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チャイラの関与がわかり頭が痛い!

「はぁ…」


何度目になる溜息を吐いたらフィナさんが慌てて寝室に来た。そして


「多恵様。今陛下から急ぎの手紙が届いております。ご確認下さいませ」

「陛下から?急ぎ?」


急ぎと言われ直ぐに開封し読むと…


『婚約者との時間の邪魔をして申し訳ないが、アルディアとチャイラの対応について話したい。そこで多恵殿にグラント殿との夕食に同席いただき意見を乞いたい。

決して私の悋気やきもちからでは無いぞ』


小難しい文章だが要約するとこんな感じだ。陛下ダラスとグラントかぁ…相談はいいけど、やきもち大魔王のグラントと最近ぐいぐい攻めの陛下ダラス。一触即発の予感しかないんだけど…

何度目かの溜息を吐きフィナさんに夕食の招待を受けると返事をしたら丁度グラントが来た。入室時は眉間に皺を寄せ難しい顔をしていたが、目が合うなり直視出ない程眩しい微笑みをいただく。後ろでフィナさんが悶えている。いい加減慣れて…

足早に目の前に来て抱きしめ当たり前の様に口付けをするグラント。気が付くとフィナさんは退室している。するとグラントは耳元で


「モーブルの侍女も優秀な者が多い様だ。恥ずかしがり屋の多恵は人がいると口付けを嫌がるからね、私の想いを込めた口付けできないのが不満だよ」

「えっと…激しいのは心臓に良くないで遠慮したいです」

「私の愛は重い?」

「う…ん。それより陛下との夕食なんですね」


まさか“メガトン級に重い”なんて本人に言える訳なくて話を逸らした。

少し不機嫌になったグラントにコアラの様にぎゅっと抱き付くと表情が柔らかくなるグラント。


「多恵は(夕食を)受けたのですか?」

「はい。アルディアに関係しているなら協力したい…し!」


予兆なく噛みつくような深い口付けをいただき酸欠状態になる。やっと唇が離れたら酸素不足で足に力が入らず膝から崩れる。咄嗟にグラントが抱きとめてくれる。こんなにぐったりしているのにグラントの口付けは止まない。そろそろ怒ろうとしたら申し訳なさそうにフィナさんが来て


「グラント様…申し訳ございません。陛下との夕食の為、多恵様は準備がございますので…」

「分かった。済まぬがドレスは私が持って来たものにしてくれ」

「はい!畏まりました!」

「ん?」


こうしてグラントは一旦は部屋に戻り私は湯浴みと着替えをする事になった。何故か不安なんだけど…


「これか…」


姿見に映る自分で見ながら溜息を吐く。今私は淡いラベンダー色と光沢のある白のシンプルなドレスを着ている。オフショルダーで左胸に大きな薔薇の花がアクセントになり子供っぽくなってない。

フィナさんが興奮しながらこのドレスもグラントが用意したものだと言い、またまた頬に手を当てて乙女全開だ。フィナさんなんなら代わろうか?

でもそんな事をグランドに言ったら…想像しただけで寒気がした。

準備が終わりソファーでぼーとしていたらグラントが迎えに来る。グラントの装いはライトグレーの正装でかっこいい!

グラントは基本淡色の装いが多く、反対にキースは濃色が多い。二人とも何を着ても似合い羨ましい。グランドを見詰めながら婚約者の好きなところを考えていた。

グラントはさらさらツヤツヤの銀髪と銀縁眼鏡だ。そしてキースは切れ長で涼しげな瞳。でもクールそうで臙脂色の瞳は情熱的だ。

フィラは大きく優しい手が好き。婚約者達は体温高めで抱きしめられると心地いい。その中でもフィラの手は大きく包まれてる感が半端ない。この世界全てのものから護ってくれると思えるのだ。


「多恵…今貴女の心に他の男がいませんか⁈」

「へ?いっいませんよ」

「はぁ…貴女は罪だ。私の愛が足りない様だ。他の男が入る隙がないほど、もっと愛さないといけませんね」

「いや!十分すぎる位に貰ってますから!」

「じゃ!」

「正装してかっこいいグラントの事考えていたの!本当だよ!」


嘘は言ってない。他の婚約者の好きな所も考えていたけど…それは言わない方が平和だ。両手を広げて破顔しグラントが近づいてくる。力強く抱きしめられて思い出す。抱擁も好きなところを入れとかなきゃ!って言うか婚約者達の抱擁は大好き!

こうしてやっと落ち着いたグラントのエスコートで陛下が待つ部屋に向かう。廊下歩くとまた女性の視線がグラントに集中する。女性の視線にも少し慣れてきたらとんでもない人と遭遇する。


「多恵様?」


声をかけられた方を見ると王妃様だ。王妃は離宮で過ごされ滅多に王宮の方へ来ないからレアキャラだ。

グラントに王妃様だと耳打ちすると流石公爵家嫡男だ。優雅な所作で王妃様にご挨拶する。王妃様はにこやかに挨拶を受けているが目が笑っていない。やっぱりホラーだ。


「多恵様の婚約者フィアンセは素敵な殿方ばかりね。モーブル女性の視線を集めているわ。陛下ダラスはもっとアピールしないと多恵様に心を頂けないわね」

「王妃様⁈」


また意味不明な発言に空気が凍る。隣にいるグラントは微笑んでいるけど明らかに殺気立っている。


『お願い王妃様!これ以上やきもち大魔王を刺激しないで!』


と心で叫び少しでもグラントが落ち着く様にグラントにすり寄りぎこちないが微笑んでみた。

グラントは徐に私の頬に口付ける。四方から女性たちの溜息が聞こえてくる。

案内してくれていた バートンさんが王妃様に先を急ぐと断わりを入れてくれ、やっと陛下の元へ移動を再開した。

何も言わないけどグラントがピリピリしている。今から頂く夕食はきっと味がしないと諦めた。

部屋の扉が見えてきた時グラントがボソッと


「多恵は何人の男に求婚アプローチされているのでしょね。食後たっぷり時間がありますから話し合いましょうね」

「疲れていて早く寝たい…」

「分かりました。添い寝して差し上げましょう」

「!!」


どうやらまた痩せて周りに心配されるのが決まった様です。


入室許可を得て入室すると陛下と…


『マジで!』


陛下の後ろにシリウスさんが立っている。シリウスさんは目を細め色気たっぷりの微笑みを向けてくる。入室後秒でグランドが不機嫌になった。シリウスさんから陛下に視線を移すと、これまた大人の色気たっぷりの微笑みをもらう。そして陛下が…


婚約者フィアンセとの食事を邪魔し申し訳ない。しかしグラント殿の滞在中に打ち合わせたい事が多くてな…許せグラント殿」

「いえ。私も職務優先ですのでお気になさらず。多恵とはちゃんと2人の時間を過ごせておりますので」

「あ…」


グラントがイチャイチャしていると大ぴっらに言っている。恥ずかしくて一気に頬に熱を持つ。その様子に陛下とシリウスさんの表情が強張る。一息付き陛下が…


「多恵殿の装いはよく似合っている。しかし私は先日のドレスの方が華奢な貴女に似合っていたと思うぞ」

「昨日のドレス?水色の?」


そこである事に気付く。目の前の陛下は白のロングジャケットに水色のシャツに青いタイをしている。陛下のシャツは…昨日のドレスと同じ生地っぽい?


「陛下も水色⁈…」


ここで前に聞いた話を思い出した。確かモーブルでは生まれた時に自分の色を持つって!グリード殿下がコーラルだってゴードンさんが…

猛烈に嫌な予感が…

陛下は嬉しそうに笑いながらジャケットを抜いだ。そして


「やはり貴女は頭が良く話が早い。そんなところも好ましい。そうだこの水色は私の色だ。昨日の貴女のドレスと私の今日の装いはゴードン自慢の作品らしい」

「・・・」


めっちゃペアですやん!だから昨日ドレスに着替えた時、ゴードンさんもモリーナさんも嬉しそうだったんだ!

やられた…

陛下は挑発的な視線をグラントに送っている。私をグッと引き寄せるグラント。のっけから争わないでよ!

溜息を吐き


「今日の食事の主旨を忘れてませんか?張り合うなら私は1()()()部屋に戻ります!」


グラントのホールドを払い扉に向かうと、3人が一斉に謝罪し本題を話し合う事を約束したので仕方なく戻った。


「次揉めたら一人でマジ戻ります!」

「「「もうしない!」」


はぁ…やっと席に着き食事が運ばれてくる。一応和やかに食事は進み最後のデザートの後に人払いがされる。はい!本題です!


「キースからの手紙で大凡は把握しました。アルディア側と陛下の考えを聞かせてもらえますか?」


そう言うとグラントが陛下に発言許可を得て話し出す。


「アルディアはチャイラからの入船を全て拒否する考えです。既に入国したバスグル人とチャイラのブローカーは陸路でモーブルの国境からモーブルに入国する為に、アルディアの各地に潜んでいる様です。アルディアとしてはモーブルと連携して対処したい。今は監視をつけて泳がせている状況です」

「モーブル次第か…」

「左様にございます」


そう新たな問題はバスグルからの密入国口がモーブルからアルディアに移っている事。

私がモーブル入りして誰とは言わないけど、バスグルの労働者問題に着手したとチャイラ側にリークしたんだろう。モーブルに向かうのは危険と感じたチャイラはアルディアに目を付け10日前からチャイラからの入船が増えている。

初めに気付いたキースがルーク陛下に報告し事実確認できたタイミングで私に会いに行くグラントに一任した次第だ。


『グラントは宰相補佐だからモーブルとの交渉に適任。キースは少しの変化も見逃さないなんて!私の婚約者は出来る男だ』


心の中で婚約者自慢をし誇らしく思い上機嫌になり無意識に口元が綻ぶ。するとデザートが気に入ったと勘違いされて、追加でデザートが出てきて驚く。緩んだ気持ちを引き締める為に座り直し、お茶を一口飲みお仕事モードにチェンジします。

さぁ⁉︎来い!

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