重ねる
バスグル出発の前夜。何か忘れている多恵。それは大変な事で?
濃かった1日を終え、やっと寝る事が出来る。ベッドにもぐり寝る気満々の私に、ボリスの所から帰りずっと寝ていたてん君が
『たえ よぶ』
『あっ起きたの?』
そう言いてん君呼ぶと撫でもふを要求して来た。私の癒しにもなるので、させていただきます。ゆっくり撫でると目を細め気持ちよさそうなてん君。少しすると急に立ち会がり
『ちがう たえ フィラ もうすぐ くる』
『あ…そう言えばそんな事言っていたような…』
急にてん君が慌てだす。そして私に嫌なら拒否していいと言ってきた。すみません…全く話が見えません。すると風が吹いてフィラの登場!
「ちょっと!なんて格好してるのよ」
そうフィラは上半身裸で薄いシルクのガウンを羽織っているが、雄々しい大胸筋と腹筋が丸見えなのだ。あ…ご心配なく下はちゃんは履いてますから…
するとてん君が私の前に立ちはだかりフィラを牽制しフィラと何か話している。二人だけで思念で話し私は蚊帳の外。仲間外れにされ拗ねていると、てん君が振り返り
『たえ いや いつでも いう てん まもる』
そう言い戻してくれと言う。意味が分からず戸惑っているとフィラもてん君を戻せと言ってくる。てん君が戻らないと話が進みそうにないので、てん君に戻ってもらうと急にフィラが指を弾いた。
「?」
「これで邪魔は入らない」
そう言い私を抱き上げベッドに運びベッドに下した。そして徐にガウンを脱いだフィラは私の夜着を脱がそうとする。もう意味が分からなさ過ぎて固まったいたが、流石に服を脱がされ焦って拒むと
「明日バスグルに発つ前に匂いを付けておかないと心配だ」
「はぁ?匂い?心配? 意味不明過ぎる!説明して」
焦って大声で叫んでしまった。
『しまった!』
また騎士さんやフィナさんが部屋に凸してくる! こんな所を見られたら間違いなく勘違いされてしまう。慌てふためくとフィラは笑いながら
「結界を張ったから外に声は漏れない。思う存分声を上げてもいいぞ」
「いや上げる様な事はしないから!」
フィラは私の言葉を無視してまた服を脱がそうとしたので必死で対抗する。暫くベッドの上でプロレスをした後にフィラがしょぼくれて拗ねてしまった。息を整えフィラの隣に行き、まずは状況説明を求めると…
「はぁ…こういう事は先に話してね。私てっきりいたしたいのだと思ったよ」
「お前がいいなら俺は何時でもいいぞ」
そうエッチな事をしようとしたのではなく、アリアの箱庭に行く私の為にお守りを着けてくれようとしていたらしい。どうやら朝のあれはこれをしたかったようだ。
そのお守りとは… 私から妖精王の香りがすれば、アリアの妖精達は私に手出しできないそうだ。この世界の妖精達は妖精王に逆らえないらしく、妖精王の加護のある者(すなわち番)に害を及ぼす事が出来ない。でもまだ番で無い私には加護が無く、悪戯好きのアリアの妖精の格好の的になってしまう。だからフィラは私に香りを移そうとしたようだ。
手っ取り早くエッチした方が香りが移るのだが、私が正式に婚姻するまで嫌なのを知っているフィラは、直接肌を合わす事で香りを着けようとし、裸で抱き合う為に夜着を脱がそうとした。
ちゃんと話してくれれば分かるのに、人の機微に疎いフィラはその辺をすっ飛ばした訳。不機嫌なフィラを後ろから抱きしめ
「ありがとう。その想いが嬉しい…でも裸で抱き合うのは少し恥ずかしい…せめて下着は着けたいかなぁ…」
「いいのか?」
「私の為にしてくれるんでしょ⁈ 最後までは無理だけど少しは応じたい…かな?」
そう言うとフィラは抱き付き沢山の口付けを落とし、ベッドサイドのランプを消しゆっくり私の夜着を脱がせた。そしてソフトコルセットとショーツだけになり、まじまじと私を見たフィラは
「まだ布の面積が多いなぁ…上のこれは何とかならないか?」
「この下はノーガードで無理だよ!」
この格好では香りを移しにくいそうだ。二人で考え込んでいると当然
『たえ ビビアン おくりもの あれ つかう』
『ビキニを⁈』
あのお蔵入りしたビキニを着ろとてん君が言う。あんな恥ずかしい物を? 戸惑っているとフィラはソフトコルセットを脱がそうとする。護る為に必要だと言いながら、鼻の下を伸ばしいやらしい顔をしている。絶対裸は無理だから…
「分かったこれより布が少ないのに着替えるから、脱がさないで!」
そう言いてん君に部屋に控えるフィナさんに気付かれない様に、衣裳部屋の奥に封印したビキニを取って来れないか聞くと、取りに行ってくれる事になった。てん君を呼ぶとフィラに視線を送り、溜息を吐いてビキニを取りに行った。
直ぐにビキニが入っている箱を咥えて戻りまたフィラに視線を送り戻った。そしてフィラに後ろを向いてもらいビキニに着替え…
「いっいいよ」
「・・・」
がばがばのビキニ姿の私にフィラは絶句し固まる。
『だから嫌だったんだよ。まさか封印していたこれを着る事になるとは…』
おめ目汚しで申し訳なく謝ろうとすると、フィラはいきなり私を抱き上げベッドに急ぐ。そして乱暴に私を下ろし抱き付いて来た。疎い私でも分かる…フィラが完全に男になっている事を。
いたすのは正式に婚姻してからと言ってあり、フィラだけでは無く他の婚約者達とも最後までするつもりはない。フィラはその辺も理解してくれている様だ。
『でも私が許せば求めて来るのだろうな…でもごめん…まだ今は…』
フィラの手は出会った頃と同じで大きく温かい。そして優しく私の至る所を撫で口付けを落とす。
あ…でも敏感な所は私が拒むと止めてくれ、本当に大切にしてくれているのがその手から伝わってくる。そしてフィラと私の肌が重なり、フィラの高めの体温が私に移り私も熱くなってくる。
「お前の肌は俺を魅了する。このままお前の全てが欲しい…でも…」
そう言い眉間の皺を深めた。太ももにあたるフィラの熱は分かっているけど今は受けれない。男性の気持は分からないが、ここで我慢するのは辛いのは分かっている。でも…
「ごめんね…でも待って欲しい」
「あぁ…分かっている。辛いが…こうしているだけでも俺は幸せだ」
こうして何度もフィラから愛をおくられ、バスグル出発の前夜にHPを奪われヘロヘロになり最後は寝落ちしてしまった。
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