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無茶振り

トーイ殿下からアルディアの現状を聞き、嬉しい知らせを受け?

「お忙しい所、お時間いただきありがとうございます」


そう言い爽やかスマイルでご挨拶されるトーイ殿下。挨拶を交わしソファーに座ると殿下がレオさんから箱を受取り目の前に置いた。


『プレゼント?お土産?』


そう思いながら端無く箱をガン見していたら、笑いながら殿下が


「その中は皆からの手紙です。多恵殿は皆に慕われておられ手紙を託すものが多く、分箱には入りきらずその様な箱になりました。贈り物は別に用意しておりますので」


何か催促したみたいで恥ずかしい。するとまた別の箱を持ったレオさんが隣に来て渡してくれる。一人あたふたする私へレオさんが温かい眼差しを向ける。すると殿下が大きな咳ばらいをし、レオさんは会釈して殿下の後ろに控えた。

そして殿下に促されプレゼントを開けると綺麗なショールが入っている。トーイ殿下の話ではサリナさんのご実家のバース領の綿花の生産量と質が上がり、上質の生糸が流通し始めたそうだ。

そして私がお世話になった侍女さん達がデザインを決めてショールを作ってくれた。ショールは光沢のある紺色に濃い臙脂色で刺繍がされている。私好みのデザインに嬉しくて早速羽織ってみた。すると汗をかくほどお二人に褒めてもらい気分よくなり殿下とお話を始める。


始めはアルディアの現状を聞き、問題も無く平和なのが分かった。そしてアルディアでは祝い事が続き婚約期間を終えヒューイ殿下とトーイ殿下の婚礼の儀が決まった。そして…


「あ…私の口から伝えたいのですが、必ず文を先に読んでいただく様に言い遣っていますので…」


殿下はそう言い懐から1通の手紙を取りだし渡した。疑問に思いながら手紙を受取り差出人を見るとアーサー殿下からだった。何も考えず開封し手紙に目を通すと…


「えっ!マジで!」


思わず驚き叫んでしまった。すると外に控えていた騎士さんが突入し部屋の中はカオス。モーブル騎士とレオさん達が睨み合いになってしまい、慌てて間に入り事情説明をし騎士さんに退室してもらった。私が慌てている様子を殿下はお茶を飲みながら楽しそうに見ている。


『いや。ちょっとは助けて下さいよ』


と心の中で愚痴を言いながら、席に戻り手紙の続きを読む。結果から言えば私の思惑通りアーサー殿下とサリナさんの婚約が決まったのだ。


『キター!嬉しい!』今度は心の中で両手を上げ叫んだ。


アーサー殿下は王位継承第一位。次期王の婚約なので準備が多い事も有り婚約期間は1年とされ、サリナさんは侍女を辞めて一旦ご実家に戻られるそうだ。

そして1か月後に王城に戻り正式に婚約者として王妃教育が始まる。手紙に釘付けな私を見て微笑んだに殿下は、席を立ち私の隣に来て跪き手を取り


「多恵殿がアルディアを選んで下さったお陰で、アルディア建国以来の繁栄となりました。改めて貴女を召喚下さった女神リリスを敬愛し、我が国に尽力下さった貴女に感謝と尊敬を」


そう言い殿下は手の甲に口付けを落とした。アルディアでは色々有って怖い思いもしたけど、こうして携わった皆さんが幸せなのはとても嬉しい。そう思いながら殿下の話を聞いていた。殿下は席にお戻りになり、次にバスグルの派遣について話し始めた。


「当初は陛下は各騎士団から5名と侍女2名の17名を予定しておりました。ですが先程チェイス殿と話した際に、(派遣する人員が)多いと言われ再調整するつもりです。それに…」

「それに?」


何故か口籠るトーイ殿下。問い詰めると婚約者グラント・キースが同行すると揉めているらしく、そちらもまだ解決していない様だ。


『遊びに行くんじゃないんだからね!』


そう思いながら殿下の話を聞いていた。結局バルグルへの派遣は3国で相談の上決める事になったそうだ。


そしてここからは… トーイ殿下の極甘な婚約者との恋バナを聞きおばちゃんはときめきを頂く。自分の事より人の恋バナは胸ドキで、恋愛小説を読んでいる気分だ。


トーイ殿下のご婚約者フィアンセはモーブルのランティス公爵家のリデア嬢で、私はまだお会いした事が無い。モーブル(ここ)に来て早い段階でバスグル人の労働状況の視察の為にランティス領を訪れたが、リデア嬢はアルディアに婚姻準備で滞在されたおられお会いできなかった。しかしランティス公爵家の邸宅に招かれた時に、リデア嬢の肖像画を拝見しとても可愛らしい女性なのは知っている。この箱庭の女性は美人が多いが、リデア嬢は可愛い系で異世界漫画に出て来るお姫様って感じ。トーイ殿下がメロメロになるのも分かる。


『ヒューイ殿下の婚約者(エミリア嬢)も可愛い系。そして王妃様もとても可愛らしい方なので、アルディア王族の女性の趣味は似ているのかもしれない』


そんな事を思いながらトーイ殿下の恋バナを楽しく聞いていた。そして一頻話し終えた殿下は後ろに控えるレオさんを呼び隣に座らせ


「実はレオにも縁談が来ているのですが、この男は初恋を忘れらず渋っております。是非多恵殿から縁談を受ける様に話していただきたい」

「殿下!」


狼狽えるレオさんを後目に殿下は相手の女性の話を始めた。そして話しを聞いていて…


「もしかしてお相手のクリスタ嬢って、モルテーン伯爵家のお嬢さんですか?」

「多恵殿はご存じで?」


そうクリスタ嬢はエミリア嬢のお茶友達で、早くからマスク作りに参加下さりご協力いただいた令嬢だ。何度か顔を合わせお話もさせてもらった。控えめだけどしっかりしていた印象がある。そして超美人だった。

殿下曰くクリスタ嬢のお兄さんとレオさんがご学友で面識があり、クリスタ嬢のお兄さんから話があったそうだ。殿下の横で明らかに不貞腐れるレオさん。

本当は好きな人と結ばれて欲しいけど、この世界は身分がありお家存続に婚姻は不可欠。レオさんも嫡男で後継ぎが求められる。そんなレオさんに縁組の話があるのは当然の事で、貴族に生まれたからには受けなければならない。


『クリスタ嬢は素敵な女性だけど、レオさんの気持もあるしな…っていうか、こんな話を私に振らないでほしい』


返答に困っていたら殿下が


「多恵殿。大変申し訳ございませんが、初恋をこじらせた男をしっかり振ってやって下さい。そしてレオ。貴族の嫡男として責務を全うせよ」

「殿下!」


殿下はそう言い私に頭を下げた。私がレオさんを振るなんておこがましいよ。困っていたら殿下がレオさんに何か言い退室してしまった。困って固まっていたら、レオさんが扉に行き少し開けて戻って来た。そして真っ直ぐ見詰めて来る。


『困った!殿下無茶ぶりは止めて!』


そう心で叫びながら座り直し、レオさんと向き合った。何を言われるのか予想も出来なくて怖い。誰か助けて!

お読みいただき、ありがとうございます。

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