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予想外

バートンさんと話し『黒多恵ラスボス』召喚が決まりました!

「今陛下はこの国の膿を出し新たなモーブルを作ろうとされています。バートンさんの陛下への忠誠心を信じています。私も一緒に頑張りますから」

「多恵様…」


俯き黙り込むバートンさんを労わる様に背に手を添えるアラン様。少しの沈黙の後に意を結したバートンさんは顔を上げて私を見据え


「私は陛下に忠誠を誓ったモーブルの騎士。家門より国を優先します。私に役目を!」

「よく言った。それでこそ聖騎士だ」


アラン様は嬉しそうにバートンさんを見て肩を叩く。2人を見てモーブルの明るい未来を確信した。

この後バートンさんを信じてお茶会と同時に一斉がさ入れする計画を話す。するとバートンさんかお茶会で貴族派を安心させる為に私の護衛に志願してくれる。

バートンさんは塩顔の一見神経質そうに見えるが中々の美形で、いつもは涼しい顔をしているイメージがある。が今の彼は精悍な男の顔をしていてその表情にドキっとした。一皮剥けていい男になったよバートンさん。

お茶を一口飲みバートンさんは私とアラン様に礼を言い退室して行く。そしてアラン様はバートンさんに話をしたのが私で良かったと言い、優しい表情で応接室を後にした。


2人が退室後にソファーに深く座り一息つくと女官さんがお茶とケーキを出してくれる。

極甘のケーキは疲れた体と頭にしみてほんの少し元気が出た。糖分補給して暫くぼんやりしてたら文官さんがジョエルさんを通していいか聞いてくる。あまりお待たせするわけにいかない。通してもらう様にお願いし食器を下げてもらう。

少しするとレックス様とジョエルさんが入室されたので、立ち上がりソファー横でお迎えする。

入室したお二人の表情は固い。いつも気さくなジョエルさんは今ここにはいない。


着席してもらい先程と同様に先ずは不正内容が書かれた調査書をジョエルさんに渡す。ジョエルさんは眉を顰めて資料を読み進めていく。そして大きい溜息を吐いて…


「貴族はしがらみだらけで嫌いなんだ。だから俺は己の実力でのし上がれる騎士を選んだ。でも結局俺も貴族なんだなぁ…

親父殿にはやばい橋は渡るなと何度も忠告したのに。親父殿は気が弱いから…」


いつもの様にチャラい感じはなく、膝の上で手を握り締め苦悩するジョエルさん。

ジョエルさんの実家はチャイラのブローカーからバスグル人の不法入国を受けているだけで、納税も待遇もちゃんとしていて良心的。

ただ…やはり遠縁にあたるキーモス侯爵家に逆らえず、不正の隠れ蓑の役を担っている様だ。


「親父殿はキーモス侯爵に頭が上がらない。何度関係を切る様に話しても決断できなかった。我が父ながら情けない…しかし止めれなかった俺にも責任があります」


慰めるのも違うしなぁ…こんな時なんで言うのが正解なの?

自分の言葉の少なさに落ち後でいたら、ジョエルさんがいきなり立ち上がり私はびっくりして体が強張る。

そして!


「俺に役目を与えて下さい。必ず遂行し後にどんな処分も受けます」


覚悟を決めた様な顔をしているジョエルさん。その表情から信用できると判断しバートンさんと同じくお茶会の護衛をお願いする事にした。2人が護衛に就いたら間違いなく、キーモス侯爵が接近してくるだろう。


話は纏まり護衛に決まったジョエルさんはバートンさんと打ち合すと言い挨拶もそこそこに退室された。レックス様が苦笑いして代わりに謝罪される。


「大丈夫です。彼奴は軟派に見えますが正義感が強く任務は必ず遂行します。信用いただきたい」

「はい。勿論信じていますよ」


こうしてミッションが終わり肩の荷が降りた。へろへろになりながら部屋に戻ると何故かゴードンさんが居て満面の笑みで待っていた。疲れた心と身にその笑みは恐怖でしか無い。


「多恵様。明日はお茶会だと聞き及びました。ですのでドレスをリメイクしました!」

「はぁ…」

「早速ご試着を!」

『えっ!今から⁈』


今日の当番のフィナさんは私の顔色を窺っている。お願い止めて!困った顔をするフィナさん。彼女フィナにゴードンさんと対峙するのは無理だ。圧の強いゴードンさんはドレスを手に私に躙り寄る。するとそこに救世主現る?


「ゴードン殿。多恵様は午前中縦続きに面会に応じお疲れ故休息が必要だ。試着が必要なら夕刻に参れ」

「これは失礼致しました。多恵様。ご休憩後に一度お袖通しを…侍女殿。不備が有ればメモをとり私の工房へ連絡をください」

「かっ畏まりました」

「ゴードンさんありがとう」


こうしてゴードンさんは退室し、チェイス様はフィナさんにもっと早く対応する様に注意している。暴走したゴードンさんを止めるのはアイリスさん以外は無理な気がするけど…

チェイス様に用向きを伺うと明日詳細が決まり知らせに来てくれたようだ。


「多恵様。2人に話をしていただきありがとうございました」

「いえ、特別な事はしていません。説明は完璧な資料があったからだし、お2人は”騎士”で誠意なある方々ですから」


目尻を下げ微笑んだチェイス様は立ち上がり胸に手を当ててお辞儀し


「貴女が”女神の乙女”で良かった。リリスに感謝を…この後、2人が私に面会を申込んでおります故、失礼いたします。侍女殿、多恵様はお疲れだ。早く食事の準備を…」

「畏まりました」


お忙しいチェイス様は退室されやっと1人になりゆっくりできる。用意されたランチは私が好きな物が並び皆さんの心遣いを感じられた。

そしてやはり食後は眠くなりソファーに座っていたら寝てしまい、起きたらやっぱりベッドに寝かされていた。毎度×2すみません。


昼寝から起きチェイス様が持って来た明日のお茶会参加者名簿と簡単に纏められた不正の資料に目を通していたら、文官さんが急ぎの用向きで部屋に来た。どうやら陛下が執務室まで来て欲しいそうだ。フィナさんに手伝ってもらい慌てて準備をする。


なんだろう?寝起きにトラブルは勘弁して欲しいなぁ…

急いでケイスさんにエスコートしてもらい陛下の執事室へ。部屋に着くとラフな服装のイケオジが迎えてくれる。そしてイケオジは足早に来て抱きしめ頬に口付ける。視線合わすと陛下の瞳に焦りが見て取れる。不足の事態?


陛下が私の手を取りソファーに座らせてくれ茶が出されるとすぐ人払いされた。


「急に呼び申し訳ない。実は事態が急変したのだ」

「何かあったんですか?」

「エリアスが帰国が早まった」

「何ですと⁈」


今帰って来たらダメじゃん!今朝ベイグリーから来た貨物線がエリアスからの書簡を預かって来て、内容は職務を早く終わらせ帰国を早めるというものだった。


「外交を延ばす理由がなく困っている」

「今帰って来たら計画がダメになるじゃないですか!」

「何か察したのか与えた仕事を早く終わらせ、帰りを急いでいるようだ」

「(貴族派の)誰かが知らせたの?」

「いや。貴族派の動向は監視させてあった故にそれは無い」


陛下も私も考え込み沈黙が続く。明日のお茶会としょっぴいて取調べが終わるまでは帰ってほしく無い!

陛下に聞けば明日朝にもベイグリーを出港するらしい。と言う事は3日後に帰ってくる。

明日の朝までに引き留める術が見つかるの?それに引き止める伝達手段は?今から手紙を送っても入れ違いになり届かない!


「陛下…止めれない…ですよね…」

「故に港で足止めの術をチェイスが探している」


恐らく入港したら長く引き留める事は無理だろう。作戦があまりにも上手く行き過ぎていたんだ。もっと2、3手を考えておくべきだった。


『私が港に行き引きつけておく?そんな事3日も出来るだろか?確かエリアス様に奥方を亡くされた息子さんがいたはず。その息子さんに色仕掛けする?』

『たえ すなお むり』

『いや!私女優になり演じるよ!』

『フィラ グラント パニック』

『…』


そうか…そっちの方が厄介そうだ。また策無く沈黙が続き…


『たえ てん よぶ』

『なに?』

『いいから!』


この重い空気を癒やしてくれるの?とりあえず言われるままてん君を呼ぶと、膝の上に座りスリスリしてくれ、極上の毛玉で癒された。そしててん君は私に真っ直ぐ向き合い


『たえ ロイド おれい まだ』

『うん。まだだね。って言うか要らないし』

『ロイド ベイグリー ようせいおう』

『知ってるよ』

『ロイド うみ ザパーン あめ ザアザア できる』

『?…てん君!』

『フィラ より つよい ロイド できる おれい たのむ』



「てん君!天才!」


私がいきなり叫び驚く陛下。でも今は構ってられません!てん君を高速でもふもふし、婚約者たちの様にキスの雨を降らした。

打開策が見つかった。さぁ!エリアス様の足止め作戦始動です。

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