チョコドリンク
キースとのデートも順調に進み…
「美味しい…」
「それは良かった」
楽しみにしていたチョコ専門店のイートインスペースでホットチョコドリンクを飲んでいる。店内は女性しかおらずキース様は女性の視線独り占めしている。同時に強烈な嫉妬の視線は私が受けているけどね…
お土産は先に購入してあるからゆっくりチョコドリンクを堪能している。チョコドリンクの甘さより前にいるキース様の方が甘い。
「甘いです」
「ならこの塩豆を召し上がってみて下さい」
「飲み物ではなくてキース様が…」
更に甘くキース様が微笑むと店内から溜息があがる?キース様はテーブルの上に乗せていた私の手を取り口付ける。そして手を引き寄せ顔を近付けて
「早く貴女と2人になりたい…」
「!」
「愛らしい…」
顔が熱い!絶対赤くなってる!
「キース様離して下さい。これでは飲めません」
「これは失礼した。飲み終わったら海岸に出ましょう」
やっと手を離してもらい残りのチョコドリンクを一気飲みした。飲み終わるとキース様は私の手をとり店を出て真っ直ぐ海の方へ歩いて行く。暫くすると海岸に出た。海岸沿いを歩いていて、ある事に気付く。『あれ?ここに来るまでに海岸には沢山人が居たのにここは誰も居ない⁉︎』
するキース様はいきなり私を抱き上げ砂浜を歩き出した。キース様が進む先にパラソルとチェアーが2脚置いてある。
「キース様⁈誰も居ません。立入禁止区域では?」
「ここは公爵家専用なので誰も来ないので安心して下さい」
なんとプライベートビーチだった。流石公爵家!
キース様はチェアーに私を下ろして目の前に跪き私の手を取り見つめてくる。
「貴女がモーブルに移る前に過ごす時間がなく、密かにモーブルに会いに行く為に色々計画していたのです。そうしていたら貴女がファーブスの港町に訪問を希望されたと聞き、嬉しくてその夜は眠れなかった。昨晩も貴女をエスコートする予行練習をした程です」
『なんか可愛い…大人でスマートなキース様が予行練習なんて』
「私は生涯貴女しか愛さない。貴女が女神リリスの願いを完遂するまでこの港町で待っています。偶に我慢の限界がきたら会いに行く事はお許しいただきたい」
「いつ戻るか分からないし、戻る迄に他に好きな人が出来るかもしれないですよ!」
「貴女は思うまま過ごされればいい。私の想いを貴女に押し付けるつもりはありません。勝手に貴女を愛します。叶うなら私の想いを受け取ってくれるならば、私の人生は最良のものとなるでしょう」
キース様は察しがよく押し付けがましく無い所が好きだ。基本私の意思を尊重してくれる。
「でもキース様は公爵家を継ぐ役目がありますよね。妻を娶り世継ぎが必要なはず。待って…」
「多恵様!いい加減怒りますよ!何万回でも言います。私は貴女を以外は要らない!私が不快ならいっそはっきり仰って下さい!諦めますから…」
キース様を怒らせた。紳士で声を荒げるイメージがなくてびっくりして…
「嫌いな訳無い!私は自己評価が低く自分に自信がないんです。それなのにこんな素敵な男性達に恋われて怖い。フィラとグラント様に心を貰いその上キース様からも受け取ると分不相応でバチが当たりそうで…」
「・・・」
『あ…怒らせた。そう言えばこんな事昔にもあった』
自己評価が低い私は相手の好意や言葉を素直に受け止めれない所がある。大輔に”自分を卑下するな”とか”素直に受け取れ”っと言われた事がある。
50年近く培った性格はそう簡単に治らない。
後3日でモーブルに移るのに喧嘩別れは辛いなぁ…
「私を嫌いでは無い…」
「はい…」
「ならば…その…」
「はい。好きです」
「状況を無視して私という人物に好意はありますか?」
「はい…ゔっげ!」
凄い勢いでキース様に抱きしめられ、勢い余ってチェアーから落ちた。下は砂だしキース様が抱きしめてくれてるから痛くはない。
「ならば!今以上に愛します。今の言葉で私はいつまででも貴女を待ちます!」
「あの…私性格がバキバキに複雑骨折していますが大丈夫?面倒くさい奴ですよ」
「そんな貴女も愛おしい…」
「嫉妬深いフィラやグラント様もいますが…」
「私も負けず劣らずです。似たもの同士仲良くやりますよ」
「帰ってくるまで待っていてくれますか?」
「愚問ですね」
優しく微笑み少し見つめ合うとキース様の瞳に熱がこもり
「愛おしい貴女の唇に口付けていいですか?」
恥ずかしいけと頷くと優しいキスをくれ、ほっこりしていたら…
結果腰が立たないくらい官能的なキスをくらい瀕死状態に。すると時間が迫っていた様でジャンヌ様が遠巻きに声をかけてきた。
キース様が返事をすると駆け寄って来たジャンヌ様が驚愕する。砂浜の上で熱烈ラブシーンをしたので私は砂まみれで大変な状態に。一気に周りが慌て出す。
結局砂を払いこのまま流石に公爵家に行く訳に行かず、街で急遽着替えを購入し港町のホテルの一室で湯浴みと着替えをする羽目になった。
終始恥ずかしくて顔が赤い私に対して、なんでキース様は平常運転なの?なんか腑に落ちない
結果、予定より遅くなったがファーブス公爵邸に着いた。馬車ではキース様がずっと抱きつき数分置きにキスしてくる。今日は一日甘すぎた…暫くはいらない…
公爵邸に着くと公爵家の皆さんが出迎えてくれた。見た目はキース様に似ているが体格がよく厳つい公爵様と倒れそうな殆ど細く綺麗な夫人からご挨拶いただく。
応接室に通されソファーに座るとキース様が隣に座り腰に手をまわす。
片眉を上げた公爵様は豪快に笑いながら
「この度は我が領地にお越し下さり光栄でございます。いゃー何度かお見かけした事はありましたが、これ程華奢で愛らしいとは。息子が心奪われる訳だ。今日は是非キースとの縁を願ってお招きしたのだが、我が息子には親の手助けは要らぬ様だ!」
「親父様。あまり多恵様に失礼な発言は控えて下さい」
「えっと…私の様な平民に公爵家ご嫡男のキース様は光栄な事ですが…」
「息子に不満がお有りか?」
「いえ…そうでは無くてですね…私の事情はキース様からお聞きですか?多重婚を認められていて、キース様以外にも…」
リリスから頼まれた事だが内容が内容だけに尻軽女と思われるかもしれない…
すると豪快に笑った公爵様は
「敬愛するリリスが認め、その上どんな美女や家柄のいい令嬢にも眉一つ動かさないキースが多恵様に気に入られようと必死でした。そんな息子を見ていて反対する訳ありません。ぜひキースを選んでやって下さい。親の私が言うのも何ですが、いい漢だと思いますよ」
どうやら歓迎されている様で安心した。この後余り時間が無いので、早目に夕食を頂き帰城する事になった。慌ただしい訪問で申し訳なく、次にアルディアに戻って来たら再度訪問する約束をした。
公爵邸に港町のホテルで待機していたデュークさん達が迎えに来てくれて帰る事に。
キース様にお別れを言おうとしたら、何故かキース様も一緒に城に行くそうだ。ジャンヌ様は騎乗し馬車に乗らない。
「まだまだ時間が足りません!」
そう言ったキース様に馬車に乗せられ熱烈ラブシーンアゲーンとなった。王城に着くまでの1刻余り大変な事になっている。キース、グラント様の時もそうだった。再度候補に戻ったら我慢していたかの様に激しいラブシーンでもうぐったりだ。
しかし分かった事がある。キスも性格が出る様だ。
フィラは性格通り俺様な感じで強引、グラント様は意外にもねちっこい。キース様は常に様子を見て私の機微に合わしている感じだ。
でも総じて3人ともキスが長い!彼らが満足する頃には私はぐったりしHPが無くなる。キスでこれならその先は怖すぎる!ここにきて”絶倫疑惑”が浮上する。もしそうなら3人も夫にしてら早死するかもしれない。腹上死なんてぜってー嫌だ!
どのくらい経ったのだろう⁈外はすっかり日落ち灯を灯し馬車は進む。御者の小窓かノックされ到着が近いと知らせてくれる。
キース様のキスから逃げてカーテンを開けたらライトアップされた綺麗なアルディア城が見えてきた。
やっと到着し扉が開くとキース様が先に降り手を借り降りると苦い顔をしたグラント様が待っていた。
まずは護衛頂いた騎士さんにお礼を言いう。何故かグラント様とキース様は見つめ合って?いる。
『チャンス!今のうちにこっそり部屋に帰ろうかなぁ…』
ゆっくり後退していたらキース様にがっつり腰を持たれて引き寄せられる。口火を切ったのはグラント様だった
「多恵様お帰りなさい。おかしいですね。なぜキース殿が一緒なのです?」
「貴方と思う事は一緒で少しでも愛おしい方と一緒にいたいのです。そうそう!私も候補に戻りました。お互いいがみ合うのではなく愛する女性の為に協力し多恵様を幸せにしたい」
「私は貴方の助けなくとも多恵様を幸せにできる。協力する気はない」
ぐったりなのにやめてほしい…
「2人ともケンカするなら私先に部屋に帰ります。続きは2人でして下さい」
「「ケンカしませんから、部屋まで送らせて下さい」」
おー!見事なシンクロだ!そして右にグラント様で左にキース様という贅沢エスコートで部屋に戻った。
はぁ…疲れたあと3日は大人しくしてようと今決めた!
お読みいただきありがとうございます。
長かったアルディア編も後少し、バテ気味ですが書ききります!最後までお読みいただけると嬉しいです。
『時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜』
『(仮)選べなかった1度目の人生、2度目は好きにしていいですか?』
もよろしくお願いします




