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薬草

久しぶりのイケメンが登場します。

目覚めたら腕の中に水色のでっかい毛玉。珍しくてん君がまだ眠っている。てん君を撫でようとしたら手首に鈍い痛み。手首を見たら少し赤い。


『あーフィラか…』


昨日晴れて?伴侶候補に返り咲いたフィラは暴走し私を押し倒した。その時に両手首を強く握られた様だ。昨晩の出来事を思い出すと顔が熱くなる。あんな激しいキスは経験し事がない。キスであれならその先は…死んじゃうかもしれない。

視線を感じその先を見たらてん君が冷たい目で私の手首をみている?


『たえ それ いたい だれ?』

『えっと…』

『フィラ した!』

『たえ いたい ぜったい だめ!』


腕の中の毛玉が消えた!もしかして…


暫くするとてん君にローブを引っ張られてフィラが現れた。

『たえ いたいした フィラ なおす』


気まずそうにベッドサイドまできたフィラは私の両手を取りマジマジと手首をみて


「すまなかった。喜びに感情を抑えられなかった。こんなに赤くなるほど掴んで痛かっただろう」


眉尻を下げ申し訳なさそうなフィラ。私は痛い事より昨日の今日で恥ずかしい方が勝っている。


「大丈夫。今日は予定無いから大人しくしていれば治るよ」


フィラはポケットから容器を出しクリームの様な物を手首に塗り包帯を巻いた。両手首に包帯ってまた周りの人に心配をかけてしまう。

ふとフィラの腕に包帯が…『あ…またてん君に噛まれたな』でも敢えて言わないでおこう。


フィラは優しく抱きしめ口付けて来る。解禁になったら前みたいに頻繁にしてくる。日本人である私はこの習慣は慣れなくて恥ずかしい。

てん君がベッドに上がり私に口付けるフィラの袖をひぱった


『フィラ たえ こまる たくさん だめ』

「俺の口付けは嫌か?」

「嫌じゃないけど頻繁は恥ずかしいのと、人前では止めて…」

「分かった。もう2度とお前を失いたくないから自重しよう」


“コンコン”誰か来たようだ。フィラは再度口付け「また来る」と告げ帰って行った。

てん君の鼻息はまだ粗い。確かてん君が私の守りに着いたときにフィラが“こま(てん君)は手強い”って言っていたのを思い出した。やっぱりてん君の守りは鉄壁です。返事をするとマリカさんが入室してきた。


「多恵様。そろそろご起床下さ…ぃ!!どうしたんですかその手首は!」

「えっと…ちょっと色々ありまして…」

「宮廷医を呼んでまいります!」

「まっ待って!必要ない。妖精王フィラが薬を塗ってくれたから、昼には治るから」


マリカさんは私を見て思考停止していて、暫くすると何かを察知し顔を真っ赤にして狼狽えだした。


「妖精王が多恵様にご無体な…」

「ないない!誤解しないで!」


この後マリカさんの誤解を解くのに相当な時間がかかり朝から疲れてしまった。

やっと朝食を食べて念願の書物庫へ行きます。今日の護衛のガイさんとマーカスさんです。二人と雑談しながら書物庫へ向かっていたらクレイブ様と遭遇!旅以来です!ご挨拶したら大人のフェロモン満載の笑顔を頂きました。廊下で立ち話をしているとクレイブ様がいきなり


「イザーク様に掛け合うのでモーブルに移転する前に騎士団にお時間を頂きたい」

「何か有りましたか?」

「バース領から帰りに教えて頂いたストレッチとやらを騎士団に伝授していただきたのです。あの日夕刻になっても体がスムーズに動き調子が良かった。あのストレッチを騎士団に取り入れればけが人も減るでしょう。是非お願いしたい」

「私は構いませんが…私も本格的にやっていた訳では無いのであまり期待しないで下さいね」


クレイブ様の依頼でまたフィットネスインストラクターをする事になりました。これは木板タブレットでストレッチを知らべないと…


クレイブ様と別れて書物庫にやっと着きました。久しぶりにトーマスさんに会い少し雑談し、モーブルに関する本を紹介してもらった。

暫くお世話になる国だから基礎知識は必要だよね!

『よし!モーブルの本は決まった。ちょっと参考に恋愛ものでも読もうかなぁ…』

ふと最奥の禁書庫の扉が目に付いた。懐かしい…あの扉からケニー様が出て来て事件に巻き込まれたんだ。ちょっと前の事なのに懐かしく感じる。すると目の前の棚の間から誰かが出て来てぶつかりそうになる。


「ごめんなさい!」

「いえ!こちらこそ?多恵様‼」


何とケニー様だった。解消後以来だ。

気のせいか何だかそわそわしている気がする。


「お元気そうです何よりです。ケニー様何か良い事でもあったのですか?楽しそう」

「はい!実はエリザベスが子が授かりまして!甥か姪出来るんですよ」

「おめでとうございます。楽しみですね!」


もう伯父バカしている。でもケニー様が急にテンションを下げて真面目な顔で話しかけて来た。


「多恵様。大切な話がございます。今からお時間いただけないでしょうか?」


何だろう…怖い。


「えっと…今日はフリーなので大丈夫です。私のお部屋に来ますか?」


結局この後私が借りた本をケニー様が持ってくれ私の部屋に戻る事になった。部屋までの道すがら話すがいつも通り陽気で明るいケニー様だ。

『話ってなんだろう…候補についてだろうなぁ…。ケニー様に女性を口説くイメージ無いから昨日のフィラみたいな事は無いだろうけど…チョイ怖いなぁ』

そんな事を考えていたら部屋に戻って来た。

部屋に居たマリカさんは驚きながらもお茶の用意をして気を聞かせて退室していった。


「えっと…お話は?」

「俺は多恵様の候補には相応しくないと思い候補を辞退させていただきたい」

「へ?」

「多恵様が俺を望むなら勿論愛す自信はありますが、恐らく多恵様が心を向けるのは俺ではないでしょう」

「・・・」

「実は・・・」


結論から言うとケニー様はイリアの箱庭に行くそうだ。イリアの箱庭に新種の薬草が見つかったが、イリアの箱庭に研究できる薬師が居ない。そこでケニー様に薬草の研究をしないかと打診があったそうだ。悩んでいる時に妹の妊娠が分かり身内が近くに居ない上に妖精王ロイドが離してくれないそんな淋しい妹の傍に行ってやりたい気持ちもあり決断。瞳をキラキラさせて新種の薬草の話をするケニー様は活き活きとして見ているこちらも元気が出てきそだ。


「そういう理由で多恵様の候補を辞退させていただきたい。お世辞や義務とかでなく新種の薬草があっても貴女が俺を望んでくれたら俺は貴女を選ぶ。貴女は新種の薬草より数百倍魅力的で興味深い。でもきっと俺は貴女の真の心は得れないでしょ」


能天気そうでしっかり私を見いていて驚いた。


「俺は高位貴族の嫡男でありながら体裁を気にしない。よく言えば好奇心旺盛だか興味が無いことには全く関与しない。薬師の知識があるが故に貴族社会でもやって来れました。一応男なので女性には興味は有りますが女性より探究心の方が勝ります。俺は多分夢中になると貴女を寂しくさせてしまう。そんな俺に貴女の心が向くと思えない」


「正直に話して下さってありがとうございます。自分が望む道をお選び下さい。私はいつもケニー様の幸せを願っています」


「多恵様…ありがとうございます」


ケニー様は徐に立ち上がり私の横に座り抱きしめた。ケニー様は華奢に見えて騎士だけあり逞しい。

長い抱擁の後、ケニー様は明るく


「多恵様。最後に俺の願いを叶えてもらえませんか⁈」

「私ができる事なら!」

「貴女への想いにケリを付ける為に口付けさせて下さい」

「へ?」


突然の事で乙女らしがらぬ声が出てた!キスってどのレベルの?昨日のフィラレベルじゃないよね⁈

また昨晩を思い出して頬が熱くなる。

でも触れるだけの”チュウ”位なら…ケニー様の餞別的な?意味でしちゃう?


「お嫌ですか?」


間近で見たケニー様はいつもの少年の様は雰囲気は無く”男”の顔をしていてドキッとする。こういうのギャプ萌え?

ケニー様は頬や額に口付けながら私の答えを待っている様だ。


耳元で

「恥じらう貴女は愛らしい…」

「!!」


更に顔が熱くなる!マリカさんに冷やしたタオルお願いしないと!


「多恵様…返事をいただきたい…」


『も!”うん”って言うしかないじゃん!』

小さく頷くとケニー様は両手で頬を優しく包み優しく口付けをした。触れるだけの優しいキス…ほっこりしていたら…あれ⁈長いし、動けない!

激しいキスでは無いけど離してくれないぞ!


キスの合間に愛を囁くのやめて!恥ずかしい〜


“ごお〜ん”4刻の鐘が鳴った。すると扉の外から護衛騎士さんの交代を知らせて来た。

ケニー様の背中を叩いて終わりを促す。


「ありがとうございます。正直口付けながら答えを早まったと少し後悔しましたよ。しかし男に二言無しです。これからは貴女の幸せを願っています」


ケニー様は最後に抱き締めて退室して行った。


こうして伴侶候補は6人になった。

お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜』

『(仮)選べなかった1度目の人生、2度目は好きにしていいですか?』

もよろしく。

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