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入国管理

やっとモーブルの問題に取り組めます。

アラン団長にモーブルについて質問しながら城内を歩く。


「港は王都から近いんですか?」

「はい。馬で1日程でございます」


あ…1日は近いんだ。アラン団長は丁寧に港について説明してくれる。妙に詳しいから聞いたら、アラン団長の侯爵家領地が港に隣接していて、幼い頃から海に慣れ親しんでいるそうだ。

アラン団長は話してみると気さくで話しやすい。やっぱり騎士さん達とは仲良くなれそうだ。


やっと応接室に着きアラン団長にお礼を言い入室する。部屋にはアッシュグレーの癖毛にグレーの大きな瞳が印象的なワイルド系のイケオジかお迎えしてくれた。


「女神の乙女様にお目もじでき光栄にございます。陛下より港管理を任されているタバス伯爵家当主レンと申します」

「初めまして。タエ・カワハラと申します。急な面会にお応えいただきありがとうございます」


お辞儀すると手を差し出し固まっているタバス伯爵。どうやらお辞儀にびっくりしているようだ。そっか…アルディアでは私のお辞儀は皆んな知ってるけど、この世界には頭を下げる所作はないんだった。

慌てて頭を上げてタバス伯爵の手を取ると、ソファーに座らせてくれた。

着席すると直ぐに女官さんがお茶を入れてくれる。


「陛下より乙女様が港にご興味をお持ちだとお聞きしましたが、どの様な事をお知りになりたいのでしょうか?」

「はい。入国管理について知っておきたくて…」

「入国管理ですか?入船する船は港の利用料の支払いがあるので管理してますが、人については特に何もしておりません」

「やっぱり…それでは他国から不法就労者が入りたい放題ですね」


伯爵は驚いて固まっている。今まで無い概念に戸惑っている様だ。伯爵の様子を見てある事に気付く。もしかして私が聞いたモーブルの問題は一部しか知ら無いのかもしれない。


『あっぶな!ポロリ余計な事言う所だった』


話を逸らす様に物流について聞いてみた。基本モーブルは自然に恵まれ産業も箱庭の他国に比べて進んでいるため、基本輸出が多いそうだ。だから輸入自体少なく害虫の類は妖精の加護が手厚いから心配ないそうだ。妖精さんが駆除するのかなぁ?

しかし人を介する病気は妖精では防げない。

だからやっぱり入国審査をして、アルディアみたいに未然に病気が入らない様にした方がいいと思う。色々改善点はありそうだ。

話を聞いて改めて視察に行きたいとお願いしてみると


「宰相様と相談して予定を立てさせていただきます。もっと港を整備してモーブルを豊かにしたいのです。視察いただきご指摘いただきたい」

「元の世界で専門的な知識を学んだ訳ではないので、期待しないで下さいね」


伯爵は少し躊躇しながら…


「アルディアの港に寄った他国の船員からファーブス領の港町で、足を守る靴を乙女様が考案されたと聞きました。我が国の港でも荷の落下事故で足を負傷して働けなるも多いのです。ぜひ取り入れたい!」

「はい!分かりました」

「えっ!いいのですか⁈アルディアは反対しませんか?」


発案者の私がOKだから文句は言わせません。私発信のアイデアはこの世界の全ての人が利用すればいいと思っている。安心して下さい!著作権は放棄しますからね。


「近い内にアルディアのファーブス公爵家キース様がお見えになるので、事情を話しておきますね」


すると伯爵様はいきなり立ち上り私の前に来て跪いた。


「貴女様を遣わせた女神リリスに感謝を…私に出来ることが有れば何でも仰って下さい!誠心誠意お仕えいたします!」

「あっあの!そんなに畏まられることではないかと…」


手を握られ困りバートンさんに視線を送ると、バートンさんには伯爵以上の熱のこもった視線を送られて困り果ててしまいう。


「あの…そろそろ…」


やっと手を離してもらい退室する事が出来た。部屋に戻るがバートン様の視線が熱い。


「多恵様は愛らしいのに、知識豊富な上に慈悲深い。そんな貴女様のお役に立ちたい」

「では、困った時はお願いしますね」

「お任せを!」


その後部屋に戻る道すがら貴族様から声をかけられるが、行きと違いバートン様が全て断ってくれた。バートン様やればできる子です!

やっと部屋に戻りフィナさんに手紙の代筆をお願いする。この世界は文字は統一され、どこに行っても同じだから助かる。

文字は書けるようになったけど、まだまだ下手っぴで出来るだけ書くたくない。


「書いていきますので内容を仰って下さい」

「ありがとう。では…まず宛名から。アルディアのファーブス公爵家のキース様で」


手紙はキースに防御靴をモーブルでも作りたいから、こちらに来る用事が有れば1足持って来て欲しいと書いて貰った。来る用が無ければ送って下さいとした。キースは忙しいからなぁ…無理は言ってはいけない!

要件はフィナさんに書いてもらったが、さすがに婚約者宛の手紙を代筆はつれないから、2枚目は一応自分で書いた。『まだ慣れないから少し寂しい…』と書いてみる。婚約者に弱音くらい吐いてもいいよね…


手紙はフィナさんが文官さんに持っていってくれた。3日程で届くそうだ。

港の視察までに防御靴が届くといいなぁ…って位に思っていたら、5日後にキースは防御靴を持ってモーブルにやって来た。

早くなぃ?



手紙を書き終えたら軽く昼食をいただき、昼からは城内をツアーに出かけます。

案内はシリウスさんがしてくれるらしく、少し安心する。


まだまだ慣れないから気疲れしているのか、食事後にソファーに座ると睡魔が高速マッハでやって来て…

焦点が合わずぼんやりしていたら、約束の時間にシリウスさんが迎えに来た。

だらしない姿勢で座り扉から入ってきたシリウスさんをぼんやり眺めていたら、シリウスさんは顔を赤くし後ろを向いてしまった。


「しりうすさん?」

「おっお疲れの様ですので、城内はまた別の日に…」

「いえ…大丈夫です。食後で眠いだけです」


立ち上りシリウスさんの元に歩き出すが足元が覚束ずつんのめった。思いっきりシリウスさんの背中にダイブ!

後ろから抱きつく様な格好になってしまう。


「ごっごめんなさい!寝ぼけていて…へ?」

「多恵様…」


抱きついた私の手を取り握りしめるシリウスさん。この状況…何とかしたいのに動けない!


「シリウスさん。ぶつかってごめんなさい!そろそろ離して下さい。うっわ!」


握られた片手を引っ張られ気がつくとシリウスさんの腕の中にいる。私の頭の上に頬を乗せて抱きしめるシリウスさん。めっちゃ密着してるんですけど…


「シリウスさん!城内をツアーに行きましょう!」

「あっはい…」


やっと解放され胸を撫で下ろす。シリウスさんに抱きつかれシリウスさんの香りに包まれ小っ恥ずかしい…私の手を握っているシリウスさんが私の手を見ている。何か?


「この指輪は婚約者からですか?」

「はい…」

「貴女の綺麗な指に私色の指輪を贈りたい」

「えっと…」


するとシリウスさんは私の左手薬指の指輪ん指でなぞり見つめる。そして溜息をついて


「貴女の気持ちがまだ俺に無い事は分かっています。やっと側に居れる様になり少しずつ距離を縮めたいのに、気持ちが先走り貴女を困らせてしまう。俺はまだまだですね」

「人との関係は簡単に出来るものでは無いですよ。時間をかけて知り合っていかないと」

「陛下からお聞きだと思いますが、モーブルは今複雑な状況で色んな思惑が渦巻いています。貴女に近付きたい者が多い。気を付けて下さい」


やっと離してくれたシリウスさん。眼差しが温かくて気恥ずかしい…


「シリウス様。そろそろ…」


部屋の隅に控えていたフィナさんが声をかけてくれ、やっと城内をツアーに向かいます。

この後フィナさんが


「色々なお方にお仕えし熱烈なシーンにも遭遇し冷静に対応ましたが、あのシリウス様の多恵様に向ける熱には耐えれなかったですわ。あの様な時は退室を指示下さいませ」


とやんわり”イチャつくなら言ってくれ”と言われ顔が熱くなった。

すみません。これから気をつけます…

お読みいただきありがとうございます。

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