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呼び方

今日は騎士団に挨拶に向かいます

陛下フィラ!多恵様をお連れになられるならば、一言もしくは書き置き下さらないと心配いたしますわ!」

「ごめんね!」

「多恵様に言っているのではありません!陛下いいですか!このような事が有ると多恵様はご自分を責められる。愛しい女性が落ち込む姿に何も思われないのですか!」


相変わらず相手の身分関係なく正しいと思う事を言えるサリナさんはやっぱりアーサー殿下の妃にむいている。感心しながらサリナさんを見ていたら横にいるフィラは機嫌が良く、サリナさんの叱責も耳に入ってないようだ。


「俺は気分がいいから許そう。俺は多恵と婚約した。今日から婚約者フィアンセだ」 

「本当でございますか?おめでとうございます。お2人目ですね!」

「サリナそれは違う!俺が初めだ!」

「?昨晩グラント様とされたのでは⁈」

「サリナさん。グラント様とは正式には昼からだからノーカンです!」

必死でサリナさんに目で合図すると察しのいいサリナさんはわかってくれた。


「今日は多恵さんは挨拶まわりと王家の方と夕食の予定がございます。朝の身支度をなさって下さい」

「ごめんなさい!急ぎます。フィラ!また明日ね」


フィラは満足したのかごてる事なく帰ってくれる様だ。抱きしめて口付けたフィラはサリナさんに


「皆に俺と婚約した事を周知しておいてくれ」

「畏まりました」

「よし!多恵、明日の朝またくる」


怒涛の朝は終わりどっと疲れて来た。でも疲れたとか言ってられない!サリナさんに急かされ身支度を急ぐ。用意が終わり第3騎士団から挨拶にいく。

副団長のレオさんが迎えてくれ任務に出ている人以外の10名近くいてお礼を述べる。皆さんとハグをしたら驚かれた。えっ?ハグは普通に挨拶じゃないの?

次に第2騎士団に向かおうとしたら、護衛騎士さんがいるのに何故かレオさんが送ってくれる。

今日の護衛の2人は困った顔をしているが、レオさんは副団長だから何も言えないようだ。

レオさんと話しながら歩くが、すぐ隣の棟だからあっという間に着き、騎士棟の入口にはクレイブ様が待ち構えていた。やはりクレイブ様の方が格上らしく、レオさんはエスコートをクレイブ様に変わった。第2騎士団棟に入りクレイブ様の執務室に通されお茶を出していただいた。


「乙女召喚の儀式からあっという間でしたね」

「初めてお目にかかりご挨拶した時、正直この様な幼く可愛らしい女性にアルディアを救えるのかと半信半疑でした」

「クレイブ様!評価は辛口でお願いしますね」

「素晴らしい以外の言葉は見つかりません。貴女を遣わして下さったリリスに感謝し、共に過ごした時間は私の宝物となりました。リリスの役目がありアルディアを離れられるが、また戻って来れるように皆でアルディアを守り貴女の帰りをお待ちしています」


お世辞でも嬉しい。クレイブ様は仕事に対しては厳しいが基本優しい。本当にお世話になり感謝しかない。


「皆さんには本当にお世話になり感謝しています。アルディアは故郷ですから必ず帰って来ます!」

「はぁ…娘を嫁がせる父親の気持ちはこの様な感じなのですね…囲いずっと私が護って差し上げたい」

「ありがとうございます。でもいつまでも頼っていては巣立てませんから頑張ってきます。お忙しいでしょうがお体大切になさって下さいね」


クレイブ様はいつもと違い柔らかい表情で頷いてくれた。すると第2の騎士さんが呼びに来てくれ、別室で第2の騎士さん達にお礼を言う事が出来た。

一人一人にお礼を言いハグをしたらクレイブ様が機嫌が悪くなり、お礼を言っている私の背後に立つ。どうやらハグをしようとしている騎士さんに圧力をかけているようで、途中から騎士さんはハグしてくれなくなった。

なんか男友達を牽制する父親のようで少し笑えた。

挨拶を終えるとクレイブ様にエスコートされ、隣の第1騎士団棟に向かうが…近いのでデュークさんが待っているのが見える。苦笑いをしていたらクレイブ様が


「今から独り言を言います。あと10歳若く未婚なら貴女に求婚していたでしょう。兄ではなく男として意識していただきたかった…」


びっくりしてクレイブ様を見上げるっと微笑んで

「独り言が大きくて失礼した。忘れて下さい」

「クレイブ様…」


第1騎士団棟に着いたのでクレイブ様に手招きしたら、不思議そうに屈んでくれたので頬に軽くキスした。固まるクレイブ様さんにお礼を言ってお辞儀をしてデュークさんの手を取り騎士棟に入った。振り返るとまたフリーズ中のクレイブ様。第2の騎士さんが周りでたあふたしている。

エスコートしているデュークさんが


「多恵様は悪戯好きですね。真面目なクレイブ殿をあの様に揶揄われて…」

「感謝を表しただけですよ!勿論デュークさんにもするつもりです」

「それは嬉しい!」


棟に入るとデュークさんの執務室に通された。すると直ぐにリックさんが入ってくる。リックさんに駆け寄り


「昨日はありがとうございました。怪我の具合はどうですか?」

リックさんの手を取るとリックさんは微笑み


「貴女を守る事が出来て光栄です。モーブルに経つ前に怪我をしなくてよかった」

「リックさんはじめ素晴らしい騎士さん達がいてくれるので、安心してモーブルに行く事が出来ます。お体を大切にして下さいね」


リックさんはこの後直ぐ任務で出られるらしく、先に挨拶に来てくれた。ハグをすると小さい声で


「貴女をお慕いしていました。貴女の幸せをアルディアから願っています」


びっくりして固まっていたら、微笑み騎士の礼をとりリックさんは退室していった。

デュークさんは私の手を取りソファーに座らせてくれた。



「リックだけではない騎士は皆貴女を慕っています。リリスの役目は大変でしょうが、無事終えられアルディアに戻られるのをお待ちしています」

「特に第1の皆さんは普段ずっと見守ってくださったので家族のように思っています。素敵な兄様が沢山いて幸せです」


この後アーサー殿下の話をした。デュークさんは殿下を支えていくと言ってくれ安心する。


「これは私の意見ですが多恵様の判断は最良だと思っています。自由で自立した貴女は妃に収まらない方がいい…今のままでいて下さい」

「殿下、そしてアルディアをよろしくお願いしますね」


やっぱりデュークさんは兄貴だ。信頼できるし素直に頼れる。モーブルの騎士さん達とそんな信頼関係を築けるだろうか…心配になって来たら目が熱くなる。


「多恵様⁈」


デュークさんが慌てて目の前に跪き手を取り覗き込む。やっぱりナーバスになってる。


「ごめんなさい。アルディアの人達がいい人ばかりだから正直寂しいんです…」


デュークさんはポケットからハンカチを取り出して目元を拭ってくれる。


「謙虚で優しい貴女だからモーブルでもいい出会いが出来て信頼関係を築けますよ。暫くはさみしいでしょうが、その時間は貴女をさらに素敵にするは筈です」

「ありがとう。ちょと今弱ってるから…」

「兄として抱きしめていいですか?」


頷くと優しく抱きしめてくれるデュークさん。父の様な兄の様な抱擁は安心をくれる。本当にいい出会いに感謝し、暫し兄の温もりに身を委す。


暫くすると騎士さんが集まった様でポールさんが呼びに来た。腕を解いたデュークさんは手を取り、皆んなが集まる別室に向かう。

やはり第1の皆さんは日頃護衛してくれたので別れ難い。お礼を言いハグしていく内にまた涙目になって来た。皆さん妹の様に接してくれ嬉寂し泣きをしてしまった。こうして騎士の皆さんにお礼を言い、デュークさんにエスコートされ部屋に戻ると、部屋でグラント様が待っていた。

泣いて目が真っ赤な私を見てデュークさんに詰め寄るグラント様。


「違うの!皆さんとの別れが辛くで私が勝手に泣いたんです!泣かされた訳ではありませんから」


するとエスコートして来たデュークさんが少し屈み自分の頬を指で突いた。

一瞬意味が分からなかったが、さっきの約束を思い出してデュークさんの右頬に軽いキスをした。

柔らかく微笑むデュークさんと対照的に眉間に皺を寄せ明らかに怒っているグラント様。

デュークさんは騎士の礼をして退室して行った。


気がつくとサリナさんは退室していてグラント様と2人きりに…強く抱きしめられて荒々しい口付けをもらう。そうでした!貴方はMr.ヤキモチでした。

この後グラント様が落ち着くまでたっぷりの愛情をいただきました。


「多恵様!あれは何ですか⁈」

「えっとグラント様とデュークさんは兄のような存在で、親愛とお礼のキスでグラント様がヤキモチを妬く様なモノではなくてですね…」

「貴女の唇に触れていいのは婚約者フィアンセだけです。それ以外は認めない!」


『あっ!カチンと来た!』少しキレ気味みで

「親愛や感謝のキスはこれからもします。私も不特定の方にキスする訳ではありません!私がキスするのは信頼や感謝でします。グラント様は私がその様な気持ちを持つことも許さないと言う事ですね!私の気持ちを察して下さらないなら婚約は無理です。無かった事にして下さい!まだ正式な書類にサインしていませんからOKですよね!」


ヤキモチ妬くだけならいいけど束縛はちがうよ!

グラント様匙加減間違えましたね!婚約しいずれ婚姻するならこういった事は初めにすり合わせしておかないと夫婦喧嘩の原因になる。

目を見開き唖然とするグラント様。どんどん顔色が悪くなり最敬礼をし謝罪をする。


「申し訳ありません。嫉妬にかられ貴女を束縛するところでした。仰る通りです。貴女は貞淑な女性なのは分かっていますが…目の前で貴女が他の男性に口付けるのを見て冷静でいれなかった…。まだまだ未熟者です。しかし分かっていただきたい。嫉妬に狂うほど貴女を欲している事を…」


ヤキモチ妬きなのもあるけど、婚約してもまだ不安なんだろうなぁ…他の人と違うっていう特別感があったら安心出来るのかなぁ⁈


「私は安易な気持ちでグラント様のプロポーズを受けた訳ではありません。ちゃんと添い遂げる事を考えたら上で返事をしました。だから信じて欲しいし見守ってほしいです」

「はい!善処します」


真面目に反省しているグラント様を見て思いついた!特別を感じれる事


「では、婚約はこのままでいいです…で、婚約したので”多恵様”はやめて下さい。他人行儀で距離が縮まらない感じがします。”多恵”と呼んで下さい。そして私も”グラント”と呼んでもいいですか?」


グラント様は頬を染め涙目で抱きついて来た。私の頭に頬を乗せすりすりしながら喜びを爆発させている。


「嬉しくて今死んでも悔いは無い!多恵!愛しています。この世界で一番愛しています」

「グラント!あまりヤキモチが、酷いと嫌いになっちゃいますからね!ずっと好きでいさせて下さいね」

「はい!」


バカップルみたいだけどまるく治った様だ。

ナイスタイミングでサリナさんが声をかけてくれ入室してもらう。グラントは婚約の書類を持って来ていて説明を受けてサリナさんに立ち会ってもらい、サインをし正式に婚約した。

そうだ!フィラの件を話しておかないと、また揉める元だ。恐る恐るグラントに話すと意外にもあっさりフィラが1番の婚約者フィアンセでいいと言ってくれた。


「私は多恵の婚約者フィアンセになった事に喜びを感じていて、順番などどうでもいいのです」


拍子抜けして口を開け間抜けな顔をしていたら、意地悪そうな顔をしたグラントが耳元で…


「多恵と初めてひとつになる相手おとこは私でありたい…」

「なっ!」


一気に顔が熱くなり全身から汗が吹き出した!


「多恵は可愛すぎる…私は幸せだ!」


グラントのが歓喜の雄叫びをあげる中、黙々と昼食を用意するサリナさんに助けを求めるがスルーされ、暫しグラントの愛情を受ける事になった。

お読みいただきありがとうございます。

後少しが進まない!アルディア編が終わるまで頑張ります。最後までお読みいただきます様、よろしくお願いします。



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