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求婚?

衝撃的な陛下のお姿に困惑し…

「お早いお戻で?」


予想外に早く部屋に戻った私を見て首をかしげるフィナさん。私も予想外の事で困惑中である。陛下のあの窶れようは異常だ。王妃様との間に何があったのだろう。心配で直ぐにでも陛下の元へ行きたい。それに不安と驚ぎでぐずるフィル殿下と何かを感じ必死に耐えているグレン殿下を抱きしめてあげたい。そう思っていたら外の騎士さんが来客を知らせる。フィナさんが応対しようと扉を開けると…


「まー!」


扉からフィル殿下が飛び込んで来て私の脚に抱き付いた。その後を侍女長と乳母さんが追って入り許可なく入室した事を謝罪される。フィル殿下は興奮して何を言っているか全く分からない。でも困惑しているのは分かった。久しぶりに帰って来た父親が変わり過ぎて不安になったのだろう。こんな時は


「フィル殿下だっこ」


そう言い手を差し出すと殿下はしがみ付てきた。殿下を抱き上げ背をゆっくり撫でながら


「大丈夫ですよ。みんな殿下の味方ですからね…私もいますからね…」

「ま…」


暫く抱っこしゆっくりリズミカルに揺らす。少しすると落ち着いてきた様だ。流石に重くなってきて、殿下を抱っこしてソファーに座る。私の胸元を小さな手で握りずっと私の胸に顔を埋める殿下。フィナさんが果実水と果物を持って来てくれ殿下に与える。水分と甘いモノを食べやっと表情を緩めた殿下。機嫌が戻った殿下に乳母が手を差し伸べると、すんなり乳母の腕に移り殿下は自室へ戻って行った。帰り際に侍女長に寝かしつけ時にまた来て欲しとお願いされ、昨晩と同じ位に伺うと返事をした。


殿下を宥めていたら自分も落ち着いた。ほっと一息つくと昼食の時間になっていて、フィナさんが食事を用意してくれ午後の予定の為に急いで食べる。そう陛下がいつ訪れるか分からない。食べ終わると交代したアイリスさんがトーイ殿下の面会の申し込みがあった事を伝えてくれる。


『陛下の訪問が何時になるか分からないから、夜にした方がいいよね…』


そう思い遅い時間に調整してもらう様にアイリスさんにお願いする。4刻半を過ぎたころエルビス様が部屋に来た。


「陛下がこの後お会いしたいと仰っておられます」

「はい。お受けします」


すると少し表情を緩めたエルビス様が


「陛下は心身ともに疲労なさっておられます。陛下の心の拠り所になっていただきたい」

「私が出来る事なら…」


そう告げるとエルビス様は深々と頭を下げ退室なさった。それから暫く緊張しながら陛下が訪れるのを待っていた。そして


「陛下がお見えになられました。お通ししても?」

「はっはい。お願いします」


立上り扉の前まで行くとゆっくり扉が開き陛下が入って来て


「!」


労の言葉を色々考えていたのに、陛下に抱きしめられ全て飛んでしまい頭が真っ白になった。


「やっと貴女に触れれる。頼む…暫くこのままで…」

「はぃ…」


少し痩せたが逞しい陛下の腕の中で陛下の体温と香りを感じながら陛下のお言葉を待っていた。視界の隅にこっそり退室して行くアイリスさんと陛下の護衛騎士を見ながら、皆さんが陛下を心配しているのを感じていた。

どの位経っただろう…陛下の腕が緩みやっとお顔が見えた、頬が窶れているが目力はあり体調は悪くない様だ。安心し頬が緩むと


「私が戻り嬉しいか?」

「はい」

「そうか…嘘でも嬉しい」


陛下はそう言い額に口付けた。そして満足したのか私の手を取りソファーに移動し隣に座る。そしてベルを鳴らしアイリスさんを呼びお茶を頼んだ。陛下はずっと手を握り私の顔を覗き込んでいる。顔に穴が開きそうな位に見つめるので、嫌な汗が噴き出してきそうだ。

お茶を運んできたアイリスさんは綺麗な礼をし、陛下に…


「退室いたしますが、何かございましたらベルでお呼びくださいませ。あと…」


流石アイリスさん。陛下に紳士の振舞を忠告し退室して行った。


「お話しても大丈夫ですか?」

「あぁ…だがちょっと待ってくれ」


陛下はそう言いお茶を一口飲んで立ち上がり、目の前に跪いて手を取った。


『まさかこれって…』


求婚プロポーズの姿勢を取った陛下を見て思わず変な声が出そうになった。すると陛下は笑って


「貴女のその純粋さにいつも心惹かれる」


そう言い手の甲に口付けを落とし、私を見上げて


「結果から話そう。()()()()()()()()()求婚はしない」

「!」


『じゃあ!これは何?』


困惑して頭上に疑問符を沢山付けた私は変な顔をしていた様で、陛下は頬を染めながらクスクス笑っている。ちょっと待ってこの状況を理解できる人はいないでしょ!更に困惑する私を見つめながら陛下は


「この後事情を話すが私はモーブル王として責務を全うし、王子に王位を継ぎ一人の男に戻った時に正式に貴女に求婚する」

「はぃ?」


全く話が見えず時を止められた私は陛下の熱い視線を受ける事になった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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