帰城
なんとベンさんとモナちゃんが知り合い!この後悲しい事実を知る事に
「モナは今どこに?」
「居場所は知らないです。でも次に会う約束をしています」
「良かった…ずっと探していたんです」
涙目になりながら安堵の表情をうかべるベンさん。レックス様にベンさんの拘束を解いてもらうようにお願いするがレックス様は難色を示す。でも私はちゃんと向き合って話したい。
再度お願いするとアラン団長が同意してくれベンさんのロープは解かれたが、ベンさんの左右にレックス団長とジョエルさんが立ち警戒する。
「事情を話してくれますか?」
「はい…」
モナちゃんのお姉さんがヒラリさんでベンさんと婚約していた。2人は同時期にモーブル行きを申請したがベンさんが先に申請が通りモーブルに渡ったそうだ。暫くは遠距離恋愛で手紙のやり取りをしていたが、ある時期から手紙が届かなくなる。
半年経った頃に実家から手紙が…
「ヒラリが流行病で亡くなったと言う内容でした。報を受け数日ショックで記憶がありません」
「流行病ってリリスの箱庭でも流行る病気ですか?」
「はい」
インフルか…ちゃんと対策すれば亡くなるまで行かないのに。
「ヒラリが亡くなり後を追う事も考えましたが、私には国に残した家族の生活がかかっているし、俺が死んだらヒラリが怒ると思い踏み留まりました。それからヒラリを忘れる為にがむしゃらに働いたんです。
そして2年経った頃に不法入国した同朋を助けた際にヒラリの妹のモナもモーブルに来ている事を知ったんです」
どうやらヒラリさんが流行病で亡くなり、生活が苦しくなり申請待ち出来なかったモナちゃんが不法入国を選ばさるおえなかった様だ。
「乙女様。公爵様にも了解をもらいます。モナに会う時に私も同行させていただきたい!」
「”はい”って言って上げたいのですが、モナちゃんの意志を確認しないと。離れている間にモナちゃんにも色々あったはず。彼女の意志を尊重してあげたい」
落胆するベンさん。モナちゃんに会った時にベンさんの話をし、会う意志があるか聞いてくる約束をし面会は終了した。
バスグルの皆さんが見送ってくれ小屋を後にする。畑には馬が待機していてアラン団長に馬に乗せられ公爵邸に戻る事になった。
「小屋前の農道は狭く馬車入れない。多恵様はまた歩くと仰ると思い馬を用意しました」
「大した距離では無いのに…」
「今回の視察でかなりお疲れの筈、無理はなさらないでいただきたい」
「はぁ…い…」
確かに疲れている。またへたると迷惑をかけるので大人しくする事にした。
公爵邸に戻ると湯浴みし着替えと帰り支度。
遅くならない様にすぐの出発となった。
屋敷前でお礼とお別れのご挨拶をします。
「公爵様、サイファ様。色々手配頂きありがとうございました。また何かありましたら、よろしくお願いします」
「こちらこそ助言いただきありがとうございました。そらからベンの話は聞きました。是非彼等を助けていただきたい」
こうして馬車に乗り込み王城に帰ります。
今から寄り道せずに帰ればギリギリ今日中に帰れるらしい。
馬車の中にはブランケットやクッションが沢山用意されていて、寝ちゃってくださいって事のようだ。
疲れているのにまたアイリスさんに気を配りたく無いからもぅ帰りは寝ちゃいます。
ランティス領の街に寄り昼食を食べ1度トイレ休憩をして7刻半に王城に着いた。到着時の私は完全に寝ていてお迎えしてくれたシリウスさんが部屋まで運んでくれたそうだ。翌朝起きたら自室のベットだった。
はぁ…今日は騎士団の皆さんと陛下にお礼を言いに行かないとなぁ…そんな事をぼんやり考えていた。
ベッドの中でまだ眠い私は心地いい温かさと安心する香りにまったりしていたら
「まだ寝てろ。疲れているだろう」
「フィラ。おはよう」
温かく落ち着くフィラの抱擁に身を任せていたら軽く口付けされる。
「でも帰城の挨拶と同行してくれた皆さんにお礼言わないと」
「相変わらず真面目だなぁ。そんなお前も愛おしい…このまま妖精城に行くか?」
「なんでそうなるの⁉︎」
私が”ムキっ!”ってなると楽しそうに笑うフィラ。いじめっ子だなぁ!
「失礼致します。多恵様ご起床でしょうか?」
「はぁ〜ぃ〜起きてますがフィラが来てます〜」
「あっえっと…ではまた後程…」
フィナさんか遠慮がちにフェイドアウトしていく。気を使わしたなぁ…でもそろそろ
「フィラ。そろそろ起きるからまたね!」
「あぁ…俺も準備があるから帰る」
「準備?」
フィラは微笑み口付けてあっさり帰って行った。何の準備?
とりあえずベッドから降りて部屋の方に行くとフィナさんがお茶を入れてくれる。温かいお茶にほっこりしていたら
「多恵様。もしお疲れで無ければ陛下が朝食を共にと…」
「大丈夫です。視察のお礼も言いたかったので丁度いいわ」
「畏まりました。陛下にお伝え致します。それでは湯浴みを…」
昨晩は寝てしまい湯浴みしていなかった。スッキリするハーブを入れてもらい朝から気持ちいい。
ゆったりしたワンピースにしてもらい陛下の元へ向かうが…何故かシリウスさんが迎えに来て
「昨日は部屋まで運んでもらいすみませんでした」
「過密なスケジュールでかなりお疲れでしたね。俺も同行したかった…」
「シリウスさんはグレン殿下をお守りする大切なお役目がおありでしょ⁉︎」
ぐっと私の腰を引き寄せて耳元でシリウスさんが
「俺が側にいたら危険な目に合わさなかった」
「あれは!私が勝手な事をしたから自業自得で…へっ⁈」
シリウスさんは大きな手を頬に添えて頬に口付けた。朝からやめて恥ずかしい!
「事故の報告を受けた時、全てを投げ出し貴女の元に行こうとしたんですよ。しかし陛下に止められ…」
「重ね重ねすみません。完全に私の不注意です」
「貴女は何も悪くない!本当に無事でよかった…」
こんな間近でどアップでデレられると焦る。湯浴みしたのにもう汗ばんで来た!
シリウスさんのデレに当てられながらやっと部屋に着いて少しホッとする。部屋に入るとラフな部屋着を着た陛下が待っていて、朝から熱い視線を受ける。
「おはようございます。今回の視察ご配慮いただきありがとうございました。一応?無事に帰ってきました」
陛下は無言で立ち上がり足早に来て徐に抱きしめてきた。う…んやっぱりいい香りと心地いい体温…
「無事でよかった…貴女が船からの転落したと聞き生きた心地がしなかったぞ。貴女に何かあれはどれだけの者が悲しむか」
「完全に私の不注意です。皆さんにお礼とお詫びを…」
腕を緩めた陛下は両手で頬を包み額に口付けた。その優しい口付けに愛情を感じ胸が熱くなる。陛下の熱い視線から目を離せず困って来た時
“ぐぅ〜”
「あっ!」
盛大に私のお腹の虫が鳴いた。一気に頬が熱くなるのが分かる。優しく微笑む陛下は手を取りテーブルへ
「すまない。昨晩は食べいないのだなぁ。まずは可愛らしい鈴の音を止めてあげねばな」
「恥ずかしい…」
こうして陛下と向き合い食事を始める。
食事中は陛下は他愛の無い話で和ませてくれる。
『ゔ…ん大人の男だ』
そして食事が終わりデザートのフルーツを食べていたら陛下が
「明日バスグルの少女に会いに行く時は私も同行しよう」
「へっ?」
お茶を飲みながらサラッとすごい事を言ったよ!目が点になっていたら陛下は
「私も現実を知りたい。貴女ばかりに頼っていれないからね。明日は騎士に混ざり貴女を守ろう」
「えっ!いや!警備上無理なのでは⁉︎」
焦る私を後目に陛下は誇らしげに
「国王だか常日頃から騎士に混ざり鍛えていて、その辺の分隊長より私は強いぞ」
「・・・」
なんて返すのが正解なのだろう⁈家臣たちがOKするとは思いない。結局は行かないよね⁉︎マジ行かないよね⁈
黒幕さんだから頼りたくないけど、エリアス様が止めてくれるよね!
返事に困っていたら陛下は楽しそうに
「バスグルの少女に会った後は城下で逢瀬を楽しもう」
「いやいや終わり次第城に直帰でしょ!」
「貴女との距離を縮めたいのだ。貴女は城では”王”としてしか見てくれない。1人の男して見てほしいのだ」
「えっと…」
今はバスグルの問題で手がいっぱいでそちら方面は今は遠慮したい。程よく断る為に意地悪なのは分かっているけど…
「王妃様とは話し合えているんですか?」
「…いや進展はない。貴女は痛い所を突いてくるなぁ…王妃は貴女と話をしたいそうだ。そちらも貴女の助けが…」
「?」
黙り込んだ陛下は困った顔をして
「貴女は狡い。私と距離を取るために王妃を口実にしている。真面目な貴女は恐らく今はバスグル問題に集中したいのだろう。だから私のアプローチを受ける余裕が無いのかもしれない。しかし私は貴女の心の隅でいい入りたいのだ」
「すみませんでした。確かに意地悪でした。でも王妃様の件は避けて通れないのは事実で…」
「分かっている。しかし王という地位が邪魔をし貴女との距離が埋まらない。だからチャンスを逃したくない」
「・・・」
結局陛下の圧に負けてOKしてしまう。ここで”NOと言えない日本人”気質が出てしまった。大人で飄々としているイメージだった陛下が必死だったので絆されたのかもしれない。
陛下は嫌いではない。しかしやはり王妃様が居るし国王だし…現実的に陛下の想いを受けるのは難しいし、モーブルで伴侶を決める気はない。ってこれは大事になろそうだから絶対言わないけど!
そう言えば王妃様のお父さんの公爵様から、『王妃の話を聞いて欲しい』って頼まれていた。こちらも進めないとなぁ…
ゔ…モーブルは問題だらけである。今思うとアルディアは平和だった。次リリスと話す機会があるなら絶対追加報酬を請求します!
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