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ギャップ萌え

手紙を読んでいたら来客があり…

部屋に戻りアルディアのお土産のお茶を飲みながら手紙の続きを読む。皆さんの手紙を読んでいたら、アルディアで過ごした日々を思い出す。皆さんの手紙は幸せに満ち溢れ、読んでいて胸が熱くなってくる。読んでいてふと


「アルディアに戻れるのは何時になんだろう…」


と考えてしまった。モーブルの問題は殆ど片付き、後はバスグルとレッグロッドだ。召喚された日から今まであった事を思い出しながら一息つくと、ふと脳裏に日本の家族を思い出し寂しくなって来た。


『大輔はお薬ちゃんと飲んでるかなぁ…お酒と煙草の量が増えてないかなぁ…。雪は高校ちゃんと通っているかなぁ…留年とかやめてよ』


気を利かせたアイリスさんが控え部屋に行き1人にしてくれた。でも無性に人恋しくなった私が席を立つと、扉の外の騎士さんが来客を知らせる。


「シリウス殿がお見えでございます。お約束はされておられませんが…」

「あ…暇なので大丈夫です。お通し下さい」


来客に気付いたアイリスさんが控室から来てくれ手紙を片付けてくれた。身なりを整えソファーの横に立ちお迎えすると、いつもと違う服装で別人に見が目が点になる。よく考えたら今まで王城で会う事が殆どで隊服以外見た事が無い。

今日は休暇中だからかスーツ姿だ。それにいつもは下ろしている髪を一つに纏めていて美しいお顔が露わになり眩しい。


「お時間いただきありがとう…多恵様?」

「シリウスさん。いつもと違う雰囲気で驚きました」


シリウスさんは箱庭の中でも上位入賞できるほど美形で、他の婚約者たちに引けを取らない。普段から想いを向けて下さるけど、これ以上婚約者を増やすのは命の危険がある為、距離を取ってきた。

しかし…今日はギャップにやられ胸ドキで直ぐ治りそうにない。すると挙動不審な私を見たアイリスさんが頬に手を当て微笑んでいる。きっと私が恋する乙女だと思い、心の中で【可愛い】を連発しているのだろう。


ご挨拶いただいたのに席を勧めないテンパる私の代わりにアイリスさんが着席を促し、シリウスさんは向かいに座り優雅にお茶を飲む。そして私の視線に気づいたシリウスさんは


「俺は何か粗相をしましたか?」


と眉間の皺を深めて聞いてくる。これはマズイと太ももを抓り心を落ち着かせる。そして不安気なシリウスさんに言い訳をしようとし馬鹿な私は自爆してしまう。


「いえ。いつも隊服なのに装いが違うので緊張しているんですよ。素敵な紳士で別人みたいです。あっ貶しているわけでは無く、いつもの隊服は凛々しくてカッコ良くてですね…」


そう言うとシリウスさんはお礼を言い微笑んで


「ありがとうございます。着慣れないので俺は落ち着きませんよ。隊服の方がしっくりくる。しかし多恵様が()()()()意識下さるならこの格好も悪くない。ですが俺は生涯騎士としてグレン殿下に仕えると決めた身。騎士の姿で貴女の心を掴みたい」


そう言い騎士の顔をするシリウスさん。シリウスさんのブルーグレーの瞳は一見冷たそうに見えるが、私は知っている。情に熱く懐に入れた者に無償の愛を与える方だ。

実子でないグレン殿下を息子の様に愛し見守っている。


『シリウスさんはいいお父さんになるだろうなぁ…』


そんな事を思いながら凛々しいシリウスさんを見ていた。


すると顔を赤らめたシリウスさんが咳払いをし座り直して

グレン殿下の話を始めた。

どうやら休暇で町屋敷に居たシリウスさんの元に、グリード殿下の登城予定の知らせが入ったそうだ。グレン殿下を心配しシリウスさんは登城した訳だ。


「騎士棟にグリードの到着予定を聞いに行った所、グレン殿下が講義を休み多恵様と会っておられたと聞き伺ったのです」


会う前にグレン殿下の様子を知りたかったのだろう。


「中庭で偶然お会いし話し相手が必要に感じたので、お相手をさせていただきました。殿下は頭では理解していても心が伴っていない様子で、グリード殿下とお会いするが不安なのでしょう」

「やはりですか…」


眉間に皺寄せ考え込むシリウスさん。その姿を見て疑問が…

そして思わず


「本当にグリード殿下は…」


すると急にたち上がったシリウスさんは、アイリスさんに退室を命じた。私に視線を向けて確認するアイリスさんに退室してもらい…


「ごめんなさい!気が緩んでいて危うく…」


そう。グリード殿下とグレン殿下の間柄は秘匿にされている事だった。うっかりしてはいけない話をアイリスさんの前でしてしまうところだった。自分に腹を立ていたらシリウスさんは隣に来て抱き寄せ額に口付けた。


「大きな声を上げ申し訳ない。心配する様なことは起きないから安心して。アイリス嬢は多恵殿を敬愛しているから、貴女が悲しむ様な事は言わない」


そう言われ余計に安易な発言を後悔する。するとシリウスさんは大きな手で頭を撫でて微笑んでくれる。

少ししてやっと落ち着いた私を見て、シリウスさんはゆっくり落ち着いた声で話し出した。


「グリードとシャーロットが最後に情を交わしグレン殿下を孕ったのに、何故グリードは知らないと思う?」

「えっ?それは王妃様が否定したから?」


そう言うと悲しそうに微笑んだシリウスさんは真実を話してくれた。


「実はグレン殿下の誕生は半年ズレている」

「!」


グリード殿下と最初で最後の情を交わした王妃様は1ヶ月後孕っている事に気付く。そしてお腹の子を秘密裏に生み領地に引き籠り社交からも離れる事を決心し、ダラス陛下に全てを話したそうだ。

しかしダラス陛下はお腹の子も王妃も受け入れる事を決心し、王妃様に真実を話さない事を約束させ、グリード殿下を外交と名うち第2女神の箱庭へ半年向かわせた。

そしてお腹が目立ち出した頃に、懐妊を公表し悪阻を理由に領地で静養することとして実際は出産していた。


そしてグリード殿下が帰って来た頃に出産した事になっている。目の病気のせいか分からないが、体が小さく生まれて殿下は半年誕生が違っていても違和感が無かったそうだ。


「仲良くして半年後の妊娠なら疑う余地ないのか… なら本当にグリード殿下は知らない…」

「はい。それにダラス陛下は父である先代の王より、王兄殿下の伯父上に似てらっしゃり、甥のグレン殿下が自分に似ていても疑う事も無いと思います」


本当に事実を知らないのなら、そのまま全て知らない方がグリード殿下にとっては幸せなのかもしれない。

けど自分がその立場なら… 考え込んでいたらシリウスさんが再度抱きしめる。騎士だけあり他の婚約者より大きく厚い胸板は温かく安心する。


「多恵殿は皆に優しい。それはあなたの素晴らしい所だが時にもどかしい。その優しさや愛情を独り占めしたくなる」

「えっと…」


さらに強くなる腕はシリウスさんの想いなのかもしれない。

けどなぁ…

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