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軽率な発言

バスグル出発の前日。忙しいのに朝から大変で?

早めに寝たので体調は頗るいい。私の体調を気にしたフィラがまた()()薬草を飲ませようとしたが、元気をアピールし免れた。しかし


「元気なら多恵から口付けてくれ」

「はぁ?」


なんで元気ならキスするの?フィラの思考が理解できないが、キス一つで()()を飲まないでいいならやりましょう。ベッドに腰掛けるフィラの横に座りフィラの頬を両手で包むと!


「きゃぁ!」


急に体が浮き腰掛けるフィラの上に移動した。それも向かい合いフィラを跨ぐ格好で。フィラの視線は甘く熱を持ち超絶エロイ。そんなムードの中でこの姿勢はヤバいって!

フィラはお尻から腰にかけ大きな温かい手で撫で、背に手を回してぐっと引き寄せる。吐息が当たるほど顔が近く卒倒しそうだ。


「元気を証明してみろ」


耳元でそう言い耳を甘噛みする。テンパり気が遠くなってきたところで…


「てん…俺の邪魔をするな」

『たえ びみょう いや やめる』


視線を落とすとてん君がフィラの足首に噛みついている。フィラの感じから本気では無く甘噛み。怪我の心配は無いが、水を差され超不機嫌なフィラ。反対に私はホッとしている。どうやら明日出発すると暫く会えないから暴走したようだ。キスをするのは嫌では無いがその先は今じゃない。男の人の気持は分からないが、我慢させているのは分かっている。愛想を尽かされかもしれないが、今受け入れれる心の余裕がない。でも懇願するようなフィラの視線に思わず


()()()()

「という事は…夜ならいいのか!そのくらいならいくらでも待つ。では夜に来よう」

「あっまって違う!うそ…」


フィラは破顔し触れるだけのキスをしてあっという間に帰っていった。呆然としていたらてん君が来て盛大な溜息を吐き呆れた顔をしている。そして完全にフィラが勘違いしていると言い、てん君はボリスに相談に行くと私から離れて行ってしまった。

バスグル出発の前日にそんな事している場合ではないのに。安易な返事をした事を猛烈に反省している。でも…


『婚約者の3人には我慢をしてもらっているんだよね…』


この世界では婚前性交は貴族ではよくないされている。しかしそれは建前で互いに同意があれば愛を深めている為に密かに交わっていると聞く。だから少しくらいは応じた方がいいかもしれないと思いだしている。

でも私は元々恋愛経験が少ない上に、比べた事は無いけどそっちの欲は人より弱い。そして(大輔)も淡泊だから尚更体の繋がりに重要性を感じない。


『でもこの世界に男性はそっちの欲は強いよね…』


正直この差に戸惑っている。結婚しても私が相手の性欲に頻繁に応じる事が出来ないと夫達に悪い気がする。その内に夫達の心も離れてしまうかもしれない。そうなったら私はどうするんだろう⁈


もう考えが樹海に入り自分でも出口が分からなくなって来た。朝からパンクした頭を抱えていたら、フィナさんが起こしに来た。そうだ悩んでる場合ではない。今日は朝一から挨拶回りとレッグロッドとアルディアのお見送りがあったんだ。立ち上がり返事をすると直ぐにフィナさんが入って来て身支度を手伝ってくれる。


食事を取りながら今日の予定を確認する。今日は二国が帰国するのでお見送りし、空いている時間に城内にご挨拶回りをする予定だ。レッグロッドが3刻半過ぎでアルディアか5刻前に出発する。とりあえず午前中は侍女さんと文官さんの部屋に行く事にした。食べ終わると何故か顔を真っ赤にしたフィナさんが手紙を1通渡してきた。受取り差出人を見るとシリウスさんからだった。胸騒ぎがし直ぐに開封すると


「席を外します故、何かございましたらお呼び下さいませ」


そう言いフィナさんはあっという間に退室してしまった。恐る恐る手紙を読むと7刻に部屋に伺うとだけ書いてある。大した内容でない事に安心する。

こんな事している場合では無い。フィナさんに護衛騎士さんを呼んでもらい挨拶回りに出かける。


「皆さんにお礼を言われ恐縮するわ」

「皆多恵様に感謝しているのですよ」


侍女長室と侍女控室の後に文官さんの執務室を回り、レッグロッドのお見送りの為に一旦部屋に戻っている。今日はとても忙しく、レッグロッドで買って来た飴をポケットに入れ糖分チャージする。小瓶から飴を出し手に取ると今日の護衛騎士のアイクさんと目が合う。


「食べますか?」

「いえ自分は」


そう言い微笑んだアイクさんは言うまでも無く美丈夫で、彫りの深いソース顔のイケメンだ。口数少なく寡黙だけど絶妙な相槌を打ってくれるから話しやすい。話が途切れたタイミングでレッグロッドの皆さんの元に着いた。 

陛下に退城の挨拶を終えたカイルさんが最終確認をしているところだった。私に気付くと笑顔で駆け寄り騎士の礼をし


「(リリスの)箱庭に尽力なさる貴女に尊敬と親愛を。我が国にお越しいただける日を楽しみにしております」

「色々とありがとうございました。道中お気をつけ下さい。あとこれをオーランド殿下にお渡しいただけますか」


そう言いオーランド殿下宛の手紙を渡した。何か言いたげなカイルさんに嫌な予感はしたが、気づいていないふりをした。でもはやりこんな時の予感は当たるもので、後で頭を抱える事になった。

そしてレッグロッドの皆さんを見送り、昼食を食べに部屋に戻ろうとしたらチェイス様に遭遇し拉致られる。


『もしかしてまだスパイ疑惑は消えてないの?』


不安に思うも拒否権は無く、チェイス様の執務室で昼食を食べる事になってしまった。

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