恐怖症
オーランド殿下の女性恐怖症に理由が…
「私も一応”女”ですが大丈夫なんですか?」
「多恵様は他の女性と違う!」
「いや…同じですよ。生物学的に」
殿下まさか!男色ですか⁈
私の良からぬ想像を他所に殿下は何故女性恐怖症になったのか話し出した。まずは生い立ちを語り出する。
「俺は生まれた時産声を上げず瀕死の状態で1歳まで生きれないと医師に匙を投げられました。
幸い父がアルディアとモーブルに掛け合ってくれ、医師や薬師の派遣してもらい無事1歳を迎えました」
確かに箱庭の男性にしては少し小柄だ。でも今はそんな過去があったなんて分からない逞しい。
「そのせいで母の過剰な過保護が始まり、母や乳母達により女の子の様に育てられ、幼い頃は自分は女だと思っていました。その状況に父が危惧し母から私を引き離し母は離宮に移りました。
この時俺は5歳になっていて体も普通の子の様に元気になり、父から帝王学と騎士の訓練が始まりました。同時期に将来の側近になる遊び相手を選ぶ事になり、歳の近い子供達との交流会始まりました。名だたる高位貴族の子息か集められましたが、女の子として育った俺は子息達に馴染めず孤独だった。子息達も王子である俺に気を使うばかりで、とても友人に何てなれそうにも無かった
そんな時に親について登城したカイルに城内で偶然出会いました。あいつの第一声『えっ?お前男?』でした。影で『女みたい』と言われる事はあったが、面と向かって言われたの初めてでした。多恵様なら彼奴の為人を知っていると思いますが、裏表が無くポジティブな性格で俺を良い方に引っ張ってくれる。本来カイルは伯爵家で側近候補ではなかったが、俺が唯一気を許せる存在になり側に付いてくれ事になりました」
殿下が自分を女々しいと思うのは幼少期の育だった環境か…確かにシャイて繊細な感じはするけど、でもそれは時に長所にもなる。幼少期に『女みたい』と言われ男らしさを意識してるんだろうなぁ…
殿下は次に苦手になった原因を言及する。殿下曰く、レックロッドの女性は前乙女レベッカの影響を受け人当たりはいいが身分容姿重視の考えを持つ高慢な女性多く、男性をアクセサリーくらいにしか思っていない。特に殿下の婚約者候補達はそれが特に顕著だ。幼い頃からそんな女性に囲まれて、更に幼少期に育った環境も相まって女性が苦手になってたそうだ。ここ数年はレベッカの血を継ぐ公爵令嬢に付き纏われている。
「多恵様が召喚されていなければ、王家の血筋を残す為に自分を心を殺し婚約していたでしょう」
「そんなにその令嬢は強烈なんですか?」
「はい。数十メートル先から彼女が来るのが分かる位です。貴女の様に心をくすぐる香りでは無く嗅覚が破壊されます。元は美しい女性なのに完全に別人になる程の化粧。そして目のやり場に困るドレス。熱を持った視線で男を懐柔しようとする。貴女と真逆の女性です」
殿下本当に嫌いなんだなぁ…最後は悪口になっているし…
「全ての元凶はレベッカ。正直貴女の召喚が分かった時警戒しました。またレベッカの様な女性でレックロッドに来たら俺が娶らねばならない。あの召喚の日は覚悟を持って臨みました」
「…で私なんかでごめんなさい…」
オーランド殿下は立ち上がり私の手を取り
「召喚のあの日からずっと貴女を召喚してくれた女神リリスに感謝しているんです。俺は貴女に逢って女性を愛する事を知ったのです」
「あっ!」
「何か?」
オーランド殿下に聞いてみたい事が有ったんだ!
いい機会だ聞いてみよう。
「その召喚の日の事で聞いてみたかった事が有るんです」
「何でも聞いてください。貴女には俺の全てを知ってほしい!」
そう!聞きたい事は『何故、召喚の儀式で禁止されていた降下中の扉に触れたのか?』だ。
私はあの時点で黒色と青色の扉を持っていて、オーランド殿下が触れ扉が消えなかったら恐らく黒色を選んでいた。触れざるおえない理由があったのかなぁ⁈
質問した途端に殿下は真っ赤になり、口元を手で隠し横を向いてしまった。絶賛照れ中の殿下をお茶を飲み待っています。
落ち着いた殿下は恥ずかしそうに話し出しました。
「降下中の扉に触れてはいけないのは重々承知していました。がっ!扉から漂う芳しい香りに己を忘れ欲してしまったのです」
「芳しい香り?」
「はい。貴女からずっと香っています。脳裏をくすぐられ酔うような香りが」
思わず自分の服をくんくんするが、フィラに調合してもらった香水匂いしかしない。
首を傾げていたら殿下が私の手を引き抱きしめた。
「貴女は俺の全てだ。もう一度伴侶候補になれるならどんな困難な試練にも耐えてみせる。ずっと貴女の側にいたい…」
殿下は他の候補者より背が低く目線が殿下の肩にある。なんか新鮮だ。それに鍛えられただけあり逞しい腕に護られている様で安心する。
やっぱりオーランド殿下もいい匂いがする。どうやら箱庭の男性は男臭い人はいないようだ。大輔もこうであってほしい!
「あの召喚の儀式の時、私は黒色と青色の扉を選んでいて、殿下が扉を触れなければ多分私は黒色を選んでいたと思います」
「本当ですか?」
頷くと溜息を吐いて更に強く抱きしめる殿下。
「あの日の自分を殴り回してやりたい!」
まだ曖昧な感じで自分でも分からないけど殿下を愛おしく?感じる。
「殿下⁉︎」
「多恵様何か?」
「殿下を嫌いな訳ではなく、少し考える時間が欲しい」
「はい。理解しています」
殿下の抱擁にまったりして来た私はエライ事を口走り赤面する羽目になった。
「昨日、廊下で会った時に無視されて嫌われたと思って悲しくなったんです。自分から解消を申し出たのに、私狡いですよね…」
殿下が抱擁を解き私の両肩を掴み嬉しそうに
「それってほんの少しでも俺に好意があるって事ですか?」
「えっと…そうですね?」
真面目な顔をした殿下が
「今、俺は貴女に口付けたい!」
「えっと…頬になら?」
剣を握るごつごつした手で私の肩をがっしり掴み、優しい口付けを頬にくれた。
シャイな殿下と暫く照れ合戦する事に…
今日はオーランド殿下との距離が縮まった日となった。
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