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ホワイトチョコ

転落事故があり周りが更に過保護に…自業自得だから大人しくすることに


転落事故後、本当はほんの少しだけでも街の散策をする予定が無くなり、ランティス領に向け出発する事になった。かなり凹んでます。怖い思いもしたがどちらかと言うと自己嫌悪。また皆さんに迷惑かけるかけたと思うと立ち直るのに時間を要しそうだ。


伯爵家の馬車に乗り伯爵家屋敷に戻り、帰り支度が出来次第出発するそうだ。

自分の不注意だから街ぶらしたいなんて言えないよ。


あまりの私の落ち込み様にアイリスさんが気分転換にカーテンを開けてくれた。ぼ…と外を見ていたら…


「あっ!」

「どうなさいましたか⁈」


いきなり私が大声を出したからテンパるアイリスさん。

窓に噛り付き


「今、チョコラーテのお店が!」


アイリスさんは直ぐに御者に合図を送り、少ししたら馬車か止まった。


「多恵様。少しお待ち下さい」

「うん?」


アイリスさんは馬車を降りると、誰かと話している。キースからリリスの箱庭でチョコラーテを扱うお店はキースのファーブス領とモーブルにしか無いと言っていた。さっき見たのはもう一つの店の様だ。アイリスさんが出でからどのくらい待っただろう…

馬車の扉が開いてレックス様が手を差し伸べてくれる。訳が分からないけど何かあったのだ思いレックス様の手を取る。

馬車を降りるとアイリスさんはじめ皆さん優しく面持ちで私を見ている。


『なんだろう?』


レックス様は私の手を取り歩き出す。

私とレックス様の前にジョエルさんが歩き、後ろにリースさんとマルロさんがいる。

全く状況が把握できずドナドナ状態の私。


少し歩いてジョエルさんが眩しい笑顔で振り返り


「着きましたよ!」

「ん?あっ!」


そう目の前にチョコラーテのお店が!


「あまりご希望を仰らない多恵様が、ご所望とあらば叶えるのが我らの役目でございます。入られますか?」

「良いんですか⁈」

「勿論でございます」


付いて来てくれた皆さんに向かって


「ありがとう!嬉しい…チョコ大好きなんです…」

「多恵様!ぶっ!」


声のする方を見るとジョエルさんがレックス様に首根っこを掴まれて仰け反っている。

どうやら私に抱きつこうとしたらしい。

苦笑いしたリースさんのエスコートで店内に!


『甘い〜』

店内は甘い香りが満ちて落ち込んでいた私はどこかに行ってしまい、ショーケースのチョコに釘付けだ。


ファーブス領のお店より大きく種類も多くワクワクが止まらない!


『異世界に行ってもチョコは正義です!』

意味の分からない格言をいいチョコに魅了される私…

農業大国だけありノーマルのミルクやビター以外に果物を使ったものなどもあり目が楽しい!


「お嬢さん。かなりチョコ好きとみた。新商品を味見してみるかい⁈」

「はい。チョコは正義です!」

「正義?…おじさんには分からんがこれを食べてみな」


店主に促され手を出すとそこに!!


「ホワイトチョコだ!!これ大好き!」


ビターチョコと甲乙つけ難いホワイトチョコが出て来た。感動している私と後目に驚いている店主。


「お嬢さんは何者なんだい?このチョコはうちの料理人が何年もかけて作り出したモノで、まだ誰も知らないはず…もしかして技術泥棒スパイか⁈」


店主から疑惑を掛けられているとも知らずにホワイトチョコを頬張り堪能している私。すると同伴するレックス様が


「店主。知らぬこと故に罪に問わぬが、このお方は女神リリスが召喚なさった乙女様だ。異界の技術をご存じなのだ。分かるな…」

「!!!」


店主は慌てて出て来てて平身低頭で謝罪される。


「こんな平凡は女が乙女何て思わないですよね…気にしないで下さい。それより…このホワイトチョコは試作品ならば売ってないんですよね…いつ発売するんですか?買いに来ますから!」


鼻息荒く店主の手を握り詰め寄ると

「試作品ではございますがお分けする事が出来ます。お気に召したのなら是非お持ち帰り下さい」

「いえ!試作品をいただけません。販売されるようになってら買いに来ます。その時は教えて下さいね」

「乙女様・・・」


ホワイトチョコが箱庭でも味わえると思うと凹んだ心は少し平らになって来た。少し気分よくなって来て視線を感じて視線の先を追うと

レックス様はじめ同行してくれた騎士さん達の“温かい目”に戸惑う。

結局レックス様に勧められ思う存分にチョコを買い求め私完全に復活!

ホクホク顔で店を後にして馬車に戻る。馬車に戻るとまたアイリスさんや騎士さん達が“温かい目”で待っていて照れてしまう。

再度タバス伯爵の屋敷に向かい。お出迎えしてくれたライラ夫人にチョコをお土産に渡した。夫人の後ろに控えるお嬢さん達がいい笑顔をしたのを見逃さなかった。

こうして帰り支度を終え港から戻られた伯爵様とライラ夫人にお礼を言い、ランティス領に向けて出発する。

また長い長い馬車移動だ。でも今の私は問題なし!だってチョコがあるんだもん!

出発しタバス伯爵領を出て暫く行くと直ぐにランティス領に入る。宿場町が無いので小川横の草原でお昼休憩をとる。タバス伯爵屋敷の料理人さんが昼食を用意して下さり、アイリスさんがお茶を入れてくれ、私が声掛けをして皆さん一緒に昼食ととる。


「みんなで食べると美味しいですね〜」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」


騎士の皆さんは良い返事を返してくれる。

やっぱり皆さんよく食べる。おせちを入れるお重大に入ったサンドイッチやら揚げ物が、あっという間に消えていくのだ。

やはりここでも私の食事が少ないことを危惧した騎士さん達はこっそり私のランチボックスに色々おすそ分けしてくれる。


「も!皆さん私こんなに食べれませんから!ご自分で食べて下さい!騎士は体が資本でしょ!」


がっかりする騎士の皆さん。でも無理なものは無理!食テロから逃げやっと食べ終わり、ランティス領に向けて出発します。


ランティス領は国内で一番広い農地を有するだけあり、ランティス領に入ってから畑以外見えない。一面の緑で視力回復は間違いない!


やはり転落事故は知らず知らずに体に負担がかかっていた様でまた馬車で熟睡してしまった。目が覚めるとアイリスさんが抱えられている。油断した…


「ごめんなさい。寝ちゃってました」

「あの様な事が有ったのです。ご自分で思われているより心身共にお疲れなのです。多恵様の支えになりたいですわ」

「ありがとう」


アイリスさんの熱ぽい視線に困っていたら御者さんが小窓をノックして


「まも無く日が沈み夕日が綺麗ですよ」

「ありがとう。アイリスさんカーテンを開けていい?」


ナイスタイミングで御者さんが声をかけてくれ助かった!アイリスさんの許可得てカーテンを開けると地平線に夕日が沈む所だった。

元の世界より箱庭の太陽は大きい。でも陽射しは柔らかく心地いい。きっとリリスの加護があるからだろう。


窓から夕日を見ていたらマルロさんが近づいて来たので


「(夕日が)綺麗ですね…」

「はい。ずっと見ていたい」

「残念ながらもうすぐ沈んじゃいますよ」

「夕日に照らされた貴女はこの世界の何より美しい…」

「えっと…ありがとう?きっと夕日のお陰ですよ」


急にマルロさんが男の顔をするからどうしていいか分からなくなる。するとアラン様が来てマルロさんを一睨みし、私に話しかけて来る。


「多恵様。直ぐに日が落ちます。すると途端に気温が下がります。窓を閉めて暖かくなさって下さい。アイリス嬢頼んだぞ」

「はぁ〜い」「畏まりました」


窓とカーテンを閉めるとアイリスさんが外套とブランケットを掛けてくれる。ランティス公爵家の屋敷は草原の中にあり、夜は冷えるらしい。確かに少ししたら足元から冷えて来た。馬車の中もランプが灯った。

程なくして馬車が止まり馬車の扉が開いた。

アラン様の手を借り下りるとランティス公爵様が出迎えてくれる。


「多恵様。ようこそランティス領へ」

「お世話になります」


人畜無害いいひとの公爵様と凄い美人の夫人に、これまた美丈夫の御子息からご挨拶をいただく。形式的な挨拶が終わり部屋に案内される。


さすが公爵家の屋敷は立派だ。グラントやキースの屋敷も凄かったが負けず劣らずた。大輔が30年ローンで買った我が家何個分なんだろ…

『やめとこ…虚しくなって来た…』


案内された客間はシンプル・イズ・ベストで落ち着く。

もう湯浴みして寝てしまいたいが、夕食を用意いただいているのでパス出来そうもない。重い身体に鞭打ち着替える。

少しするとレックス様がお迎えに来て下さり驚く。


『レックス様が正装している!』レックス様は伯爵位をお持ちの貴族なのは知っていたが、ずっと騎士服だったのに…

私が疑問符を頭に付けているのに気付いたレックス様は笑いながら


「似合いませんか?」

「いえ!素敵です。騎士服で無いのがなんでだろうって…」

「今晩の晩餐に閣下にご招待されましたので」


ダイニングまで向かいながら聞いたが、ランティス公爵家とレックス様の伯爵家は遠縁らしく交流も多いらしい。

そこで私のエスコート役兼プライベートで晩餐に招待されたそうだ。しかし護衛も兼ねているらしく帯剣されている。


騎士服も凛々しくカッコいいが正装もライトグレーのロングコートがに合っていて素敵だ。


「カッコいいレックス様にエスコートしていただいて幸せです」

「そう仰っていただき光栄ですが私には愛妻が…」

「兄の様で安心します」

「兄ですが!それは嬉しい」


こうしてモーブルに愛妻家の兄ができて心強くなった。

話しているうちにダイニングに到着し晩餐が始まります。

もうひと頑張りしてきます!



お読みいただき、ありがとうございます。

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