


そう言いロイドは最後に皆さんにお別れを言わせてくれ話を終えた。話しが終わると手を離したロイドが私を抱え込み頭の上に顎を置いて、私をぬいぐるみにしている。暫くロイドのぬいぐるみなっていたら、グリード殿下がバスグル王とビビアン王女と一緒に部屋に来た。

お読みいただき、ありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『いいねで応援』もポチしてもらえると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ