水中花
グラントとデートに出かけます
「公爵様。ヴァネッサ様お世話になりました。これからの時期、流行病対策で大変でしょうがお体に気をつけて下さい。ナタリー様も殿下と仲良くね」
公爵家の皆さんにご挨拶しグラント様とオブルライト領にある湖に出かけ、そこから王城に帰る事になる。別れ際にヴァネッサ様がハグをして
「・・・わ」
「へ?」
公爵様とグランド様が一瞬険しい顔をしヴァネッサ様に叱責しようとしたので
「ヴァネッサ様。ありがとうございます。その時が来たら試してみます!」
「うふふ…」
「「?」」
ポカンとする2人を後目にウィンクするヴァネッサ様。すると騎士さんが時間だと出発を促す。
グラント様は私の手を取り馬車に乗車した。窓から手を振り出発する。屋敷が見えなったらグラント様は窓のカーテン閉めて隣に座り手を握ってくる。
「今から向かう湖は多種類の水中花が咲きその中でも”レンカ”という品種が珍しく、滅多に見るとが出来ず見る事が出来ると願いが叶うと言われています」
「へぇ〜見れるといいですね」
会話が途切れグラント様を見ると優しい眼差しを向けて囁く様に…
「そのワンピースはよく似合っています。私の色を纏った貴女を見るのは心踊る。貴女を抱き抱えてアルディア中を走り周りたい」
「ありがとうございます。元々淡い色は着ないので不安でしたが、お世辞でも嬉しいです」
出発してまだ間もないのに既に甘い雰囲気にそわそわして来た。湖まで半刻程走るらしく到着まで私の心臓が持つか心配だ。
しかし察してかグラント様は甘い雰囲気は封印しモーブルのプチ情報を色々教えてくれた。モーブルとアルディアの関係は良好らしく、文官同士の情報交換や提供がよく有るらしい。城下の美味しいパン屋さんも教えてもらった。和やかな雰囲気な中馬車は進み、御者さんが小窓を叩き間もなく着くと知らせてきた。
するとグランド様はシュールを手に取り巻いてくれる。扉がノックされ開くとグランド様が先に降りて手を差し出しくれ馬車を降りた。
「わぁ!」
目の前に湖が広がり陽の光に照らされ眩しい。まるで湖面が鏡みたいだ!
「用意の間散策しましょう」
「はい」
騎士さんがタープを張り従僕さんと侍女さんはお茶の準備をしてくれる。皆さんにお礼を言いグラント様と手を繋ぎ散歩に出掛ける。ふとグラント様を見ると帯剣していて驚くと
「出来るだけ貴女と2人になりたいので、護衛は離れさせました。しかしここは野生動物も多く念のためです。危険な訳ではありませんから」
安心して湖の周りを歩き出す。少し行くとグランド様が湖面を指さした。湖は透明度が高く魚や水草それに色とりどりの水中花が見える。
昔美術の教科書に載っていた有名な絵画を思い出した。
「綺麗だ…」
「本当に!元の世界でも水中花は有るんですがあまり見た事無くて、こんな綺麗だなんて知らなかったです」
「水中花もですが私が言っているのは貴女です」
「えっ?あっ…ありがとうございます」
グラント様に引き寄せられ密着する。今日もいい匂いがする。視線を感じ見上げると優しいグラント様の瞳と合う。グラント様の綺麗なお顔が近く。
まだ心の準備が…
「ガサガサ…」
「「!」」
背後で何かが動く音がして振り返るとキツネ?ネコ?その動物はウサギ程の大きさで大きな瞳をしてかわいい。安堵したグラント様は苦笑しながら
「レイキットと言い草食系の大人しい動物で害は有りません。かわいい侵入者に邪魔されましたね。残念です」
「あはは…」
気不味く視線を湖面に戻すと一際大きな水中花の蕾が目に入る。『蕾であれだけ大きいなら咲いたら迫力あるだろうなぁ…んっ?咲くの?』
その大きな水中花は少しづつ開いていて白色?いや真珠の様に光沢のある花びらだ。あまりにも綺麗で私の顔ばかり見ているグラント様の袖口を引っ張り指さした。
「グラント様!あの水中花今にも咲きそうです!見て!」
「あれは…」
グラント様は目を見開き驚愕しその水中花を凝視している。
「多恵様。あれは馬車で話した”レンカ”です。私も初めて見ました。直ぐに花びらが散ります!早く願い事を!」
「えっ!急に言われても?」
あるあるで流れ星に願いを唱えるのに焦ってる内に終わるパターンだ!何を願おう?
ふとグラント様を見ると両手を握り花を見つめている。やばい時間が!えっと…
『無事にリリスの願いを完遂できます様に!』
「「あっ!」」
レンカは金粉?金色の花粉を撒き一瞬で花が散った。レンカの花粉が光に反射してキラキラしている。後で聞いた話しレンカの開花を見れた人は数人しかいないらしい。ある意味私もってる!
まだ余韻に浸っていると従僕さんがお昼の準備が出来たと知らせてきた。グラント様はご機嫌だ。お昼をいただいている時も多弁だ。
「食事後は馬を走らせ森の奥に小規模な直瀑があります。そこまで足を伸ばしましょう」
「はい」
湖の横を通り森を馬で進む。馬上でグラント様に抱きしめられ背中が密着して温かい。鍛えたグラント様は逞しくて安心して身を預けられる。
やはり2人になりたいのか騎士さん3人だけだ。少ししたら水音が聞こえてきた。森を抜けると目の前に滝が!落差5、6m程だろうか⁈滝壺に水飛沫が上がり角度によっては虹が見える。高さはないが水量は多い。
「あぁ〜マイナスイオンたっぷりだ」
「イオ?…気に入っていただけた様だ」
馬を騎士さんに預け滝の近くに行くとすごい速さで騎士さん達は見えない場所に消えていった。
『忍者か⁉︎』なんて考えて一人で笑っていたら
グラント様は跪き私の手を取りじっと見つめた。
「私、グラント・オブルライトは生涯貴女だけを愛し側にいる事を誓う。私の至らない所は直します。私との未来を考えて欲しい」
「必要無いです」
「えっ…」
顔色を無くしたグラント様をて『しまった勘違いさせた』
「違います!言い方が悪かったです!直さなくていいって事言いたかったの!」
「しかし私の嫉妬深さに呆れられたのでは?」
「確かに他の方に比べて嫉妬深いけど、それは言い替えたら愛情深いって事でしょう?伴侶候補の時はこんなに酷くなかったわ。不安から来てるって分かっているから。私はグラント様を信頼してます。私が困ることしないって…」
目を潤ませたグラント様は超絶色っぽい。やっぱり私…
「私。グラント様好きです。嫉妬深いけど私の事を理解しようとちゃんと話を聞いてくれるし、不安な時側にいてくれ抱擁は安らぎをくれるから…長くなるかもしれないけど、リリスの依頼を終えるまで待っていて欲しい…です!」
凄い勢いで抱きつかれた。苦しいくらいに…少し震えてる⁈
「私は昔から恵まれていて心から欲しいと思う事なんて無かった。貴女が初めてだ。こんな嬉しい事はない。もぅ死んでもいい…」
「死んじゃー嫌です!」
「絶対貴女より先に逝きません!貴女に言いよる男が出てくるから」
「じゃ!前に話したみたいにお爺ちゃん、お婆ちゃんまでお願いします」
「はい。生涯愛します」
心がぽかぽかしてきた。フィラ、キース様もだけどグラント様も結構初めから好きだった。この抱擁が特に好き!私の癒しだ。
『あっ!でもこれだけは言って置かないと…』
「グラント様。私の事情はご存知と思いますが、他の男性も受け入れると思います。多分嫉妬させると思いますが、私の事情も含めて私を愛してくれると信じています」
「はい。今以上に精進して貴女の愛に応えましょう」
「よろしくお願いします」
「何百回、何万回でも言います。愛してます」
「はい。私も好きです」
「早く貴女に”愛してる”と言わせたい」
「私の元の世界では余り言わないから恥ずかしいんです。いつか言えるかなぁ…」
グラント様は色んな所に口付けてくる。そして真剣な顔して
「貴女のその愛らしい唇に口付けていいですか?」
「騎士さんが見てるから嫌です。帰りの馬車なら…」
「ならば!直ぐ帰りましょう!」
「いや!早い!もっとここでグラント様とデートしたいです」
結局…超ラブラブな時間を過ごして王都に戻るため帰り支度をして異常にゆっくり馬車は進んだ。
約束通り馬車ではグラント様のキス攻撃に合い、王城に着いた時にはふにゃふにゃになり、部屋までグラント様に抱き上げられ運ばれる事になった。
明日唇が腫れたら責任取って下さいね!グラント様!
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