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烏龍茶

カザ入れは後1/3。それまでお茶会で悪の皆さんの足止めしなければならないが…

会場に戻ろうと立ち上がったら文官さんが駆け込んできた。


「許可無くの入室の責は後程受けます!チェイス様!大変です!」


文官さんの慌て様に不安になる。そして息を切らしながら文官さんはチェイス様に何かを告げると…


「まずいなぁ…キーモスを抑えないとこの作戦は失敗に終わるぞ」

「チェイス様!何があったのです!」


一旦ソファーに座り直しチェイス様から状況を説明してもらう。

先程の経過報告を受けた残り1/3は裏帳簿と証拠を見つけ、金庫番さんが確認中で後少しで終わるそうだ。しかし…


「キーモス侯爵邸で問題が発生して…」


キーモス侯爵はエリアス様に次ぐ貴族派の需要人物。ここを摘発しないと今回摘発した貴族はトカゲの尻尾切りなるだけだ。


「屋敷に証拠が見つからなかったんですか?」

「いや、夫人を尋問し隠し場所は見つけたのですが、隠し部屋が特殊な鍵で施錠され打ち破れない」

「えっ!シリウスさんはじめ精鋭騎士いるのに!」

「…」


どうやらその隠し部屋は【ゴウキン】と呼ばれる妖精国で採れる鉱物から作られた鉛で、【ゴウキン】でしか壊す事ができない。

しかしこの【ゴウキン】は希少な上、錬金も難しく現存する【ゴウキン】は少ない。


「今王城には【ゴウキン】は無くのなすすべがない」


部屋の空気がどんどん重くなり、息苦しくなってきた。そろそろお茶会に戻らないと貴族派達が騒ぎ出す。


『妖精国のものならフィラ頼めば…』

『たえ それ むり』

『なんで?妖精国の王でしょ⁉︎』

『フィラ ひと たすけ だめ』

『…』


そうだ。女神や妖精王は自然界しか関与出来なかったんだ。ならどうする?


「チェイス様。鍵は侯爵が?」

「そうです。侯爵と令息が持っていて、2人しか開けれないそうだ」


術が見つからず皆の顔色が悪くなってきた。そんな中で1人腕組みをし考え込むグラント。

そして


「その隠し部屋は屋敷の別邸の一室ですか?」

「はい。その通りです」

「多恵が一芝居打てば…」


皆んなの視線が私に集中して思わずグラントの腕を掴んで見上げる。不安になった私に気付いたグラントはハグをして微笑み


「多恵がリッキー殿に」

「どのように誘えば⁈」

「そこまではまだ考えつかず…」


「「「「…」」」」


囮になるのはいいけど緊張して、お茶を一口のみティーカップを見詰めていて…


「あっ!」

「多恵様?」


いい案を思い付き早速皆さんに聞いてもらう。そして


「時間がありません。詳細は会場に戻りながら決めましょう!」


こうして次の作戦に移行する。上手く行くかは私次第。あのギラギラしたリッキー様に擦り寄るのはかなり気合がいる。それに…


「私が言い出したこととは言え、私の多恵があんな男に言い寄るなんて!相応の見返りを請求しますよ!」

「無論です!陛下にも必ず報告を致します」

「グラント演技だからね!我慢してね」


不機嫌なグランドに抱きつかれ歩きにくい。作戦が成功しても後が怖いなぁ…


さて会場が見えてきた。


『リリス!聞こえてる?報酬上乗せの検討お願いしますよ!』


会場に戻ると少し騒がしくなっていた。やはり私の戻りが遅くキーモス侯爵が帰ると言い出していたと後で聞いた。やはり悪者の頭だけあり感はいいみたい。


直ぐにキーモス侯爵とリッキー様が来てまた色々話してくる。


「多恵様がお見えにならないから、退城するか悩みましたよ」

「すみません。素敵な殿方ばかりで、お恥ずかしながら少しでも綺麗にしたくて時間をとってしまって…ごめんなさい」

「多恵様…貴女様は着飾らなくても愛らしい!」

「本当ですか?御世辞じゃなかったら嬉しい…」


少しデレたら食い付いてきたリッキー様。調子に乗って私の腰に腕を回し、後ろで護衛するバートンさんとジョエルさんが殺気だす。

でも今はリッキー様の気を引かないと!

少し離れた所でグランドもキーモス侯爵の気をひいている。

どんどん距離感が無くなるリッキー様に鳥肌をたてながら、早くと心で願うと!


「多恵様お待たせしました。ご所望のポテチにございます」

「「ポテチ?」」


キーモス侯爵とリッキー様が目を丸くしてポテチを見ている。急遽料理長にポテチを作って貰った。侯爵とリッキー様の食いつきはイイ!更に興味を引くようにグラントが


「多恵の世界のお菓子は面白い。アルディアに帰ったら陛下に献上するよ」

「待ってグラント。どうせ陛下に献上するなら、合うお茶と併せて献上したいわ。きっとモーブルならある筈だから探すまで待って」


そう。キーモス領は農作物の生産量は多く無いが多品種栽培している。その中に茶葉の品種も多いと前半戦でリッキー様から聞いている。そして珍しい茶葉は特別な部屋で保管していると言っていた。そして私が茶葉を探していて、その茶葉がアルディア王に献上されるとらなると、屋敷に招く口実となるはずだ。グラントにも私にも取り入りたいなら乗るはず。


『さぁ!今だよリッキー様。茶葉を売り込むのに私を屋敷の隠し部屋に連れてって!』


平然としているけど心の中はドキドキがMAXだ。早く!心臓に悪いよ!

するとグラントがポテチをキーモス侯爵とリッキー様に勧め、2人は恐る恐る食べた。

そして2人は表情を明るくして2枚目を食べる。


「これは変わった食感で美味ですな!」

「これは万人に受けますよ!」

『ここだ!』


食い付いた2人に追い討ちをかける


「私の世界では烏龍茶という茶葉があり、ポテチの様な油を使う食べものに合うんです。烏龍茶の様な茶葉はまだこの箱庭で見た事がなく探したいです。キーモス侯爵領で採れる茶葉に烏龍茶かあるといいんですが…」

「屋敷で希少な茶葉を保管しており、宜しければご紹介したい」

「是非!お願いします」

「ではまた後日…」


上手いこと屋敷に招待して貰ったが、後日ではダメ!今からじゃ無いと


「えっと…図々しいのですが、この後はダメですか?グラントがこの茶会が終わると帰国するので、その時にポテチのレシピと茶葉をアルディアの陛下にもって帰って欲しいです。急ですよね…」

「父上に相談して参ります。お待ちいただけますか?」


なんとか屋敷に招待してもらうために、リッキー様に自分からハグをして上目遣いで可愛い顔をした。こんなんで騙されてくれる?

すると調子に乗ったリッキー様は抱きしめて、断りもなく頬に口付けた!


四方から殺意を感じるが気付かないふりをし、心の中で今は皆んな我慢してね!と願う。

満面の笑みのリッキー様は侯爵の元へ行き相談している。そして侯爵がお付きの人に何が指示をし、お付き人は会場をでた。お付きの人の後に文官さんが1人退室したのが見えた。そして戻ってきた侯爵とリッキー様が


「話をお聞きして多恵様のご希望通り我が屋敷に今からご招待しましょう。使いをやり準備をさせました。是非夕食は我が家で召し上がっていただき、そのままご宿泊下さい」

「ごめんなさい。無理を言ってますね…でもお世話になったアルディアにお返しがしたくて…」


なんとか侯爵邸に向かう事ができた。恐らく後はチェイス様が動いてくれてるはず。皆さんを信じて私はリッキー様を誘惑するだけだ。

私は美しくも無く妖艶でも無いのに、リッキー様の気を引き続ける事が出来るの?


こうして他の貴族の嫉妬の視線を受け、キーモス侯爵邸に向けて出発する事になった。

他の参加している貴族1人に1人に別れの挨拶しお茶会を終える。実はこの方々は証拠が出ていて、お茶会が終わると同時に騎士に拘束される。

皆さんそうとは知らず領地訪問を希望されている。笑って誤魔化してお別れをした。


すっかり恋人気取りのリッキー様にガッツリ腰を抱かれ馬車の待機場まで移動する。

リッキー様の手がどんどん下に移動しているのが気になるが我慢の子の私。


待機場に着くと陽が傾き始めている。リッキー様の説明では到着は6刻半過ぎになり夕食は侯爵家でいただき、表向きは泊まり明日王城に帰る事になった。でも本当は深夜になっても帰るけどね。だってそのまま泊まったら確実にリッキー様に夜這いされるもん。

グラントは同行せずバートンさんジョエルさん他5名の騎士と、侍女はアイリスさんが急遽同行してくれる。


グラントが付き添わない事から、リッキー様の口説きが加速するのが目に見えている。だからグラントの表情は怖い。

早くすべて終えてやきもち大魔王を鎮める儀式をしないといけない!


こうしていつも以上に無表情のアイリスさんとリッキー様に侯爵と馬車に乗り込みキーモス侯爵家屋敷に向けて馬車は出発した。


不安だけど侯爵家屋敷にはシリアスさんはじめ精鋭騎士が待機している。味方のみんなを信じ気合を入れ直す。そして更にギラギラしたリッキー様に微笑んだ。


お読みいただき、ありがとうございます。

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