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食糧難

ビルスとライアンの不仲が発覚し、先行きが不安な多恵だが…

気まずい雰囲気のまま会場に着いた。晩餐会の前にバスグル貴族と顔合わせをするようで、人見知り上級者の私には辛いイベントだ。

緊張しながら会場に入ると圧の強い視線を向けられ怯んでしまう。そんな私を気遣いながらグリード殿下がエスコートしてくれ定位置へ。すると挨拶をする為に長い列が私の前に出来た。その光景を見て部屋に帰りたくなる。

そして挨拶が始まり高位貴族の順番にご挨拶いただく。皆さん名乗って領地をご紹介いただくが、物覚えの悪い私が覚えれる訳も無く、3人目ぐらいから頷きマシーンと化し全く頭に残らなかった。


最後の準男爵の挨拶が終わると、宰相のトモイ様がこの後の晩餐会に付いて話をし、皆さん会場に移動を始める。疲れ切った私に駆け寄るグリード殿下。殿下に支えられ晩餐会の会場に向かう。ふと思い立ち


「ずっと私のエスコートをして下さいますが、ビビアン王女の元へ行かなくていいのですか?」

「ビーは心が広いですからね。慣れない場所で緊張するだろうと、ビーが私にエスコートを頼んだのですよ」


確かに慣れない人にエスコートされるのは精神的に疲れる。ビビアン王女とグリード殿下のお気遣いに感謝を述べた。この後足取り重い私を気遣い殿下が抱き上げようとしたが、流石にそれは断った。


歩みが遅く宴会場に着いたのは一番最後で既に皆さんお揃いだ。申し訳なくペコペコ頭を下げながら席に移動する。そして席に案内されると直ぐに陛下の挨拶が始まる。長く小難しい陛下の挨拶が終わると、続けて王弟殿下の乾杯の音頭で晩餐会が始まった。


陛下と王弟殿下にグラスを傾け乾杯し着席する。私は陛下と王弟殿下に挟まれ超VIP席にド緊張中。次々に料理が運ばれて目の前にスープが。これはバスグル行きの船で出た芋のスープで、元の世界のビシソワーズに似ていて美味しい。出てくる料理も口に合い滞在中は食事に困る事は無さそうだ。お腹が空いていて歓談もせず黙々と食べていたら王弟殿下のハイド様が


「明日以降の予定は立てておりますが、多恵様のご希望に添いたいと思っております。ご希望はございますか?」


どうやら視察の責任者は王弟殿下がなさるようだ。そう言われて一番に想い付いたのが…


「ユグラスの朝市で見つけたのですが、家畜用の穀物を生産している農家に行ってみたいです」

「家畜の飼料ですか?」


ハイド様はあからさまに怪訝な顔をし黙ってしまった。すると話を聞いていた陛下が理由を聞いて来た。またまた深く考えていない私は


「まだ調理していないのではっきりした事は言えないのですが、恐らく()()は元の世界で私が主食で食べていた穀物だと思うんです。もしそうならリリスの箱話に持って帰りたいのですが…」

「「!」」


陛下とハイド様が同時に立ち上がり注目を集めてしまい、直ぐにリチャードさんが駆け寄る。興奮気味のハイド様がリチャードさんに下がる様に言い、もっと話を聞かせて欲しいと私に詰め寄る。その横で陛下が大きな声で宰相様を呼び指示を出す。置いてけぼりの私は困って視線を泳がすと、隅に控えるアッシュさんとケイスさんと目が合う。2人共困惑しているのが分かる。2人の表情からやらかした事に気付いた私は必死に


「まだ同じものか分かりませんよ!確認してませんから!!」


慌ててそう伝えるが ”覆水盆に返らず” 会場は騒然とし、他の出席者は遠巻きに私達を見ている。もうカオスな状況に困っていると


「陛下、王弟殿下(叔父上)。今は多恵様の歓迎の宴。関心のあるお話でしょうが、それは後日お時間をお取りいたしますので、まずは晩餐を…」


振返るとビルス殿下がそう言い間に入ってくれた。咳払いした陛下とハイド様は胸に手を当て謝罪され席に着き食事を再開する。


「多恵様も」


ビルス殿下はそう言い椅子を引いてくれたので着席し食事を再開する。でも余計な事を言ってしまい落ち込み喉を通らない。メインを運んできた給仕さんに謝って下げてもらいデザートだけお願いした。

両サイドの陛下とハイド様は超ご機嫌に分厚いステーキを頬張っている。

やっと晩餐が終わり部屋に戻れることになった。疲れている私は呼び止められない様に急いで会場を出る。察してかビルス殿下が待っていて、最短ルートで部屋に案内してくれ、何度か声をかけられたがビルス殿下の側近さんが対応してくれた。


部屋に着くとビルス殿下が先ほどの話を詳しく教えて欲しい言われ説明。すると殿下は


「バスグルは自給率が低く長きに渡り食糧難なのです。輸入するにも財政が乏しく平民は慢性的に食糧不足です。それが自国の穀物が主食となると自給率・経済が回復し、バスグルが抱える問題の大半は解決するでしょう。陛下と叔父上が目の色を変えたのも理解できる」


そう言い腕組みをして考え込んでしまった。私の何気ない一言で後に国政を左右するなんて思ってもいなくて困惑する。そんな私を気遣いビルス殿下が


「その件については後日時間をお取りしますので、今日はゆっくりお休みください」

「来て早々(やらかして)ご迷惑おかけします…」 


頭を下げて謝るとハグをしてビルス殿下は退室した。


この後モーブルの騎士の皆さんから


「多恵様の話次第でバスグルの食事事情が大きく変わるやもしれません」

「陛下や王弟殿下が興奮するのも分かりますね」

「多恵様。大丈夫です。貴女に落ち度はありませんよ」


そしてとどめにこの件はモーブルの輸出にも影響すると言われて更に気分テンションはダダ下がり。あまりの落ち込み様にケイスさんが隣に座り慰めてくれる。こんな時癒しのケイスさんの言葉は優しく少し気分が浮上する。

気がつくとテーブルに軽食が用意されていた。どうやら晩餐であまり食べていないのを見ていたアッシュさんが、侍女さんに用意を頼んでくれたようだ。


こうして皆さんの優しさを感じながら食事をし早めに休む事にした。

お読みいただき、ありがとうございます。

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