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ストレッチ

モーブルに行く前にやる事が多くて痩せて喜ぶ多恵。

さぁ!ダラス陛下とオーランド殿下をお見送りし午後から騎士さんにストレッチの指導がある。ここ数日忙しいせいか少し瘦せた気がする。

箱庭に来てから会う人にしっかり食べなさいと言われる事が多い。私的には今の体型が一番理想だ。元世界でMサイズ・9号くらいだろうか。実はこの箱庭には体重計が存在しない。なぜなら皆スリムで“肥満体型”の人が居ないからで必要ないのだろう。女性は細いが出るとこはマグナムサイズで男性は細マッチョ以上でもやし男子はいない。

そんな中に居ると私は細すぎるらしく心配される。このままキープし元の世界に帰る時はリリスにこの体型にしてもらおう!元の世界でおしゃれするのを楽しみにほくそ笑む。

シンプルなドレスに着替え謁見の間に向かう。謁見の間の扉前でトーイ殿下とばったり会った。うーん!今日も爽やかさんの殿下だ。 


「多恵殿!昨日はお疲れ様でした。ハプニングがあったと聞いています。大丈夫ですか?」

「はい。ありがとうございます。殿下は?」

「ケニーの抜けた穴を埋めるべく忙しいですよ。それよりレオが多恵殿にべた惚れで五月蝿くて仕方ない。ずっと貴女の素晴らしさを語っています。伴侶候補に選ばれた直後のケニーの様だ。うちの副団長はそんな奴ばかりですよ」


楽しそうに話す殿下に少し前向きになれた様で安心する。殿下と話しているとヒューイ殿下も来た。ヒュー殿下に促されて3人で謁見の間に入る。既にオーランド殿下とダラス陛下がいらっしゃりアーサー殿下、イザーク様と歓談中だった。私の姿を確認したダラス陛下が足早にきてハグし頬に口付ける。

う…んやっぱり陛下は何時会っても深夜臭がする。


「やはり着飾った多恵殿も愛らしいな。うちのデザイナーのゴードンが多恵殿に似合うドレスを山の様に用意しているそうだ。貴女が来るのを楽しみにしているぞ」

「ありがとうございます。ゴードンさんに伝言お願いします。“体は一つなので沢山作らないで下さいね”とお伝えください」

「相変わらず謙虚だなぁ…こちらが困る位甘えて欲しいものだ」

「殿下とお話し中では無かったのですか?」

「そうであった!ではまた後で…」

「はい」


ダラス陛下はヒューイ殿下とトーイ殿下の元に行き、オーランド殿下が頬を染めもじもじ君で歩いて来た。


「多恵様。さっき程は不意打ちで何も言えず申し訳なかった。あの口付けは候補に戻ったと考えていいのだろうか⁈」

「そうですね…ごめんなさい。正直あまり深く考えてなかったんです。でも嫌なら絶対しませんから(仮)って感じですかね」

「(仮)でも嬉しい。モーブルに移られても俺の事は忘れないで下さい。俺はいつも貴女を想っています。急かしてはならないのは分かっていますが、早くレックロッドに来て欲しい」

「はい。私も早く妖精とレックロッドが仲直りして欲しいから、モーブルのお仕事も頑張ってきますね」

「抱きしめていいですか?」

「はい」


殿下はぎこちなく抱きしめ頬に口付けた。そして耳元で小さい声で

「俺の愛を貴女だけに…」

オーランド殿下も高めだけどセクシーな声をしているので、耳元でささやかれると“ぞくっ!”とする。一気に体温が上がり熱くなって来た。

その様子をアーサー殿下がずっと見ている。何故か浮気現場を目撃された様に気不味い。

従僕さんの声が響き陛下と王妃様の入場を知らせる。皆さん立ち位置に着き、前と同じようにトーイ殿下の斜め後ろに移動しているとイザーク様が微笑み手を取り壇上へエスコートしてくる。目が合うと諦めて下さいと言われている気がした。

こうして入場した陛下と王妃様の間に挟まれダラス陛下とオーランド殿下から挨拶を受ける。通常通り形式的な挨拶は終わり馬車へ移動する。

足早にアーサー殿下が来てがっちり腰をホールドした。ゴールデンレトリーバーがおもちゃを死守している様でなんだか笑えた。私に釣られて皆笑顔になる。和やかな雰囲気のまま馬車に移動し、ダラス陛下とオーランド殿下をお見送り2人は帰国した。


「ふー」息を吐くとヒューイ殿下が昼からのストレッチレッスンの話をする。参加者は各団から2名で女性騎士さんと別でのレッスンになる。


「ヒューイ殿下…レッスンのメンバーは?」

「第1はデュークとマーカス。第2からはクレイブとハンス。第3からはレオとピートです」

「分かりました。よろしくお願いします」


『うわぁ…濃いメンツだなぁ…またグラント様が知ったら悋気ヤキモチで大変な事になりそうだ』 


レッスンの準備があるから一旦部屋に戻る。

昼食はこの後運動するから軽めに済ませ、着替えはレッスンする部屋の控室で着替える。事前に邪魔になる髪だけサリナさんに結ってもらう。

時間までソファーでのんびりしていたら少しうたた寝してしまいサリナさんに起こされる。まだ寝起きで”ぼー”としていたらお迎えが来たようだ。入室許可を出すとクレイブ様とハンスさんが入って来た。

まだワンピース姿の私に戸惑っているクレイブ様。


「私は気にならないのですが、どうやら女性がズボンを履くのははしたないみたいで、直前に控室で着替える事にしたんです。サリナさんが同行して手伝ってくれるので大丈夫です」

「そうでしたか!しかし髪を結われて愛らしい。女性騎士の隊服を着用されると聞いておりますが…」

「はい。ジャンヌ様から頂いて少し大きいでがお見苦しくない程度にはなっていると思います」

「指導いただく部屋は少し広めのダンスホールで行います。不埒者が入れない様に待機中の騎士をホール付近の警備をさせますのでご安心を」

「私は別に見られても気にしないんですがね…」

厳戒態勢に少し引く私。


着替えはサリナさん持ってくれホールに移動する。ホールに着き控室で訓練用の隊服に着替える。上はゆったりした白シャツに下は黒のスラックス。

ホールに入ると皆さん準備万端だ。さくっと始めましょうか!


何故か騎士さん達は見慣れている筈なのに訓練服の私から視線を外している。騎士さんの態度に不安になり隅で控えてくれているサリナさんに視線を送ると指でOKしてくれた。

「何処かおかしいですか?」と聞くとデュークさんが

「想像以上の愛らしさに戸惑っているだけです。申し訳有りません。お時間いただいて居るので真剣にさせていただきます」

「いつも見慣れてる訓練着でしょ!真面目にしないなら終わりにしますよ!それにちゃんと見ないと正しい姿勢が出来ませんよ!」


ちょいキル気味に言うと皆さんの表情が引き締まる。この後は騎士の皆さんは真剣にレッスンを受け途中に質問を受けながらストレッチを教えていく。皆マッチョだから体が硬いと思いきや柔軟性がありこれならヨガもイケそうだ。しかしヨガのポーズは開脚したりするから事前にケイティさんとサリナさんからNGが出ている。女性騎士さんなら教えて大丈夫かな…

こうして無事ストレッチレッスンを終え一息つく。今後は今日レッスンを受けた方々が各隊で訓練前と後に指導してくれることになる。

控室で休憩し女性騎士さん達のレッスンに備える。

少ししたら控室にジャンヌ様がいらっしゃり、任務に就いていない10名の参加を知らせてくれる。ここでジャンヌ様にヨガを提案。


「ジャンヌ様。ただヨガは開脚したりなまめかしいポーズかもしれませんがやってみますか?」

「多恵様に教えていただけるなんて今後ないかもしれません。是非。よろしくお願いいたします」


隊長さんの許可を得たのでヨガも少し入れてみた。流石騎士さんで体が柔らかくヨガのポーズも難なく出来る。すごい!

そしていい汗かいて体が軽くなった様で皆さんいい表情をして色っぽい!殿方が居なくてよかったよ。


今日のお仕事終了!自分の部屋に戻るのに汗をいっぱいかいて着替えるの大変だから、訓練着の上から大きいローブを羽織り自室に戻る。

もう今日は営業終了にし騎士さんに取次を断り、ゆっくり湯浴みをし夜着に着替えてのんびりする。


「はぁ…もう直ぐモーブルでここを出るんだ…」


独り言を呟くとお茶を用意してくれたサリナさんが溜息を吐く。


「サリナさん?」

「言ってはいけない事と分かっていますが、叶うなら私は多恵さんについてモーブルに行きたいんです。召喚された日からずっと側にいて誰よりも多恵さんの事を分かっていると自負しています。駄目でしょうか…」

「ありがとう。嬉しい!でもアルディアのサリナさんがモーブルに行き城で仕えるのは無理だわ。互いに大小なり国の内情を見せる事になる。恐らく私が願えば両陛下は許して下さるだろうけどそれは私が嫌。今は揉め事がなく友好だけどこの先は分からない。私の我儘で火種は残したくないから…」

「申し訳ありません。分を弁えず…」

「サリナさんはモーブルに知り合いもいない私を心配してくれたんだよね。ありがとう!嬉しい。ダラス陛下やグリード殿下の為人を見て思ったけど、サリナさんみたいにいい人居るだろうから大丈夫。今生の別れではないからさ!また帰って来るよ」

「多恵さん…」


私は今モーブル移る前にやる事が多く感傷的になる間が無いけど、周りの人は別れを意識して居る様だ。そう思ってくれているなら凄く嬉しい。

アルディアの皆さんはいい人しか居ないなら、また帰って来たいと思う。モーブルに移る日まで皆んなといっぱい話をしようと思った。


のんびりしていたら扉外の騎士さんが手紙を持ってきた。手紙はグラント様からで開封し読むと明日の連絡だった。


『明日は3刻に公爵家の騎士団がお迎えに参ります。初日はオブルライト領内の視察に向かいますので、動き易い服装をお願いします。尚、私が贈ったワンピースを着用いただきたい。きっと貴女の美しい黒髪にラベンダー色のワンピースは映えるでしょう!』


そっか…明日は1泊2日でオブルライト領に行くんだった。お泊まりの用意しないといけない!


「サリナさん!明日の用意…」

「出来ております。グラント様から贈られたらワンピースは明日お召しになりますか?それとも2日になさいますか?」

「ゔーん。どっちがいいと思う?」

「まだ伴侶候補に戻られていないので、明日着用されますと、領民に勘違いをさせてしまうので2日目の方がよろしいかと…」

「んじゃーそうする!」

「畏まりました」


しかしこの判断が明日グラント様を不機嫌にしてしまい大悋気ヤキモチになるなんてこの時は考えても無かった。

お読みいただきありがとうございます。

続きが決まりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜』

『(仮)選べなかった1度目の人生、2度目は好きにしていいですか?』


もよろしくお願いします。

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