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エル

部屋に姿なき声が!まさか幽霊?

『思ったより勘はいいみたいね』

「誰?」


声の主を探すが見当たらない。怖くなってきたら


『たえ それ ようせい じょうおう』


てん君がそう言い向かいのソファーに居ると言う。しかし姿はなく困っていると、花の香りが部屋に満ち愛らしい女性が現れた。そしていきなり私の左手を取ると


“ぼん!”

「!」


いきなりてん君が現れた。本人も驚いた様で自分の脚を見て固まっている。実はてん君はリリスの加護の元に私と共にいて、リリスの箱庭を離れるとリリスの力が届かなくなり実体を維持できない。だからアリアの箱庭に向かった時から私の中に居たのだ。


『たえ ピンチ てん まもる』


そう。私がピンチになればベイグリー騒動の時のように、私の体力を使い姿を現す事ができる。


『あれ本当に体力根こそぎ持っていかれてキツイのよね…』

『だいじょう きんきゅう だけ』


ここに来てから声と気配はするけど、傍にてん君が居なくて寂しかった。それに慣れない部屋で寝るにはあの毛玉が必須なのに、居なくて寝つきが悪かった。

何をしたのか分からないが、嬉しくて目の前の妖精女王の事を忘れてん君と話しをしていた。すると視線を感じ前を向くと妖精女王は頬杖ついてじっと私を見ている。やばいまるッと忘れてた。慌てて


『初めして。川原多恵と申します。てん君が貴女はアリアの妖精女王だと言っているのですが、本当でしょうか?』


すると足を組み替えた妖精女王?は


『リリスの乙女は貧相…いや小柄なのだな。その愛らしさでバスグルの男どもを誘惑するつもりか?』

「はぁ?」


のっけから失礼な事を言われむすっとする。するとてん君が妖精女王に牙を剥き、私を揶揄した事を抗議する。すると微笑み


『その位元気ならば乙女は護れるね』

『てん いつも たえ まもれる』


どうやら妖精女王は女神アリアの命で聖獣(てん君)に力を分け与えてくれたのだ。


『私はこの箱庭の妖精達を護るのが役目。正直他はどうでもいいの。ただ(アリア)が貴女を大切にしているようだから手を貸すだけ』

『ありがとうございます』


妖精女王は不機嫌なてん君を呼び撫で何か話している。てん君は真剣な表情で妖精女王を見ている。

私が聞いていい話ではない様なので大人しく待っていた。

目の前の妖精女王は美人と言うより可愛らしい女性で、歳の頃は私と同じ…いや中学生くらいに見える。でもきっとフィラの様に実際は100歳を超えているのだろう。そんな事を考えながらまじまじと見ていたら


『アリアのお気に入りだから仲良くしてあげるわ』

「あっありがとうございます。あの…お名前をお聞きしても?」

『エルよ。困ったら呼ぶといいわ。面倒くさいけど助けてあげるから』


妖精女王はそう言いあっという間に消えてしまった。前にフィラから聞いていた通り、アリアの妖精女王は妖精に近く自由人のようだ。

人よりのフィラですら偶に理解できないのに、自由人な妖精女王と仲良くできるのか不安になってきた。


『だいじようぶ エル すこしイジワル でも わるい ない』


てん君は膝の上に座り久しぶりのもふなでを要求する。久しぶりのてん君は最小サイズ。もふり甲斐がありそうだ。てん君のふわふわを久しぶりに堪能し癒された。


『たえ てがみ よまない?』


てん君がテーブルにあるグリード殿下の手紙を見つけ聞く。ビビアン王女と妖精女王の訪問ですっかり忘れていた。


『読むの怖いなぁ…』


そう思いながら開封し読むと…


『先ほど入手した情報によると、ハイド殿下がアルディアに使者を送た。どうやらキース殿がユグラス滞在中にファーブス公爵とアルディア王にミリアーナ嬢との縁組を申し込んだ様だ。キース殿が不在で今が好機だと思ったのだろう』

「!」


ハイド様は私に話を提案すると同時に、ファーブス公爵様とルーク陛下に交渉を始めたのだ。それを聞き不安が押し寄せる。思わずてん君を抱きしめ固まると、てん君が前脚で私の頬を叩き


『まだ てがみ ある よむ』


てん君に促されテンションただ下りで続きを読む。するとグリード殿下が早馬をだしユグラスに滞在するキースに手紙を送ってくれたそうだ。それを読み涙目に…


『たえ なに しんぱい? キース たえ だけ』

『分かっていても不安なの』


色々考え情緒不安定になってしまった。こんな時は婚約者フィアンセに傍に居てほしい。そして抱きしめてキスをもらい、この不安を解消して欲しい…


1人部屋で不安になっていると、てん君が頬を舐め慰めてくれる。

てん君が居てくれてよかった。てん君の温もりで少し落ち着いた頃に、侍女さんが入室許可を求めてきた。どうやら夕飯の時間の様だ。

許可をすると侍女さんがライアン様から夕食のお誘いがある事を告げた。やっと上向いた気持ちがまた急降下し、お誘いを断り早目に休む事にした。

お読みいただき、ありがとうございます。

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