陛下ー2
陛下が黒歴史を暴露
「昔、自信家のマセた子がいてな…」いきなり陛下は昔話を始めた。多分このパターン自分の事だ。期待しつつ耳を傾ける。
「家庭教師からソードリーフを習い、何でも切ってしまうそのソードリーフに興味を持った。古来より唯一ソードリーフが切れない物はテンギという大トカゲ(妖精の国に生息する硬い鱗の大トカゲ)の皮だけ。その少年は好奇心から実験する事にした。
ライジヤという皮の硬い蛇の皮を3重にして外側に鉄板を付けたブーツを作らせ、従者を連れてソードリーフに挑んだのだ。」陛下…無謀です。
「どうなったのですか?」と聞くと苦笑し
「1メートル程進めて、行けると思った瞬間激痛が走った。脹脛を切っておった。同行した騎士が怪我を負いながら助け出してくれたのだ。」
『何やってんですか 幼き頃の陛下…』突然陛下の黒歴史を聞かされる。
「帰城すると父上(当時の王)が烈火の如く怒っておって幼いながらに驚いた記憶がある。
王は温厚な方で無鉄砲な儂が何をしても、ここまで怒る事は無かったのだ。王位を継承してソードリーフの由来を聞かされた時、父上の怒りの理由がよく分かった。父上はロナウド殿を侮辱した様に感じたのであろう。今、王子達が同じ事をすれば儂も同く怒るだろう」
『??ここで疑問』
「でもリリスから王が命じたと聞いてますが、アルディアの王様だったのですか?」
「分からんのだ。王とは言われておるがどの国かは伝えられておらん。しかし、リリスが召喚なさったロナウド殿を己の欲で死に追いやった。我が先祖で無かったとしても同罪だ。ロナウド殿はどんな想いだったか…さぞ無念だったであろう」
「リリス曰く、殺害されて直ぐにロナウドの魂はリリスが助け出し、辛い記憶を消して元の世界に帰したそうです。だから戻ったロナウドに辛い記憶は無いと思いますよ。」
「そうか…ありがとう。事実を聞けて少し楽になった。多恵殿よ儂を含め先代の王はロナウド殿の事を忘れた事はない。常に謝罪の念を持ち二度と人が人を殺める事なき様に勤めてきた。女神の丘のソードリーフは人の愚かさの象徴なのだ。」
「リリスも人々が愚行を忘れない様に作ったといってました。よかったです。リリスの想いはちゃんと皆さんに伝わってるんですね」
心なしか陛下の表情が柔らかくなった気がする。
少し短めですか、休みの日は2、3話イケけそうです。




