フィラ sideー2
フィラが多恵に会いに行きます。
召喚の翌日リリスの言い付けを無視してアルディの王城に気を張る。中々女の気配を感じられない。諦めようとした時に回廊を騎士と歩く女がいた。
女は”多恵”と呼ばれていた。
リリスはどうやら見栄えよく姿を変えた様だ。
歩いてくる多恵は顔の作りは相変わらず愛らしいままだが、身体はスリムになり背も伸びている。髪も長く艶やかな漆黒色。まぁ俺は元の子熊の姿も可愛くて好きだがなぁ…
リリスめ多恵を可愛くし過ぎだ!ヤバいなぁ…いらん虫が付きそうだ。
ふと多恵が俺がいる木を見た。感がいいなぁ〜俺に気付いたか!思わずニヤける。
多恵に付いていた騎士がこっちに来た。どうやら危険が無いかの確認だ。騎士の許可をもらい多恵が近づいて来た。
リリスには接触するなと言われたが、多恵に俺を認識して欲しくなった俺は接近を試みた。
多恵をこちら側に引き入れ多恵と向き合う。
多恵の反応を見たくて何も発せず見つめてみた。
少し困った顔をする多恵に悪戯したくなって更に沈黙する。
沈黙に耐えきれず多恵が話しかけて来た
「こんにちは。お城にお勤めの方ですか?」
少し不安そうな顔も愛らしい。
思い付いて加護を付けることにした。多恵の手を取りその可愛い小指に俺の髪を1本結び付けた。髪は俺の瞳と同じ琥珀色のリングになる。
このリングは妖精の国と繋がっていて、俺が指示すると妖精が多恵の元に行けるものだ。
多恵に何か起これば俺が察知できるし、俺の瞳の色のリンクをしている多恵を見ていたら満たされた。
しばらく多恵を見ていたいが、あまり長居するとアルディアの奴らが騒ぎだすからこの辺にしておこう。
目を白黒する多恵の耳元で「近いうちに向かえに行く」と囁いた。
そして多恵を元の場所に帰す。多恵は騎士達に護衛され去っていく。その多恵を見送りながら
「多恵…俺の番決定な!」と呟いた。
フィラが多恵を好きになった経緯でした。




