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訳あり

ビビアン王女の突撃を受け困る多恵で…

「…」


回避できそうにないビビアン王女の訪問に返事ができず、目の前に困った顔をした侍女さん。待たせる訳にいかず仕方なくお受けする事にした。


「多恵様!」

「うげっ」


扉が勢いよく開きいい匂いを振りまきながらビビアン王女が入って来て抱き付いた。10㎝以上大きな王女にタックル…もとい抱き付かれ20HPを削がれる。


「叔父様が失礼な事をしたと家臣から聞き慌てて参りましたの」

「えっと失礼では無いと思うのですが、少しショックかなぁ」


曖昧にそう答えると鼻息荒く話し出す王女。取りあえず落ち着いて欲しくてソファーに誘導し、侍女さんにお茶の準備をお願いし席を外してもらう。やっと話せるようになると


「叔父様の考えは間違っているとは思いませんの。ですが愛し合うた2人を引き裂くのは見過ごせませんわ」

「えっと…まだ提案されただけなので」


そう打診はあったけどアルディアにもファーブス家にも話は行っていない様で、騒ぎ立てる訳にいかない。それに私が嫌でもキースが受ける気があるなら私は止めれないし…

王女にそう伝えると、溜息を吐いた王女は


「グリードの言った通りだったわ。多恵様はリリスの箱庭の殿方の執着心を甘く見ていらっしゃるわ。心に決めた女性を生涯愛するのですよリリスの殿方は。だから私も叶わぬ想いに何度涙した事か…」


そう言いご自分の恋バナを始めた王女。


『あの…何のためにここに来たの?』


心の中で突っ込みを入れ止まらない王女の恋バナを聞いたいた。カップのお茶が無くなりやっと我に返った王女は恥ずかしそうに座り直した。そして真面目な顔をして


陛下()は叔父様の策に賛成しておりますが、ミリアーナ嬢とファーブス家との縁組については反対しております。一番の理由はファーブス家のご令息が多恵様の婚約者である事。またファーブル家…と言うより公爵夫人と叔父様に過去にトラブルがあった事が理由です」


ビビアン王女の話に驚き持っていたカップを落としそうになった。ビビアン王女は芸能人のスキャンダルを話す井戸端会議の主婦の様に、ハイド様とファーブス公爵夫人との間に起こった過去のトラブルを話してくれた。王女のマシンガントークに圧倒され口を挟むタイミングも無く頷きマシーンと化す私。

そして…


「そんな事があったんですね。ハイド様は強心臓かはたまた…」

「叔父様は頭脳明晰なのですが人の感情に疎いのです。あんな事があったお相手の子供と我が子の縁を持とうと思うなんて、普通では… あっ今のは忘れて下さい」


そう言い焦る王女。いくら私が乙女でも身内の醜聞を軽々話して大丈夫なの? 後で巻き添えにあいたくないので、今の発言は聞かなかった事にした。少し反省したのか黙り込む王女を見てグリード殿下の言葉を思い出した。


【バスグル王家は一枚岩でない】つまり国王と王弟の思想や方向性が異なるだろう。まだ陛下とハイド様の為人は分からないけど、お2人共悪い人には見えなかった。陛下は保守的でハイド様は革新派?


「ハイド様が仰るとおり、自国の産業を発展させ外貨を得るのは間違いではありません。それにアルディアにとってもいい話なのも理解できる。ただその為に政略結婚を本人達の意思無視で押し進めるのは異世界人である私には理解出来ないです」


それ以上言えなくて困っていると頬を染めた王女は何故か感動している。そして私の手を取り興奮気味に


「私とグリードは多恵様の味方。安心なさって下さい」

「あっありがとうございます?」


味方が出来て嬉しいはずなのに、なぜか不安になるのは何故? まだ話し足りなそうなビビアン王女を女官が呼びに来て退室された。嵐が去って大きな溜息を吐いてソファーに寝転がる。そして天井をぼんやり見ながら…


「ファーブス公爵様は漢気があって豪快なイメージだったけど、愛に溢れたお人なんだ…」


そうハイド様と公爵夫人との間にあった過去のトラブル(訳あり)は婚約。事の発端はファーブス領の開港800年の記念パーティー。招待客のハイド様が当時婚約者だった夫人を見初め、横恋慕しバスグル王家とファーブス家、そしてアルディア王家を巻き込みひと騒動を起こしている。

普通そんな事があったなら極力付き合いをさける。だがハイド様は気にもしていない様子。それよりバスグル再建を優先し生糸の輸入の為にファーブス家と縁を結ぼうとしている。


『もしかして…まだ夫人に未練があるとか?』


そんな下世話な事を考えていると、侍女さんが茶器を片付けに来た。ふと思いついて


「言いにくかったらいいんだけど、ミリアーナ様ってどんなお方?」


侍女さんは少し驚いた顔をし考えて一言


「華奢で愛らしく殿方の庇護欲を駆り立てる感じのご令嬢でございます。ビビアン王女殿下とミリアーナ様は”バスグルの宝石”と呼ばれております」


侍女さんはそう言いミリアーナ様を絶賛する。そして誰が彼女を射止めるのか注目されていると教えてくれた。それを聞きもやもやする自分がいて、侍女さんが退室後はゴロゴロしながらまたふて寝する。


バスグル(ここ)に来るまで、労働問題以外に首を突っ込まないと決めたけど、着いて間無しに巻き込まれちゃった。グラントやフィラが聞いたら呆れるだろうなぁ。でもさー自ら突っ込んだわけじゃなし…』


そんな事を考えながら、リリスの箱庭に帰りたいと呟くと…


『来たばっかじゃん』

「へ?」


誰もいない部屋で声がした。起き上がり部屋を見渡すが誰もいない。この感じは妖精だがアリアの妖精王と契りを交わしていない私には、アリアの妖精の声は聞こえないはず。


『えっ幽霊?』


この世界にも幽霊がいるの?

お読みいただき、ありがとうございます。

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