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吉報

旅から帰ってきて忙しい多恵。リリスの依頼はハードだ。

「あの…グラント様近いです…」

「そうですか?」


べったりくっついて座るグラント様は終始にこやかだ。密着してさらによく分かる。私が居ない間に鍛えた様だ。まだ私の好きな細マッチョだからこれ以上は鍛えないで欲しい…


「多恵様。お疲れの所申し訳有りません。お願いしておりました貴族とのお茶会ですが、明後日になりました。参加予定の貴族は6家参加します。当日は騎士が常に1名と侍女にサリナ嬢が着きますので安心下さい」


「分かりました。まだ読んでいませんが参加する方から手紙が届いていましたよ」

「こちらも注意しますが執拗な接触か有れば対処するので仰って下さい」


はぁ…人見知りの私には気が重い行事イベントだ。この後2日後のビルス殿下とビビアン王女見送りとその翌日のダラス殿下のお見送りの詳細を聞く。ゔーん覚悟はしていたがハードだ。


「多恵様がモーブルに移転されるまで日がなく、スケジュールがタイトで申し訳ありません。気になる所は仰って下さい再調整します」


スケジュールを書いた紙を確認しながら説明をうける。


明日  … フリー

2日後 … ビルス殿下、ビビアン王女見送りとお茶会

3日後 … ダラス陛下お見送り

4日後 … オブルライト領を視察し1泊

5日後 … 王都に戻りフリー

6日後 … アーサー殿下とお出かけ

7日後 … 未定


ん?暫くアルディアを離れるからあそこに行ってみたい。


「あの…行きたい所がありますが、調整可能ですか?」

「遠出で無ければ大丈夫ですよ」


『えっ!』思わず隣に座るグラント様を見上げた。

グラント様の腕に力が入る。あからさまに機嫌が悪い。そっか!貴方グラントはMr.やきもちでしたね。


「以前にキース様に教えてもらったファーブス領にあるチョコラーテ専門店に行きたいのです。7日後のフリーの1日では難しいですか?」

「いえ、ファーブス領の港町なら早朝出れば日没までに帰って来れますよ。早速ファーブス公爵へ連絡しましょう」

「ありがとうございます」

「多恵様、私がお供しましょう!」

「いえ大丈夫です。グラント様はお仕事忙しいでしょう⁈それに、キース様に案内してもらう約束でしたから」

「…実質キース殿との逢瀬を…」

「違います。チョコラーテ専門店でチョコドリンクが頂けると聞いて行きたいのと、港町でサンゴや真珠細工が名産だと聞いています。近々婚姻する元侍女のエレナさんと婚姻予定のケイティさんに何かお祝いを買いたいんです。お2人共私がモーブルに行ってから式を挙げられるのでお祝いを渡してからモーブルにいきたいのです」


「「・・・」」


いきなり押し黙る2人。変な事言った?この箱庭には結婚祝い的な習慣はないの?

涙ぐむイザーク様。やたらいい顔で微笑むグラント様。う…ん意味がわからん。


「分かりました。貴女の望むままに…」


モーブルへの荷造りは私が留守中に侍女の皆さんがしてくれるそうだ。バース領の出発前に陛下パパに貰ったお小遣いが沢山残っているから、侍女の皆さんにチョコラーテを沢山買っていこう。考えてだけでウキウキしてきた。

雑談をしていたら6刻になっていた。再度調整をお願いしイザーク様の執務室を後にした。予想はしていたがグラント様が部屋まで送ってくれる。

腰に腕を回され密着し歩きにくい。


「グラント様。歩きにくいです。少し離れて下さい」

「それは無理です。歩きに難いならお抱きしましょう」

「断ります」

「バース領でおとこからお心を受け取ったのですか?」

「もぅ意地悪言わないで下さい。報告書で大方知っているんでしょ⁈」


相変わらずMr.やきもちだ。鍛えてがっしりしたグラント様は男らしさが増して一緒に居ると恥ずかしい…でもそれは絶対言わない。だってグラント様が豹変するから危険だ。


「貴女が居ない日々は無いも感じないつまらない日々でした。この城に貴女が居るだけでこんなにも穏やかにいれる。貴女がモーブルに行ってしまったら私はどうって過ごせばいいのだろう…」

「人は順応するものです。初めはお互い寂しいでしょうがきっと慣れますよ」

「寂しいと思って下さるのか⁈」

「はぃ?そりゃ頻繁にあっていた人と離れると寂しいですよ」


部屋に着いてお礼を言おうとしたら当然の様に一緒に入室するグラント様。マリカさんが居て驚いている。


「すまぬがすぐ用件は終わる故、席を外してもらえるか?」


焦るマリカさんが視線を送ってくる。応じなと反対に厄介だから少しだけお相手しよう。マリカさんに頷いたら退室していった。

マリカさんが退室すると待ってました!って感じで抱きしめてくるグラント様。でも私もグラント様の抱擁は大好きだからちょっと嬉しい。


「貴女が旅の間に貴女に再度選んでもらえる男になるべく心身ともに鍛えたんです」

「確かに逞しくなられましたよね」


『トーレーニングに目覚めてこれ以上マッチョにならないでね…』


「今なら貴女に何があっても守る自信があります。だからまた貴女の伴侶候補になりたい」

「…。気持ちは嬉しいけど、もう少し待ってほしい。今はモーブルとそれに関係してバスグルの対策で頭が一杯で自分の事は考えられないんです」

「分かってます。責任感が強い貴女だからそう言うだろうと思っていました。モーブルに行っても貴女への思いは変わらない。離れる分想いは余計に強くなるでしょう。手紙を書きます。時間を見つけて会いに行きます。私を貴女の心の中において下さい」


『もうずっと前から私の心にいますよ…』でも今は言わない。言ったら絶対ラブラブな雰囲気突入できっと走り出したらグラント様は止まってくれない。

私もリリスのお仕事後回しにしてしまうから。


“ぐぅ・・・”いいタイミングでお腹の虫が鳴った。そうだ朝も昼もあまり食べて無かった。恥ずかしくて俯くと


「お疲れの所申し訳ありませんでした。侍女を呼び夕食を用意してもらいましょう。その前に…頬に口付けていいですか?」


赤い顔を上げて頷くと頬に額にグラント様のキスの嵐が…恥ずかしくて身じろぐと更に抱きしめる腕の力が強まり体が密着する。

“ぐぅ・・・”2度目の腹の虫が泣いたので背中を叩いて開放してもらった。


「我が領地視察の時は贈ったワンピースを着ていただけますか?」

「勿論!」


グラント様はマリカさんを呼び再度抱きしめて退室していった。ソファーになだれ込む私。今日は濃い1日だった。やっと食欲も出て夕食をしっかり食べて一息入れる。

明日はフリーだから久しぶりに書物庫に行って本を探しに行こう。ならば早く寝ないと!身支度をして寝室へ。

ベッドでてん君とまったりしていたらてん君がテラスの続く掃き出し窓に行った。『あ…この行動はフィラが来たんだ』

テラスに出ると目の前がベージュに染まる。フィラのローブだ。顔を上げるとふんわりと抱きしめられる。外は少し肌寒いからフィラの体温が心地いい。気持ちよくておでこをすりすりする。


「帰って来て落ち着いたか?」

「うん。でも直ぐにモーブルに移るからバタバタしているよ」

「無理はするな」

「うん。何かあった?」

「そうだ!吉報だ。第2女神のイリアの妖精王ロイドとエリザベスに子ができた。さっき妖精王ロイドから連絡が入った。喜んでいて多恵にお礼を言いたいそうだ。これでイリアの箱庭も安寧が続くだろ」

「本当に!良かった!お役に立ててよかったよ!」


うれしい!エリザベスさんには会って事ないけど、不妊の苦しさは身をもって知っているからすごく嬉しい。


妖精王ロイドがお礼をしたいそうだ。何か望みはあるか?」

「う…ん…皆さんに良くしてもらっているから正気ない」

「多恵は無欲だなぁ…」


この後、ベンチの座り旅での話を色々した。フィラは優しい眼差しで私の話を聞いている。この穏やかな時間が好きだ。


「モーブルは我が父の故郷故妖精の加護が手厚い。それゆえに国は豊かだ。国民は大らかな者が多いが、男尊女卑の傾向が強い。女性を卑下しているというより女性に過保護だ。故に多恵はあちらでは息苦しいかもしれん。モーブルに合わす事無い。お前の好きにすればいい」

「そっか。“また半人前にしたいのか”って言われるんだね」


少し先が思いやられる。溜息を吐いていたら、フィラの視線を感じ見上げたらヤバい雰囲気になって来た。そろそろ寝室に戻ろっかぁ…って思ったら


「口付けたい…」

「頬にならいよ」

「頬だけか?」

「今はね…」

「“今は”っという事はいずれは受けてくれるのか?」

「先の事は分からない…もう少し待って」

「俺は人に近いが妖精の気質も持っている。だから我慢が苦手だ。一応努力はしている。お前に嫌われたくないからなぁ…しかし永遠に答えを待つことはしない。知っているな。俺のキャパは持って後数年だ。待ってられない時が来る。俺はお前以外の者を選ぶ気はない」

「うん・・・」

ぐっと身を寄せるフィラが超絶色っぽくてドキドキする。ズルいそんなセリフと“男の顔”されたら流されるじゃないか!洪水警報?雪崩警報?がでたよ!

必死にとどまる私。


『たえ すなお ない』


下を向くと足元にてん君がいて鼻息が荒く座っている。


『すき ほか きにしない たえ フィラ すき それ いいこと』

『うん でもね…』

『なに こまる?』

『好きって言うと、リリスのお仕事が手に着かなくなる。私不器用だから』

『だいじょうぶ フィラ いっしょ しごと できる』

『でもね・・・』

『てん わからない なぜ だめ?』


てん君の問いに答えが見つからない。困っていると


「俺に心をくれ。大丈夫だ。お前が役目に専念できるように俺も協力しよう。多恵は俺が嫌いなのか?」

「嫌いじゃないから困っているの!」


『えっ!今私なんて言った⁈』

目の前のフィラが破顔しキツく抱き締めて来た。

少し苦し嬉しい…


「嫌いじゃないなら…」

「好きだけど愛かは自分でも分からない」

「俺が好きか?」

「うん?」


この後フィラの雰囲気に飲み込まれ気がつくと、押し倒されてキスの大洪水に飲み込まれていた。やっぱり押しに弱い私。もう少し距離を置きたかったのに…


「俺が好きなんだよな!」

「うん…でもまたその口付け以上はまだ…」

「分かっている。”好き”は”愛”の始まりだ。いつか俺を愛してくれ」


結局解消後たった10日程でフィラと元サヤになった。予定外だ…

お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜』

『(仮)選べなかった1度目の人生、2度目は好きにしていいですか?』


もよろしくお願いします。

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