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熱い?夜を過ごし…

『あ…動けない…』


朝目が覚めるとキースに抱きしめられ動けない。背後からホールドされビクともしない。キースは寝息を立てまだ夢の中で、時計を見たら2刻半を過ぎている。そろそろ起きたいが疲れているキースをまだ寝かしてあげたい。でも無理にホールドから抜けると起きそうで困っていると


『たえ おきてる?』


てん君が思念で呼びかけてきた。起きてるけどキースの腕が緩まないと言うと


『てん ほえる?』

『ダメだよ。そんな事したら外の騎士さんがなだれ込んで来るよ』


なんとかこのホールドから抜けようと、もがくがビクともしない。溜息を吐いて後に居るキースの寝顔を見ていた。しみじみ綺麗な御尊顔に見惚れていたら


「見てるだけでは無くて口付けてくれてもいいんですよ」

「えっ!起きてたの?」


キースは目を細め楽しそうに笑っている。意地悪され拗ねると


「起きなければならないのは分かっているのですが、もう少し余韻に浸りたくて… それに多恵の柔らかさと香りに囚われ動けそうにない」


朝から色っぽい視線を送られ、爽やかな朝が一気に深夜になる。そしてキースは私の髪を分け項にキスをした。カーテンの隙間から陽が入り部屋は明るくなってきたのに、キースは夜着の裾をたくし上げ太もも(ぶともも)を撫でだす。こんなに明るい所に()()()()を晒す事なんて地獄だ。


「いい加減起きないとてん君が吠えて、騎士さんが突入してくるよ」

「構いません。もう少し…」

「未だ一晩あるでしょ! あ…」


余計な事を言ったと思ったが、時すでに遅し破顔したキースは私を開放して起き上がり嬉しそうに


「今晩も一緒ですね。約束ですよ」

「あ…お手柔らかにお願いします」


キースの嬉しそうな顔を見ていたら拒めなかった。足取り軽くキースは寝室の扉まで行くと、てん君に声をかけ扉を開ける。するとてん君はまっしぐらに私の元に来て鼻先を近づけ


『キース いや してない?』

『大丈夫だよ。優しかったから』

『なかいい いいこと』


そういい前脚で私の脚を叩く。そしてキースはガウンを羽織り外の騎士さんの元へ行った。私はてん君が持って来てくれたガウンを羽織りいそいそとお手洗いへ。ついでに顔を洗い部屋に行くとキースはテーブルでコーヒーを飲みながら書類をチェックしている。侍女さんが頬を染めながらお茶を入れてくれ、湯浴みするか聞いて来た。また勘違いされている。致していませんから!


キースは私の思っている事が分かった様で、焦っている私を微笑ましく見つめる。すると私のお腹の虫が空腹を主張しキースが朝食の準備を指示。やっと朝ごはんにあり付ける事になった。

私は朝はしっかり食べる派で、おはよう5秒で食べれる自信がある。侍女さん達が用意してくれている間に着替えを済まし、部屋に戻るとキースも着替えを済ませていた。ダークグレーのスーツのキースはいつもながら格好いい。私の視線に気づいたキースが抱きしめると、いつものキースの香りに心が満たされ頬が緩む。無理をして同行してくれたキースに感謝し私から口付けた。

すると侍女さんが小さい悲鳴を上げ直ぐに手で口を覆う。すっかり人が居るのを忘れていて恥ずかしい思いをしてしまった。


終始ご機嫌のキースと朝食を共にし、私は一旦自室へ戻る事に。キースはまだ仕事が残っているので、夜までお仕事です。キースの部屋を出て廊下を歩いていると文官のクレイさんと遭遇。クレイさんは丁度私の部屋に来る途中だった様で一緒に部屋に向かう。

部屋に着くと真っ赤な顔をした侍女さん達がいい笑顔で迎えてくれる。この笑顔は誤解をしててきっと何を言っても解けないと諦め、お茶の準備をお願いする。


「何かありましたか?」

「はい。実は…」


明日の夕刻バスグルに着く予定だが、航海士によるとバスグルの港は到着時に荒れるらしく、ユグラス共和国の港へ寄港しその夜はその港で避難。そして翌日バスグルへ向かいたいと船長から相談があったそうだ。話を聞き窓の外を見るがピーカンで荒れるなんて想像がつかない。


「その情報は確かなのですか?」

「風の向きと湿度、その他色々な情報から見て間違いないそうです」


モーブルの王家の船の専属航海士は経験豊富で、嵐等を何度も回避して来たそうだ。そんな人の判断だったら従った方がいいだろう。


「この船は沢山のバスグルの人が乗っています。安全を考えたら1日遅れるくらい大した事ではないですよ」

「私も同じ考えでございます。では予定を変更し ユグラス共和国へ避難する事を船長に連絡してまいります」


こうしてクレイさんは足早に退室して行った。


『ユグラス共和国か…』


確かアリアの箱庭はバスグルとほか2国あり、その一つがユグラス共和国だったはず。元はバスグルだったが、下位家族がバスグル王家を見切り独立したと聞いた。共和国と言うくらいだから国家元首はいないみたい。

どんな所なのだろう。少し立ち寄るだけだけど新しい出会いがあるかも。そう思うと寄り道も楽しく思える。しかしこの寄り道が新たな悩みの種になるなんて、この時は思ってもいなかった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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