作戦会議2
エリアス様を捜索する策が出ず、昼食は挟むことになった。休憩しても策が出る気がしなくて…
「では後ほど…」
「はい」
お昼休みを挟む事になり部屋に戻る。気がつ付くとケイスさんが迎えにきてくれいた。
ケイスさんのほのぼのスマイルに癒され部屋に戻る。ここで悲しいお知らせが…
「多恵様。家の事情によりバートン殿は多恵様の警護から外れる事になりました。後任はアラン団長が専任中でございます」
「はい…」
「驚かれないのですか?」
曖昧に微笑み誤魔化した。薄々分かっていた。最後ご挨拶出来ればいいなぁ…そんな事を考えていたら部屋に着いていた。入室したらアイリスさんが居ていい笑顔を向けられる。
「多恵様。昼食の準備が出来ております」
「ありがとう」
正直食欲はない。でも食べないと心配かけてアイリスさんの過保護が発動するからね。
「あれ?」
いつも熱い視線を送るアイリスさんの視線が合わない?不思議に思いアイリスさんの視線を追うと…
『あれ?ケイスさん見てる?』
やっぱり2人に何か生まれていた様だ。グラントが来ていた時はエスコートはグラントがしてくれ、専任の御三方とはあまり会っていなかった。
ケイスさんが退室しアイリスさんと2人になり探りを入れてみる
「ケイスさんとは仲がいいの?」
「はい。ケイス殿は髪結の師匠ですから」
「え?アイリスさん弟子なの?」
「はい!自称ですか。彼の方は”可愛い”を熟知されておられ…」
「?」
恍惚として表情で
「あのお方も可愛い!」
「きゃぁ!胸ドキだぁ!」
“バン!”
「何かございましたか⁉︎」
「ケイスさん?」
私が奇声を上げたから護衛のケイスさんと今日の担当のカロスさんが飛び込んで来た。何も無いと平謝りし2人は退室する。
少し気分が落ちていたけど、恋バナで少し浮上する。
この後食事をいただきながらアイリスさんの”可愛い談義”を聞き、アイリスさんとケイスさん2人に縁がある事を願う。
昼食中も色々考えようと思っていたけど、恋バナで終わってしまった。陛下とチェイス様、ハワードさんはランチ会議してるのに…
食後、会議の時間までソファーで色々考えるが、なかなか妙案が浮かばない。
『先にパルス伯爵邸を捜索したら何か出るかなぁ?義弟だって言うし、何か秘密書類とか預かっているかも』
「うーん」
考えていたら午後の会議が始まる時間だ。ケイスさんが入室して来てエスコートしてくれる。見つめ合うケイスさんとアイリスさんに萌える私。
『いかんいかん。大事な会議だった』
アイリスさんに見送られ陛下の執務室に急ぐ。道すがらケイスさんにアイリスさんの事を聞いてみると仲良くしている様で、先日の休暇に小物屋に私の髪飾りを探しに出かけたそうだ。
『それデートじゃん!』
て言いたかったけど、カロスさんもいるし勤務中だったね。人の恋バナは栄養満点です!
やっと執務室に着き入室すると重々しい部屋の雰囲気に回れ右をしたくなった。
ソファーに座ろうとすると陛下が立ち上り私の手を引き隣に座らす。
そしてまだ案が出てない事を伝えられる。内心やっぱりと思いながら再度資料に目を通す。気分転換したから何か気付くかもしれない。
仕事でよく経験して来た事だが、1度目気付かなかったミスや間違いが時間を置いたり別の仕事をした後確認すると気付くことがよくある。だから再度読んでみよう。
他の皆さんは色々議論しているが資料に集中している私は皆さんの会話は耳に入らない。
『ん?あれ?』
ある事に気づく。ここ突けるかも⁈
思わず手を挙げる。突然の行動に皆さんビクッとしている。
「多恵殿?何か思いつきましたか?」
「はい。エリアス様の資料を見直し気付いたんですが、何故今回だけエリアス様は奥様を同伴されているんですか?」
「「えっ?」」
これはティモン様にご招待頂いた時に聞いた話だ。モーブルの貴族が外交や仕事で他国に訪問する際は夫人は同伴しない。訪問先から晩餐会や夜会に夫婦で招待されればこの限りではないらしい。
ここ数年の外交記録でもエリアス様がご夫人を同伴したのは、第1女神ミアの箱庭ベルロス王国の国葬に参列した時だ。今回の外交に夫人同伴は異例で気になる。
「今回のベイグリーンは夫人同伴の必要がある様に思えないんです。もしかしてこちらの動きを察知しての事なら?」
陛下とチェイス様は直ぐに今回の外交の報告書を見直す。そして…
「確かにベイグリーンの宰相との会談に夫人は必要ない。それに王家が催す夜会や晩餐会も無い」
「チェイス様。キーモス侯爵邸に私が訪問時に夫人を部屋に軟禁してのは、夫人がキーモス侯爵に話してしまう恐れがあるからですよね⁈
エリアス様も自分が留守の間に捜査の手がのびた時に、夫人は隠し通せないと判断して同伴したのでは?」
「そうです。キーモス侯爵夫人の動揺は激しくボロをだしそうでしたので」
やっぱりなぁ。どの程度エリアス様が奥様に話しているから分からないが、陛下や騎士に尋問されて黙秘できるとは思えない。陛下も同じ事を思ったみたいで
「あり得る。なら証拠も…」
「はい。決定的な物は屋敷から持ち出して手元に持ち歩いているかも」
こうして明日の入船後にエリアス様に捜査協力を仰ぎ、夫人には私が面会するとになった。それと同時にエリアス様の義弟のパルス伯爵邸に家宅捜査に入り追加の物証を探す事になった。
これくらいしか手段が思い付かない。これで何も出なければ、エリアス様を罰する術が無い。
一か八かである。エリアス様を押さえられる可能性が出てきて皆さんの表情が明るくなる。隣の陛下を見たら目の下の隈か目立つ…
かなりお疲れの様だ。思わず手が出て陛下の頬に手を当てる。
陛下は驚いた表情をして私を見ている。
「急にごめんなさい。お疲れの様で心配です。お時間ある時は少しでも寝て下さいね」
「貴女が触れてくれるだけで疲れは取れていく…口付けてくれたら全快するよ」
「いや、そんなんで疲れは取れませんから!休んで下さいね!皆さんもですよ!いざという時に倒れたら大変です」
「「「「「はい!」」」」」
皆さん幼稚園児並みのいい返事をする。
こうして大まかな作戦が決まり、一旦解散となる。私の説教が効いたのか皆さん夕刻まで休む事になった。
チェイス様は休んでいる間の仕事を文官さん達に指示をし、アラン団長は陛下とパルス伯爵邸に派遣する騎士の選任の話をしている。
そして私は夕刻の会議までお役御免で部屋に戻る。てっきりケイスさんと帰ると思ったらシリウスさんが手を差し伸べてきた。
隣に座る陛下の視線が痛い。断る理由もなく手を差し出すと力強く引っ張られて抱き上げられた。
「シリウスさん⁈ちょっと!」
「貴女もお疲れだ。部屋までお運びします」
「大丈夫ですかから!おろ…」
すると頬を寄せたシリウスさんが小さな声で
「俺も癒やしてくれ…」
「!」
耳元で低音&イケボやめて!耳は嬉しいけど全身が熱くなってきたじゃん!恥ずかしくて手で顔を隠すと、一礼してシリウスさんは私を抱えたまま退室する。
シリウスさんの後ろからケイスさんとカロスさんかついて歩く。ふと顔を上げると間近に綺麗なシリウスさんの顔が、俯くと逞しいシリウスさんの大胸筋が…目のやり場に困り横を見ると無数の秋波がシリウスさんに向いている。
『そうだよ!シリウスさんは遠くから拝むのが一番。私もあっち側に行きたい』
そんな事を考えていたらあどけない女の子(13歳位だろうか?)が凄い勢いでこっちに歩いてくる。
意味が分からず見ていたら抱えられている私のドレスの裾を引っ張り
「女神の乙女が何か知りませんが、そこは私の場所ですわ!おどきになって!」
「へ?」
「ディアナ!」
この女の子はシリウスさんの知り合いみたいだ。シリウさんを見上げると焦っている。
あれ?婚約者?それとも意中の女性?
『私シリウスさんに求婚されてなかったけ?』
恋愛マンガの様な展開に固まってしまった。
もしかして三角関係?だったら人生初の経験かも!
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