陛下
陛下に呼ばれてます
入りくんだ廊下を歩く。昨日も思ったけど城内はとても広い。多分一人では移動は無理だろう。迷子になる自信あり!
私の短いコンパスにリックさんとマーカスさんが合わせて歩いてくれてる。
中々着かないなぁ〜って思っていたら、前からトーイ殿下が歩いてくる。
「多恵殿。おはようございます。今から陛下のところですか?」
「トーイ殿下。おはようございます。はい。今から伺うところです。ちなみに陛下の執務室って遠いですか?歩いても一向に着かないですけど…」と言うと、トーイ殿下は明らかに笑ってる。
「いえ。すぐ近くですが防犯上毎回順路を変えるので遠回りになるのです。この先を曲がれば直ぐですよ。」
「騎士様を疑う訳ではありませんが、結構歩いたのに着かないから永遠に着かない様な気がしてたんです。」と言うとトーイ殿下は声を出して笑う。
そしてリックさんとマーカスさんが防犯上遠回りしている説明をしていなかったと謝ってくれた。
一頻り笑ったトーイ殿下は「では後ほど昼食で!」と颯爽と歩いて行った。『トーイ殿下は爽やかさん認定!』
この後リックさんとマーカスさんに2人は悪くないと謝りまくった。
やっと陛下の執務室に着いた。マーカスさんが来室を告げ入室の許可を仰ぐ。
扉を従僕さんが開けてくれた。入室して挨拶をする。陛下に促されてソファーに座る。
お茶が用意されると陛下の指示で他の皆は退室した。
「昨日はゆっくり休めたか?」
「ありがとうございます。城内の皆さんに良くしていただいております。」ぺこっとお辞儀をする。
陛下は3枚の手紙をテーブルに置いた。
「昨晩約束した他国の王宛の書簡だ。内容を確認願いたい。」
箱庭の文字が読めるか不安だったが「失礼します」と手に取る。
なんかミミズがいっぱい書いてある。でもその上に日本語が表示されている。よかった読めるよ!
これでこっちでも本が読める。
「多恵殿。こちらの文字は大丈夫か?」
「はい。リリスの加護がある様で問題なく読めます。確認しましたがリリスが望んだ事が記述されており、問題ないと思います。」そう答えると、陛下は従僕を呼び書簡を宰相に持っていくように指示する。従僕は礼をするとすぐ執務室を後にした。
また部屋は陛下と2人になる。まだ陛下は慣れないなぁ…
「多恵殿はリリスからどこまで聞いている⁈」おもむろに陛下が聞く。
「召喚を始めた理由から今までの召喚時にあった事一通りです。」
「もちろん”ロナウドのリーフ”もか?」頷くと、陛下は何ともいえない表情をして
「儂も王位を継いだ時に初めて聞いた。この王国の民を導いて来た尊き血筋だと信じておったからショックだった」
お読みいただきありがとうございます。
他の作家さんの作品を沢山読んで勉強中です。




