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視察団〜出発〜

昼からレッグロッドに向けて出発します。

『なっ長かった…』


朝食はとっくに終わっているのに陛下が離してくれず、先ほどチェイス様が突入してくれやっと解放された。陛下は年頃の娘を持つ父親と化し小言が止まらず、思春期に戻った気分だ。やっとリチャードさんと部屋に戻ってくると、アイリスさんとモリーナさんが待ち構えていて、浴室に連れて行かれ湯浴みを受け出発の準備に取り掛かる。レッグロッドまで片道3日かかりほぼほぼ馬車の為、楽なロングワンピースを着てやっと準備できた。そしてソファーに座り一息ついた頃に風が吹きフィラが来た。

今朝はレッグロッドに出禁になり拗ねて帰ったのに、何故かいい笑顔で現れ嫌な予感がする。

そしていつも通り抱きつき皆んながいるのに口付けきて、モリーナさんが悲鳴を飲み込んだ。


「もぅ!人前でやめてっていつも言ってるでしょ!」

「俺は人目などを気にしない」

「私は気にするから」

「痛っ!」


ふと足下を見るとフィラの足をてん君が噛んで、フィラの足にぶら下がっている。またここからケンカが始まると思いきやフィラは噛まれたままで


「今朝はてんに邪魔をされ忘れていた。これが要るだろう」

「?」


フィラの手元を見ると小さいガラス瓶。そのガラス瓶には薄水色液体が入っている。頭に疑問符を付けた私の手にその小瓶を置いたフィラは


「色変わりの目薬だ」

「あっそうだね。忘れてたよ」


変装に大切な目薬をすっかり忘れてました。妙に機嫌のいいフィラに違和感を感じながら小瓶を受け取ると、噛むのをやめたてん君が私の足を前脚で叩き


『フィラ わるいやつ それ すくない』

『少ない?』


意味が分からず固まっていると、フィラが腰を引き寄せて悪い顔をして


「目薬は一度に作れない。だから毎朝届けに行くからな」

「はぁ?」

『フィラ わざと たえに あいたい だけ』


そう。今朝私とてん君にレッグロッド訪問中は会いに来るなと言われ、どうにかして行く口実を考えた様だ。


『それが目薬なのね』

『そう』


気不味そうなフィラは目を逸らし、目薬は毎朝早朝に妖精グリスに作ってもらい届けるという。確かに元の世界の様に薬の為の防腐剤など無いから10日も持たないだろう。そんな事を考えていたら


『たえ やさしすぎる フィラ あまえる だめ』 

『でも私の事を心配してくれてるし』


こうしてフィラの作戦勝ちで目薬を届ける名目で朝会いに来ることが決まった。そしてフィラに点眼してもらい瞳の色を変えると、モリーナさんもアイリスさんも驚きまじまじと私を見るから恥ずかしくなってしまう。


こうして満足したフィラは帰っていき、その後直ぐにレッグロッドに同行してくれるフィナさんとシリウスさんが部屋に来た。入室するなりデレるシリウスさんに、これまた私の顔をまじまじと見て驚くフィナさん。やっとお落ち着いた皆んと出発前に雑談をしていたら、エルビス様が迎えに来て下さり馬車の待機場に向かう。今回は"女神の乙女(多恵)”では無く女官として赴くため、陛下への出発の挨拶には私は出なかった。代わりに視察団団長のシリウスさんが陛下に出発の挨拶をされており、このまま馬車に乗り出発です。


『視察団出発に陛下は見送りに来れないから、朝お会いした時にちゃんと挨拶すればよかったなぁ…』


そんな事を考えながら歩いていたら向かう先の廊下に扉が開いている部屋があった。王城だし警戒もしていない私は、そのまま通り過ぎようとしたら


"ぐぃ"

「!」


部屋から手が伸びて来て部屋に引き込まれた。突然の事で思考回路が停止。でも…


『この香り…』


直ぐに状況が分かり部屋の外で慌てている様子のシリウスさんと男の人の話し声が聞こえる。そして…


「陛下!びっくりして心臓が止まっちゃうかと思いましたよ」

「すまん。其方は女官として出発する為に見送りが出来ん。だが暫く貴女に会えないのは辛く、チェイスに無理を言ってほんのひと時でも会いたくて…」


そう言った陛下は力強く抱きしめた。この人は今沢山の問題を一人で抱えている。一国の王と言えでも一人の人間だ。何でも受け止めきれる訳けない。腕を陛下の背中にまわしポンポンしてあげると小さく笑う。


「こんなにも小さな貴女の手が大きな安心をくれる。今ので貴女が帰って来るまで頑張れそうだ…。口付けてくれたらもっと頑張れるのだがな…ダメか?」

「…ダメですよ」

「ならチークキスなら…」


恐らくこれはしないと離してくれない。頷き手招きし頬を合わせるとがっちりホールドされ頬が密着した状態になり焦る。耳に陛下の息がかかり、こそば恥ずかしい。変な気分になって来たところで扉を誰かがノックし


「これ以上は遅らせません」


外からチェイス様が声をかけて来てくれ、やっと陛下から解放された。扉を開けると眉間に皺を寄せたチェイス様とシリウスさん。私が悪い訳では無いのに気まずい。

強引に私の手を取ったシリウスに腰をがっちりホールドされここで陛下と別れた。そして待機場までの道すがらチェイス様からお礼を言われる。拉致られたからお礼じゃなくお詫びの様な気がするのは、私だけだろうか⁈

色々有ったけどやっと馬車前に来た。アルディアの時もそうだが、外観は質素な馬車だが内装は陛下と同じ仕様だ。どうやら私が王妃様の所に行っている間に作らせたようだ。アルディアもだが私如きにお金を使わないで欲しい。その分は国民に還元して欲しい。


『私のお尻はそんな軟では無いんだけど…』


そんな事を馬車を見ながら考えていたらシリウスさんが手を引いて乗車を促す。乗り込むと直ぐにフィナさんも乗り込み扉か閉まる。フィナさんが"おのぼりさん”状態できょろきょろして豪華な車内に緊張している。すると馬が嘶きゆっくり馬車が走り出した。


王都を出るまでカーテンは開けない様に言われている。そして暫く走ると御者さんの掛け声と共にスピードアップした。どうやら通行が多い王都を出たようだ。待ってましたとフィナさんに了解を貰いカーテンを開ける。農業大国だけあり王都を出ると直ぐ一面の農地で植物の緑が目に優しい。のどかな農地を見ながら視力回復に励んでいたらフィナさんが、瞳の色を変えた私の事を似合っていると褒めてくれる。暫くフィナさんとガールズトークしていたら


「多恵様ご存じですか?」

「なになに?」

「私達がレックロッドに行っている間に、モリーナ嬢がお見合いされるそうですわ」

「えぇ!マジでお相手は⁈」


興奮してモリーナさんや令嬢達の恋愛事情を聞いていて、何か忘れている気がして来た。丁度話題が途切れた時に思い出し…


『分かった!フィナさん宛の恋文ラブレター!』


何も知らないフィナさんはキョトンだ。たしか初めの休息まで1刻近くある。さぁ!ここからのターンはフィナさんの恋愛事情を根掘り根掘りお聞きします。


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