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小さなライバル

初登場の令嬢は何者?シリウスさんの慌てようも気になるが…

「兄様!早くこの女を下ろしになって!不愉快ですわ!」

「ディアナいつ来たんだ?」

「…あの…シリウスさん下ろして」


令嬢にドレスを引っ張られているのにシリウスさんは下ろしてくれず、もう何が何だか分からない。ふと後ろを見るとおろおろする護衛の2人。何やってるの助けてよ!

心の声が届いたのかケイスさんがシリウスさんに私を下ろす様に言ってくれやっと解放された。

令嬢はシリウスさんに矢継ぎ早に話しかける。状況を確認するタイミングも無く呆然と2人を見ていた。ふと我にかえり休憩時間を無駄にしたくなかったので


「シリウスさん。騎士さんがいらっしゃるので私はここで失礼します。ありがとうございました」

「多恵様!待って…」

「兄様!話は終わっていませんわ!私を見てください」


シリウスさんがタジタジなのが珍しい。そんな事を考えならケイスさんの手を取り部屋に戻る。私は怒ってないけどケイスさんとカロスさんが気まずそうだ。部屋に戻ると気を利かせたアイリスさんが私の好きなチョコラーテで作ったタルトを用意してくれていて美味しくいただく。食べ終わる頃にシリウスさんが部屋を訪れた。別に避ける理由も無く入室許可を出すと…


「多恵様先ほどは失礼を…」

「あ…お花ありがとうございます。でも謝っていただく事は無いと…」


シリウスさんは大きな花束を手に謝罪される。何とも思って無いんだけど…するとシリウスさんは人払いをして、私の手を取りソファーに誘導し隣に座った。そして手を握り熱い眼差しを向けて


「先ほどの令嬢は再従兄弟はとこにあたりレックロッド帝国の侯爵令嬢です。十以上も下になり妹の様に思っていますが、ディアナはそうでは無く私の伴侶になる事を望んでいるのです。侯爵のモーブル訪問について来た様で多恵様の事を聞き…」

「乗り込んできたと?」

「はい…」


どうやらディアナ様にとって私は恋敵ライバルのようだ。シリウスさんは想いを告げてディアナ様を娶る気はないと説明している。


『なんか浮気を疑われた新婚の旦那みたい』


正直今は恋愛なんて1㎜も頭に無く、明日のエリアス様の逮捕で頭はいっぱいである。

恐らくお昼までシリウスさんもそうだったはず。こんなタイミングで騒がしいのがくるかなぁ!

必死なシリウスさんの口説き文句は全くひびかず、ただただ昼寝したい気分だ。

少しすると外に控えていたアイリスさんが入室許可を聞いてきた。どうや陛下がシリウスさんを呼んでいるらしい。

シリウスさんは扉まで行き、立ち止まり踵を返し戻ってきた。そして抱きしめて耳元で


「俺には貴女だけだ…他には何も要らない」

「!」

『シリウスさん自分がイケボなの知っててやってるでしょ!』


顔を熱くなるのを感じていたら、シリウスさんは大きく温かい手で頬を撫でて退室して行った。本当箱庭の男性はやる事がスマートでカッコイイ。元の世界では経験できない。大輔に頼んでも死んでも無理だろうなぁ…

ハプニングはあったがこの後は夕方まで部屋でゆっくりする。ソファーに座ると直ぐに睡魔に襲われる。ふらふらと立ち上がり…


「多恵様?」

「またソファーで寝落ちしそうだから、ベッドに行って少し寝ます。緊急以外の来客は断って…」

「畏まりました」


寝室の扉を開け入ったら


“コンコン”ノック音が…気付かないフリをしてそのまま寝室へ

ベッドにダイブして優しい香りの布団に一気に意識が遠のき…


「多恵様失礼いたします。来客ですが…」

「ふぁい…急ぎ?」

「いえ…急ぐと仰るのですがそうは思えず…」

「なら断って」

「ですがオーランド殿下の手紙を持って来られまして…」

「分かった…行きます」


確かシリウスさんの再従兄弟はとこのディアナ嬢はレックロッドから来ていたなぁ…。なら殿下の手紙は有り得る。眠い目を擦りながら部屋に戻ると…

品の良い中年男性と…さっきのディアナ嬢が居て一気に目が覚める。ディアナ嬢は少し顔を上に上げ自信気に私を見ている。

ディアナ嬢は淡いグレーのウェーブヘアーにローズピンクの綺麗な瞳をしたお人形さんの様な美少女だ。雪が幼稚園の時に見ていたアニメの主人公に似ている。

そしてその横の男性はグレーヘアーにディアナ嬢と同じ瞳の色をしている。親子?


「突然の面会に応じていただき感謝いたします。私はレックロッド帝国ツーダン侯爵家当主ロディ・ツーダンと申します。そして末娘のディアナにございます。ディアナ。乙女様にご挨拶を」

「父上、先ほどお会いしておりますわ」


あれ?さっき会ったけどちゃんとご挨拶してないよ。寧ろ絡まれたけど⁈このままスルーする気なのかなぁ?別にいいけど礼儀作法に厳しい貴族なのにいいのかぃ⁈

ディアナ嬢の態度は好戦的で関わると面倒臭そう。だから私もあえてスルーした。


「ご丁寧なご挨拶ありがとうございます。どの様なご用向きですか?」

「はい。商談でモーブル訪問しております。訪問に際しオーランド殿下から手紙を預かって参りました」

「ありがとうございます」


受取ってみたらかなり分厚い。殿下は毎日1枚書いて20枚になったら送って来る。丁度前回貰ってから20日程経つ。後でゆっくり読もうっと!

これで面会終わりと思いきや、やはりお茶くらいはお相手しないといけないらしくソファーを勧める。アイリスさんがお茶と茶菓子を出してくれ部屋の隅に控えると、侯爵様がレックロッドの現状を話し私が来るのを国を挙げて待っていると告げる。

するとディアナ嬢がまた私を見下すような態度で


「昔レックロッドに召喚された乙女レベッカ様に比べて貧相な乙女様ですこと。正直オーランド殿下の横に立つには…」

「ディアナ!なんてことを!」


あ・・・思いっきりディスられた。このお嬢ちゃん外交って言葉知っているのかなぁ⁈年長者として一言苦言を呈しようとしたら私より先にアイリスさんが


「ツーダン侯爵様。今のご令嬢のご発言はレックロッド帝国の公式な認識でよろしいですね。そうであるならダラス陛下にご報告いたしますので。多恵様は多忙にございます。用向きが無いようでしたらお引き取りを…」

『あ…アイリスさんが切れた』


侯爵様は必至でディアナ嬢にお詫びするように促すが、ディアナ嬢は全く聞き耳持たない。目の前の親子喧嘩に巻き込まれ、早く昼寝したい私はそっと頭を下げて寝室へ向かう。アイリスさんが追って来て


「あとは任せ下さい」

「喧嘩はしないでね」

「努力はいたしますわ」


アイリスさんに侯爵と令嬢の相手を任せてやっとベッドに入ると直ぐに眠ってしまった。


『たえ かいぎ おきる』

「うん…」

『にどね だめ』


“ペシペシ”柔らかいてん君の肉球が頬を叩く。頭が重いが起き上ると部屋は薄暗い。ヤバい寝すぎたかも…ゆっくり部屋に繋がる扉を開けると部屋に陛下が居た。思わず目が点になりその場に立ち尽くす。恐る恐る


「何か有りましたか?」

「有ったな…大問題だ」

『怖い怖い!何?何?』


怖くて思わず扉の影に隠れ顔だけ出していたら、微笑みながら陛下は歩み寄り寝室に入ってきた。そして扉を背にして抱きしめてきた。そして耳元で


「あのレックロッドの小娘が貴女に失礼な事を言ったそうじゃないか。この忙しい時にやってくれたよ。お陰でチェイスは倒れる寸前だ。一応ツーダン侯爵は遠縁であるサザライス邸で預りとなっている」

「はぁ…」


明日はエリアス様が帰って来て大捜索があるのに…何で今なん?


『モーブル祟られてます?』なんて言える訳なく苦笑いしかできない。

するとアイリスさんが険しい顔をしてやっててきて、陛下の腕をから助けてくれソファーに座らせてくれる。


相変わらず陛下にも言いたい事を言えるアイリスさんだ。こういう所はサリナさんに似ていて頼りにる。

アイリスさんか1人掛けのソファーに座らせてくれたのに、陛下に手を取られ2人掛けに座らされ陛下は隣に座った。

そして私の手を握り反対の手で頭を撫でる。


「あの令嬢はレックロッドの典型的な貴族令嬢だ。多恵殿の前に召喚された乙女は素晴らしい功績をレックロッドに齎したが、気が強く気位が高かったようだ。レックロッドでは前乙女レベッカは絶大な人気がある。

故に多恵殿に敵対心を持つ令嬢が多いと聞く。それにレベッカ直系の子孫である大公爵家令嬢のエミリア嬢は貴女が召喚されるまでオーランド殿下の筆頭婚約者候補だったそうだ。レックロッドの貴族令嬢は皆2人の婚姻を望んでいたらしく、貴女の召喚を面白く思っていない様だ」

「だからディアナ様は当たりがキツイんですね」


それに加えてシリウスさんの件があるから余計にだ。


「もしかして私レックロッドのに行ったら敵地アウェーじゃないですか!」

「このまま行けばそうなる。今回のディアナ嬢の発言はレックロッドに正式に抗議文を送った。これで変わらねば貴女をレックロッドには行かせない。協力を仰げばアルディアも賛同してくれるだろう」


レックロッドにまだ行く目処も経っていないのに、もう問題が起きている。何トラップだらけじゃん!箱庭に来て平穏な生活した事ないぞ!


『何もやる事ない〜暇プー』って言ってみたい!


「はぁ…」溜息を吐くと陛下はどさくさに紛れ抱きしめてくる。間近で見ると窶れてる陛下。あなたも大変なんだね…


「あともう少しです。頑張りましょうね」

「あぁ…少しでいいこのまま…」


陛下は体の力を抜きでも私に寄りかかるわけでも無く私に体を委ねる陛下。陛下の高めの体温が心地よく、また大睡魔を呼ぼうとしている。


『たえ もう ねない!』

『はあ…い』


陛下はまだ王妃様の病気の件もあるけど…て言うか病気の事を知っているのかなぁ⁈

いかんいかん!まずは目の前の問題から…


「お疲れの所申し訳ありません。お時間でございます」


文官さんが呼びに来た。直ぐに最後の会議が始まる。いつもの凛々しい表情になった陛下はエスコートしてくれ2人で陛下の執務室に向かう。


お読みいただき、ありがとうございます。

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