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入城

やっとモーブル城に到着。久しぶりダラス陛下にお会いします。

「話しをお聞きするに助けていただいたそのご婦人は貴族ですね。近いうちに多恵様を歓迎の宴が催される筈です。その場でお会いするでしょう」

「あぁ…また舞踏会的なものがあるんですね…出来れば遠慮したいんですが…無理ですよね」

「恐らく陛下に主催ですので不参加は無理かと…」


遠い目をして「頑張ります」とだけ言った。

舞踏会とかは気乗りしないが、助けてくれたご婦人にはちゃんとお礼をしたい。


やっと説教が終わったら御者さんが小窓を叩いた。その合図を聞いたアイリスさんが窓のカーテンを開けてくれる。


「モーブルの王都ですか⁈」

「はい。もうすぐ王城も見えて来ます。丁度夕陽が王城を照らし美しい姿が見えて来ます」

「わぁ!綺麗!」


アルディア城は”THE'城”って感じで真っ白で美しかったけど、モーブル城はモスグリーンに深緑の屋根が映えて夕日と相性がいい。

見惚れていると王城の正門が見えて来た。

また正面入口まで続く赤絨毯とズラらと並ぶ騎士に侍女。そして真正面に王族の方々が…

想像しただけでうんざりする。


「貴女は素直で愛らしい…貴女の想像する様な事は起きませんよ」

「へ?」


馬車は正門手前から右に曲がり城壁に沿って走る。疑問符を頭に付けて間抜けな顔でシリウスさんを見たら、眩し過ぎる微笑みをいただく。


「開門!」並走する騎士さんが叫ぶと裏門が開き馬車が入って行く。程なく馬車は停まり扉が開いた。大勢の人に覚悟を決めシリウスさんの手を借り下りたら…


「あれ?」数名の騎士さんと文官らしき人が1名いるだけだ。また一杯疑問符を頭に付けていたら、シリウスさんにエスコートされ城内に案内される。

この廊下は使用人の通路らしく時折り従者さんやメイドさんとすれ違うだけで、貴族には会わない。不思議に思いながらも気が楽でいい!


騎士さんが護衛する大きな扉が見えて来た。前まで来ると護衛騎士さんが扉を開けてくれ入室したら…


「久しいな!多恵殿!」

「えっあっはい」


どうやら陛下の執務室でダラス陛下はラフな服装に髪も自然な感じで”イケおじ”全開だ!

陛下はシリウスさんから私の手を取りハグし、流れる様なエスコートでソファーに座らせてくれた。

直ぐに文官さんがお茶を出してくれ、執務室は陛下とシリウスだけになり他の方々は退室した。


「多恵殿は派手な事が苦手であろう⁈だから仰々しい出迎えは取りやめた。私も堅苦しい装いは苦手なものでな」

「お気遣いありがとうございます。赤絨毯や沢山の方々の出向かいを覚悟していたんです。しれっと入城出来てホッとしました」

「はっははは!相変わらず愛らしいなぁ!やはり私の妻になりなさい」

「のっけから冗談はやめて下さい。ちゃんとご挨拶を…本日からお世話になります。出来るだけ早くモーブルの問題解決出来る様に尽力致します。よろしくお願いします」


立ち上がりお辞儀する…と

「へ?」


同じく立ち上がったダラス陛下に抱きしめられた。不思議な感覚に戸惑う。

何だろこの感覚は…ちょいドキドキする。


「陛下!不躾です!多恵様を放して下さい」

「こんなにかわいいのだ、男なら誰しも抱きしめたくなるだろう!」


我にかえり

「陛下…あの…恥ずかしいので解放して下さい」

「っつ!多恵殿その顔は男に見せない方がいい。口付けたくなり危険行為だ!」

「とりあえず…うわぁ!」


背後から引っ張られシリウスさんの腕の中に移動する。あの…私愛玩動物ではありません!取り合いしないで下さい。


相変わらずダラス陛下は本音が分かりにくい。他の男性(求婚者)はあからさまに甘い雰囲気で”好きです”アピールしてくるけど陛下は違う。口では口説くような言葉セリフを言って来るけど冗談ぽいし…理解に苦しむのだ。本気ならそれはそれで困る。だって陛下には王妃様がいるのに側室とかは嫌だ。それに現状3人と結婚予定なのに、これ以上夫が増えると恐らく私死ぬ…

閨事だから女性にも突っ込んだ話を聞けてないけど、私の予想ではこの世界に男性はねちっこくて絶倫だ。何故ならキスの感じから分かる。私はどちらかと言うとそっち方面は淡泊の方で夫の大輔もだ。そんな私が旺盛な殿方4人なんて相手出来るとは思えない。


『陛下は暫く静観しよう』

シリウスさんの腕の中でシリウスさんと陛下のやり取りをぼんやり見ていた。

すると誰かが執務室に来た。陛下は入室許可を出すとアイリスさんだった。


「恐れ入りますが多恵様をお疲れでございます。ご挨拶が終わっておりましたら、お部屋にご案内させていただきたいのですが、宜しいでしょうか⁈」

「おっ終わってますから!アイリスさん案内お願いします。いいですよね!お2人とも」


焦る私を見て陛下は笑いながら手を取り手の甲に口付けた。


「今日は移動で疲れているだろうから、食事も部屋でとりゆっくりされよ。城内案内や専属の騎士の挨拶等は明日にしよう」

「お気遣いありがとうございます」


こうして陛下に挨拶しシリウスさんにエスコートされ用意されて私の部屋に向かう。

部屋までに着くまで侍女さんや文官さんに会うと和かに挨拶してくれる。まだ到着して少ししか経ってないけど、お仕えする人は気さくだ。これなら早く慣れるじゃなぃ⁈


騎士さんが立っている部屋が見えて来た。恐らくあそこが私が滞在する部屋だろう。

部屋の前まで来ると騎士さんが礼をしてくれる。やっぱり騎士だけあり大きい。


「タエ・カワハラです。お世話になります。分からない事が多いので色々教えて下さい」


お辞儀をすると2人は驚いた顔をし固まる。

この反応久しぶりだ。するとシリウスさんが毎日護衛に騎士が2名つくと教えてくれた。

アルディアと同じだ。早く騎士達と仲良くなるためにお名前を覚えないとね…


やっと部屋入り…


「っへ?」


思わず目を擦り一旦部屋を出て騎士さんを見る。もう一度部屋見てシリウスさんに


「あの…ここモーブルですよね?」

「はい」

「アルディアの部屋と似ている…ってか全く同じなんですが!」


するとアイリスさんが嬉しそうに


「陛下の命でアルディアに赴き多恵様が滞在されたお部屋を拝見し、家具や花瓶まで同じ物を用意しました。これでモーブルでもリラックスしていただけるかと」

「ありがとうございます。一瞬アルディアに瞬間移動テレポートしたかと思いました」

「移られた負担が少しでも無くなる様にと陛下のお心遣いでございます」

「皆さんの心遣いに感謝を…頑張ってお仕事します」


部屋に入ると侍女さんが2名いてアイリスさんが紹介してくれる。

1人目は茶色の髪に淡いオレンジ色の瞳のかわいい系のフィナさん。背は高いが細身だ。

2人目なアッシュグレーの髪に水色の垂れ目がちな瞳のモリーナさん。ぽっちゃり系だが太ってはいなくてグラマラスボディの色っぽい女性だ。

ご挨拶いただき挨拶をする。


「多恵様の侍女はこの3名がお仕えさせていただきます。アルディアの専属侍女より申し送りを受けております。気になる事や要望がございましたら、遠慮なく仰って下さいまし」

「ありがとうございます。お世話になります」

「ではお疲れでしょうから湯浴みから。アルディアでは基本お一人だった様ですが、いかがなさいますか?」

「あっ同じで結構です」

「では浴室の使い方のご説明を致します。今日は引続き私がお仕えし明日以降は交代でフィナとモリーナが仕えますので、よろしくお願いいたします」


侍女さんの挨拶も終わり湯浴みをする事になった。シリウスさんにお礼を言うとハグをしてシリウスさんは退室されていった。


「はぁ…とりあえずモーブルに移ったなぁ…明日は各所に挨拶周りがあるなぁ…慣れるまで気疲れしそうだ」


湯に浸かりながら用意された石鹸や香油を見る。見事にアルディアで使ってた物と同じだ。アルディアの生活を細かく観察して来た様だ。アルディアと錯覚しそう。


「思わずサリナさんって声かけちゃいそう…気を付けよう」


湯から上がり居間に行くと夕食が準備されていた。これまた研究して来たのか、私の好きな物ばかりだ。ちょいストーカーちっくで苦笑する。食事も美味しいし安心し、早めに寝室に行き休む事にした。

直ぐてん君を呼ぶ。まだ慣れていないモーブルの人の前では呼べないからね。


『たえ つかれた?』

『うん。でも慣れていくから大丈夫』

『てんも がんばる』

『一緒に頑張ろね』


てん君をいっぱいもふもふし早めに眠りについた。



「多恵…そろそろ起きてくれ」

「…あさ?」


目を開けると琥珀色の優しい瞳と目が合う。

フィラだ。またベッドに入ってきて抱きしめている。だから!足の間に足を入れないで!


「どうだ嫌なことされて無いか?」

「うん。皆さん良くしてくれているよ」

「残念だなぁ…多恵が嫌がれば大手振って妖精城に連れて行けるのに」

「頑張ってお仕事終えないと婚姻出来ないでしょう!」


フィラは破顔し朝から激しい口付けをしてくる。そのまま勢いで胸に手が!


「っつ!分かった放すから!」

『ゔゔ!』


やっとキスから解放され振り返ると、てん君がフィラの肩口を噛んでいる。


『フィラ やりすぎ たえ いや!』


流石てん君!ありがとね!


「それより多恵は危機感がない。また迷子になり男に声を掛けられていただろう!」

「えっと…すみません?…ん?またストーカーしてたの⁉︎」

「ちっ違うぞ!妖精達が報告してきたんだ」


疑いの目で見るとあからさまに目が泳ぐフィラ。この感じだといつも私のライブ中継見てるな!


「多恵に声を掛けた奴は転倒させたから安心しろ」

「はぁ⁈まさか怪我させて無いよね⁈」

「青痣くらいだ安心しろ」

「”悋気やきもちが過ぎると嫌いになるよ”って言ったよね。子供じゃ無いから監視とかしないで。それに仕返しとかやめてよね!」

「わかった…」


一応分かってくれた?みたいだからこれ位にしておこう。立ち直りの早いフィラは好き全開で口付け抱きしめてくる。


「多恵様?」


寝室の扉外からアイリスさんが様子を聞いてきた。起きると伝えると、フィラは軽く口付けて帰っていった。


「アイリスさん。起きていますよ」


返事をしててん君に戻ってもらい、アイリスさんに入室してもらう。

さぁ!今日からモーブルで本格始動します。

頑張ろっと!

お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『アラフィフになって運命の相手が来た⁉︎〜どうやら夫に騙されていたようです〜』

もよろしくお願いします。

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