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情報交換

グレン殿下と仲良くなりおばちゃんに戻る多恵。少しモーブルに慣れてきたかなぁ?




グレン殿下に九九を教えてから、殿下と仲良くなった。娘しか育てた事ないから男の子は新鮮だ。女の子は小さくても女で口が達者だが、その点男の子は単純で可愛い!

母性全開でグレン殿下と接していると専属騎士のケイスさんに温かい目で見つめられる。

専属騎士3人目は王族派のケイスさん。ケイスさんはゴリマッチョで彫りの深い顔立ちをして中世に作られた彫像の様だ。


「多恵様はお子がお好きなのですね」

「はい。かわいいですよね」


するとグレン殿下が少し拗ねて

「私は可愛くありません。多恵殿くらいは守れます。剣術も習ってますから」

「ならば私がピンチの時はお願いしますね」

「お任せを!」


グレン殿下は紳士の様に私の手を取り右手を胸に当てて微笑む。小さな紳士にキュン死寸前だ。


中庭で新型の紙ひこうきを折りながら今覚えている九九の6の段を2人で暗唱していたら陛下が来た。


「楽しそうだなぁ。私も仲間に入れてくれ」

「父上。多恵殿と逢瀬中です。邪魔しないでいただきたい」

逢瀬デート⁉︎」

「それなら尚更邪魔しないといけないね」


グレン殿下は顔を真っ赤にして私に抱きつき陛下を睨み怒りを露わにして


「家臣が父上が多恵殿を娶ると言っていたのは本当ですか!父上には母上がいるではありませんか!」

「王子たる者家臣の噂話に乗せられてはならん」

「しかし皆言っておりま…」

「皆とは誰だ申してみろ」


陛下は凍る様な表情をしてグレン殿下を見ている。殿下は青い顔をして震えている。

雲行きか怪しくなり慌てて


「陛下。そんな威圧的な態度では殿下が怯えて何も言えません。それに揉め事は嫌いです。楽しい紙ひこうきの時間が台無しになるので、仲良くして下さい」

「だえどの…」


屈んでグレン殿下を抱きしめた。陛下は気まづそうに横を向きながら


「多恵殿に知らせだ。昼にアルディアから防御靴が届くと知らせがあった。アルディアは多恵殿の気持ちをくみ取り、モーブルで防御靴を作る事を許してくれたらしい。

使者が来る故、昼から予定を空けておいてくれ」

「(対応が)早いですねー。分かりました。靴下職人さんとの打合せは何時にしますか?」

「恐らく明日以降になるだろう。多恵殿は忙しいだろうからな」

「私は暇ですけと?」


陛下は予定があるらしく戻られた。この後グレン殿下が落ち着くまで側にいて、お昼になり殿下と別れて自室に戻り昼食をいただく。


いつもの事だけど農作物が豊富なモーブルのお野菜は美味しい。日本にいた時より野菜を沢山食べているせいか、体調も良く肌の調子も良い!


食後にお茶を飲みほっこりしていたら、文官さんがアルディアから使者が来たと知らせに来た。相変わらずキース様は仕事が早いなぁ〜と感心しながらケイスさんのエスコートで廊下を歩いているけど…


『どこ行くの?この先は謁見の間だよ⁈』


応接室に行くと思っていたのに思惑が外れ焦り出した。不安はあたり謁見の間に来た。

重厚な扉が開くと…


「へ?」


「多恵!」


目を擦り再度見るが夢ではない。


そして手を引かれ腕の中に…そうこの香りは…キース!そうアルディアの使者はキースだった。久しぶりの婚約者の抱擁に気が抜け言葉が出ない。


「多恵!愛らしい顔を見せて下さい」

「てっきり文官さんが来たんだと…」

「あんな手紙をもらったら、飛んでくるに決まっています」

「手紙?」

「寂しいと…」


確かに書きました。でもここで言わないで!

モーブルの皆さん微妙な顔をしているから!


「モーブルの皆さんにはよくしてもらってるけど、ちょとだけ…あの…キース!皆見ているから!」


キースは腰を抱き寄せ至る所に口付ける。久しぶりに飼い主に会った大型犬の様だ。


「キース殿嬉しいのは分かるが、多恵殿が困っている。後で時間を取る故、多恵殿を離してあげなさい」

「失礼致しました。愛しい婚約者に会え我を忘れてしまいました」


やっとキースから解放されて安心したのも束の間、がっつりキースに腰をホールドされ動けない。シリウスさんと陛下の視線が痛い。

キースは形式ばった挨拶をし、防御靴を陛下に献上しアルディア王からの信書を渡した。

直ぐに確認したダラス陛下は


「了承したとルーク殿に伝えてくれ。ちなみにモーブルは数の計算法を教授頂いた。近い内にアルディアにも伝えようと」

「しかとアルディア王に…」

「キース?意味が…うっ!」


キースは頬に口付けてウインクする。『後でね』だね!了解です。こう見えて私空気は読めます。


こうして登城の挨拶は終わり、キースと私はキースが滞在する客間に移動する事になった。キースにエスコートをされながら歩く。見上げたらキースと目が合う。優しい臙脂色の瞳に胸がぽかぽかしてきた。

離れてまだ日が浅いのに懐かしい。

嬉しくて微笑むと破顔するキース。偶然その場にいた女性がため息を吐きキースを皆見ている。少し鼻高で気分良くなっていた。


キースは今日はモーブル城に滞在し明日昼に帰る。彼も忙しく1日しか居れない。

部屋に入るなり侍女と従僕を退室させ…

抱き上げられソファーに押し倒された。

言うまでもなく熱烈な口付けをいただき、HPは直ぐにゼロになりぐったりするとキースに抱きしめられる。


どっと疲れたけど嬉しい。キースの腕の中は心地よく安心しかない…おでこをキースの逞しい胸にすりすりしキースを堪能していると


「明日、多恵を連れて帰りたい…」

「まだモーブルの仕事は終わってないよ」

「分かっています。だが…離れたくない」


暫く言葉なく抱き合ってお互いの温もりを感じ幸せな時間を過ごす。落ち着いてきてソファーに座り侍女さんにお茶を入れてもらう


「キース。さっきの話を教えて」

「あれはですね…」


ルーク陛下は防御靴の技術をモーブルに教える代わりに、モーブルに齎された乙女の知識をアルディアにも教える事を条件にした。

『だから数の計算法って言っていたんだ』


「陛下は多恵が自分の知識は全ての人に為にと考えているのを理解されていました。だから直ぐにお応えになったのです。グランド殿が行くと申し出たが、手を離せない案件を抱えられていて私が来ることが出来ました。実際ウチの領地で活躍する防御靴ですから、私が来た方が色々相談にも乗れますしね」

「ありがとう。陛下パパに意図が伝わっていて嬉しい」


本当リリスの箱庭の人達は良い人しかいない。


「わっ!チョット!」

「跡は付けませんから少しだけ…」


キースは髪をかき上げ首元に口付ける。熱い吐息が耳や首元に当たり身震いし、体が熱ってくる。耳を甘噛みされそろそろやばい!


「キース!これ以上は!」

「分かっています。あと少しだけ…」


さかり出したキースに危機感を感じ話を逸らす。


「そろそろ流行病が流行る頃ですがアルディアは大丈夫ですか⁈」

「数人患っている者はいる様ですが、昨年に比べて半減している様で、オブルライト領地に隣接する領地でもマスクの普及も急いでいます」


良かった!マスクが機能している様だ。安心していたらキースは口付けて


「そうそう。多恵の専属侍女のサリナ嬢がアーサー殿下にお仕えする事になりました」

「へぇ…」


私の顔を覗き込んで何かを察するキース。そうでした貴方は刑事デカばりの洞察力をお持ちでした。


「そして本格的にアーサー殿下の妃選びが始まり、王城は連日殿下に謁見する令嬢で溢れかえってますよ。正直化粧臭くて私は苦手です」

「私も(化粧を)してますよ」


するとまた首元に口付けながら耳を噛まれた。


「多恵の匂いは落ち着くから好きです」 

“私もキースに匂いが好き”だと言いたいけど、言った後のことを考えたら…止めておこうと思った。

部屋でキースに抱っこされたまま過ごしていたら、キースが徐に


「困っている事はありませんか?」

「?」

「人に心配をかけたくない貴女が弱音を吐くなんて何かあるのかと…」

「あ…ゔ…んあるけど、モーブルの問題だからキースには話せないよ。大丈夫…まだ慣れないから気疲れしてるだけ。まだ頑張れるから、明日帰るまで甘えさせて欲しいなぁ…」

「多恵…」


この後キースは私がアルディアを旅立った後に起きた事を色々教えてくれた。

ケニー様がベイグリーに薬草研究の為に旅立ち、ベイグリーの王太子妃付の侍女になったライカさんはベイグリー王宮騎士団の伯爵子息と婚約し、ゆくゆくは王太子妃の乳母を務める事になった。

そしてお茶会でセクハラしたイーサン様は第2騎士団グレイブ様のしごきに耐えて約束期間を終えて除隊し、領地で大人しくしているそうだ。


「正直彼はグレイブ殿のしごきに耐えれるとは思っていなかった。奴もちゃんと男だったんですね」

「はぁ…」


そして嬉しい事にオブルライト領の流行病インフルエンザ対策が上手く機能している事から、ヒューイ殿下とナタリー様の婚姻が早まるそうだ。


「アルディアは心配ないですね」

「全て貴女のおかげです」

「私は知識ときっかけを作っただけで、行動したのはアルディアの皆さんです」


初めは国の救済なんて出来るのか不安だったし、危険な目にもあった。しかし頑張った甲斐があったよ…


するとキースが背中を撫でてくれ

「新しい環境で自信がない様ですが、多恵なら大丈夫。真摯に取組めばモーブルの人々も協力し良い方向に事は進みます。アルディアがそうであったように…」

「ありがとう…自信無かったの。さすが婚約者様!私の欲しい言葉をくれる」

「スケジュールを無理してでも来て良かった。次はグランド殿が貴女の支えになるべく来るでしょう」


少し嫌な顔をしてそう言うキース。彼らの心を受けて良かったと改めて思った。


「うっわ!」

またキースに押し倒されて熱烈なキスあげーん。


キースが居る間甘えて鋭気を養い明日から頑張ろうと思い、時間の許す限りキースに甘えて過ごし、翌日昼過ぎにキースはアルディアに帰って行った。


キースが来てくれてリフレッシュしたが、彼の来城によりこの後モーブルの伴侶候補決めが激化するなんて思って居なかった。



お読みいただき、ありがとうございます。

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