日記
フィラとシリウスか何か企んでいる?
妖精王の登場にレッグロッドの貴族達は青い顔をし押し黙ってしまう。すると開き直ったべスパス公爵が
「妖精王と言えども女神リリスが創ったこの大地を壊すなんて出来るはずがない。乙女を受け入れない我らを脅しているのでしょう!」
そう言いべスパス公爵は私を睨みつけた。するとフィラが溜息を吐いて
「流石あの傲慢女の末裔だな。レッグロッド貴族はこの箱庭やリリスに対して尊敬の念も無い。リリスは愛情深いからそんなお前らレッグロッドをも救おうとしているが、俺はその必要性を感じない。お前らは何もわかっていない、女神の力は無限ではないのだぞ。お前らレッグロッドに力を注ぎ続ければリリスの限界は直ぐに来る、食料・燃料に水は他国から輸入は出来るだろう。しかし大地はそうはいかない。限界が来れば崩壊し足元が無くなるのだ。いくら頭の悪いお前らでもそのくらい理解出来るだろ」
「大地が…」
辛辣な言葉に流石のべスパス公爵も言葉を失った。ハロルド陛下はフィラに最敬礼し家臣の非を詫び、リリスの乙女に手助けを求め国を挙げて妖精との関係修復を誓った。するとフィラは
「(レッグロッドの)先代は自然と妖精達に歩み寄り、関係を修復しよう努力して来たのは知っている。乙女がいる今が最後のチャンスだ。今一度この箱庭について考えてくれ」
「妖精王のお慈悲に感謝いたします。必ず昔の様に妖精と共存できるように尽力したします」
そう言いフィラとハロルド陛下は握手しこの場は治った。ほっとしているとシリウスさんが抱き寄せ頬に口付け、そして
「どんなに頑なレッグロッド貴族も足元が無くなると脅されれば深刻であると理解するでしょう」
「フィラと示し合わせてのはこれ?」
「はい。恐らく今の状況で多恵様がここに来ても状況は変わらないし、貴女が辛い思いをするだけです。そこで妖精王と相談し限界に来ている事を認識させ、釘を刺す事にしました」
エミリア嬢の暴力に堪忍袋の緒が切れた妖精達を知り、シリウスさんがフィラにこの小芝居を持ち掛けたようだ。二人の機転のお陰でレッグロッドのレベッカ派の貴族は事の重大さを認識し大人しくなった。
『だって妖精王であるフィラの制止を無視して風の妖精がエミリア嬢に妖力を使ったのだ。本当に妖精達の限界が近いのが分かる。このままだと妖精達の妖力が暴走しフィラのが限界が早まってしまう』
「多恵様?」
改めてこの箱庭の妖力バランスが危うい事を知り怖くなって血の気がひく。すると顔色が悪くなった私を心配しシリウスさんが覗き込む。
モーブルといいレッグロッドといい深刻な問題を抱え過ぎている。初めは報酬である【願い事】が嬉しくて安易にリリスの願いを受けたけど状況は結構ヘビーである。
怒りが未だ治まらない妖精達を宥めフィラは妖精国に連れ帰った。そして私達は帰国の挨拶を終え謁見の間を後にした。
この後視察団の皆さんは先行し今日宿泊するブルズ子爵邸に向かい、私はオーランド殿下に連れられ陛下の執務室に向っている。
陛下とオーランド殿下と話をした後に、レッグロッドの騎士団とオーランド殿下が子爵領まで送ってくれる。これにも一悶着あり揉めてる時間は無いからと、私がシリウスさんを説得し先に子爵領に向かってもらう事にした。渋々了承してくれたシリウスさんは、先に行く条件としてモーブル騎士のライアンさんを同行させる事をハロルド陛下に求めた。
こうして私とライアンさんは残る事になり、陛下と殿下と話をする事になり執務室に移動する。色々あり過ぎて疲れMaxの私の足取りは重く中々前に進まない。するとオーランド殿下が徐に私を抱きかかえて微笑み
「陛下の執務室にレッグロッド名物のドーナツを用意させています」
「ドーナツ?」
どうやらレベッカさんの好んで食べたスイーツらしく、ドーナツはレッグロッドの名物になっているそうだ。やっぱりレベッカさんは北米の人だよね⁈
やっと執務室に着き入室許可得て入ると
「お疲れのところ申し訳ない」
「いえ。色々お世話になりました」
執務室に入ると陛下が笑顔で迎えてくれた。オーランド殿下にソファーに下してもらい、早速お茶とドーナツをいただく。
「甘くて美味しい…」
甘く懐かしい味に気が抜けて顔が綻ぶ。向かに座る陛下は優しい眼差しを向ける。そして陛下から改めて視察中の(レッグロッドの)非礼に対し謝罪される。
「本当に謝っていただく事は有りません。身分を隠す事で素のレッグロッドが知れてよかったと思っています」
「モーブルのダラス殿は実直で貴女が我が国に渡る事に難色を示すのは分かっていた。まだ未熟なオーランドがダラス殿を説得できなければ儂がモーブルに赴くつもりでおった。しかしアルディアの助言と貴女がダラス殿を説得下さり視察が叶った」
そう言い苦々しい表情をした陛下は少し口籠り考えて
「モーブルから視察団を向かると我が国の恥部を晒す事になると正直悩んだよ。しかしオーランドが多恵殿に全て見てもらうべきだと言い、今変わらなければ国が終わると儂を説得したのだ」
陛下はそう言い真っ直ぐオーランド殿下を見つめた。陛下の眼差しは息子の成長を喜んでいるように見えた。そんな2人を微笑ましく見ていたら
「多恵殿の伴侶候補の中でオーランドが一番若く、それ故に未熟だ。しかし貴女に出会ってからオーランドは変わった。受け身だったオーランドは己で考え、あれだけ逃げていたエミリア嬢とも真っ直ぐ向き合いだした。そして儂が解読できなかった密約が記してあるレベッカの日記の解読も始めた」
「レベッカさんの日記?」
陛下の説明ではレベッカさんは生前日記を残しており、ここに密約が記されていると伝えられ、ベスパス公爵家が厳重に保管してきた。何度も解読を試みたが難しく未だ殆ど解読出来ていない。
「密約が日記に?」
「あぁ…しかし日記はレベッカ嬢の母国語で書かれ、学者が長くに渡り解読しているが、未だ解読できていないのだ」
「レベッカさんの母国語って…英語?」
そう呟くと2人は立ち上がり興奮気味に私に詰め寄った。圧が強すぎて思わず苦笑いし仰反る。
2人の様子から日記が解読出来れば、密約を反故にする事が出来ると考えているようだ。
「多恵殿はレベッカ嬢の文字を読む事は出来るのか?」
「正直(日記を)見てみないと分かりません。リリスの加護で初めて見た箱庭の文字も読めたので、翻訳のスキルが備わっているんだと思います。ですがそれが異世界の言葉までかは見てみないとわかりませ…ん?」
「多恵殿?」
もし翻訳機能が効かなかっても英語なら、木板が有れば翻訳できるかもしれない。そのレベッカの日記が読む事が出来たなら密約を反故にし、レッグロッドはレベッカの呪縛から解放され妖精達と仲直りできるかもしれない。
『やっぱり(視察に)来て良かった!』
体は疲れているけど気分ば高揚している。それは解決の糸口が見つかり少しレッグロッドに希望が見えて来たからだ。
そして気分よく出されたドーナツを完食し、退城にあたり陛下に再会を約束しお別れの挨拶をする。すると陛下は穏やかな顔をして
「こんな聡明で愛らしい女性が義理の娘になってくれたなら喜ばしい。まだ未熟な息子だが真っ直ぐで愛情深い。よく見てやって欲しい。だが男女の仲は周りがとやかく言うべきでは無い。しかし貴女が困った時は力になろう。いつでも頼りなさい」
「ありがとうございます。えっと…リリスのお仕事でいっぱいいっぱいでそんな気分では無くてですね… 気長に見守っていただきたいです」
そう言いお辞儀をした。こうして色々あったレッグロッド城を後にし、視察団の皆さんが待つブルズ子爵領に向けて出発した。
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