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ピグ

何故かジャックがいて困惑する多恵。

ミリアさんの背後に隠れた私にジャックさんが声をかけて来る


「今日は観光だろう?俺も案内するよ」

「なんで貴方が居るんだ?」


思いっきり警戒モードのリックさんがミリアさんの背後から、私を背後に匿い盾になってくれる。大きいリックさんに隠れてジャックさんは見えない。

すると案内役のローガンさんが慌てて釈明した。ローガンさんとジャックさんは幼馴染でお家も近いらしい。昨晩仕事帰りに会ったローガンさんは今日の観光案内の話をジャックさんにしたそうだ。


「話はしましたが時間や行先は言っていなかったのに、予測して勝手に来たようです。正直こいつの行動力には毎度驚かされます。邪魔をしたり失礼な事をすれば直ぐ帰しますので、同行していいでしょうか?恐らく押しが強いので帰れと言っても勝手についてきます」


溜息交じりにミリアさんが


「ウチのユキ目当てでしょう⁈勝手についてくるのはいいけど、ユキが嫌がったら力尽くで排除するから!」

「ユキちゃんは皆に好かれてるんだなぁ…ライバルが多そうだ」


結局5人で周る事になった。移動を始めるとすぐにジャックさんが横に来て手を取ろうとした。流石騎士!ミリアさんが私の肩を持って反対側に誘導して位置チェンジしてジャックさんを遠ざけた。ミリアさんは私の手を取り歩きます。

リックさんは周りを警戒しながら後ろからついてきます。完全に私にくっついているミリアさん。ジャックさんは諦めた?様でローガンさんと話しながら私の前を歩きます。

まず案内されたのは小物を売っている雑貨屋。ローガンさん曰く子爵領でとれた綿花からできたハンカチやスカーフが売られていてお土産に最適との事。

早速入店し店内を見回る。ハンカチやスカーフ、タイがあり目移りする。お土産何にしようか考え中。女性にはハンカチで男性はポケットチーフかなぁ…

何枚必要か指折り数えていたら、知らない間にジャックさんが横にいて


「そんなに沢山買って王城で売るの気か?」

「え?仲間がお小遣いを沢山くれてお礼をしたくて…」

「男性物もあるが恋仲の男が居るのか?」

「(今は)居ないですよ」

「王城なら貴族様も多いから言い寄られるだろう⁈」

「ないない!私みたいな見た目子供は相手にされると思います⁈」

「王都の奴ら見る目ないなぁ!俺はどんな美女がいてもユキちゃんがいいよ」

「ジャックさん。目が悪いみたい!お医者さんに診てもらった方がいいよ」

口説きモードになって来たので、冷たく返し距離を取ろうとしたらジャックさんに肩を掴まれ引き寄せられた。

一気に顔が赤くなる。農家さんだけあってマッチョだ。騎士の皆さんとまた違うワイルドさがある。


「へ?」


後ろをふくよかなご婦人が通った。どうやらぶつからない様に回避してくれたよう。


「ありがとうございます」

「ユキちゃんは小さいな…俺の腕にすっぽり入る。いいサイズだ。ずっと俺の腕の中に…」

「居ませんから離して下さい」


「ユキ!」ミリアさんが急いでこっちに来てジャックさんの間に入ってくれる。

「ちぇ!ローガンに手助けしてもらったのに。ミリア嬢戻りが早いよ。シャイなローガンにミリア嬢を口説きはやっぱ無理があったなぁ…」

「ホンと油断も隙もないね貴方は!」

「俺は必死なんだぜ。ユキちゃん直ぐ帰っちゃうだろう。帰るまでに口説き落とさないと」

「落ちませんから諦めてね。ジャックさんは男前なんだからもっと綺麗な人いるでしょう⁈」

「俺はユキちゃんがいいの!」

「リックさーん!」

「わぁ!!一旦引くから強制排除しないでよ。もう少し同行させて!」


両手を広げて振りながらお道化て笑うジャックさん。平民らしく仕草や言葉に飾り化が無く気が楽だ。結局ハンカチを5枚とポケットチーフを15枚買った。サリナさんとミリアさんそしてリックさんにはお礼として別の物を用意しよう。


雑貨屋で自分でお金を払い大きな荷物を抱えていたらリックさんより早くジャックさんが持ってくれた。断ると

「ユキちゃん毎持つことになるけどいい⁈」と言われ素直にお願いした。


色んな通りを歩きお店や露店を見回る。小さい子供が串にささったフルーツを美味しそうに食べていた。見た事ないフルーツに思わずじっと見ていたら。ジャックさんが笑いながら手を取り引っ張った。引っ張られるまま歩くと露店の前に着いた。フルーツが串に刺して売っている。

薄桃色の丸い果物はなんだろう…


「ユキちゃん食べたいのかぃ?」

「あの薄桃色の果物は何ですか?」

「あれはこの辺でよく食べられる“ピグ”っていう果物で濃厚な甘さで美味いぞ。親父2本くれ」


露天のおじさんがピクの串を渡しながら


「恋人と食べ歩きかい?兄ちゃんかわいい彼女で羨ましいよ!」

「だろう⁈って言いたいけど、今口説いてるところさ!」

「頑張りな兄ちゃん!」

「おぅ!」


周りを見たらリックさんとミリアさんが話をしていてこっちを注視していないから丁度いい!

少しジャックさんに近づいて


「ジャックさん聞いていいですか?」

「何でも聞いてくれ」

「機織り体験もジャックさんの所でするの?」

「あぁ!機織りは母さんの実家の方だ。何故だ?」

「実は今回の旅でリックさんとミリアさんにはお世話になっているから機織りで何か贈り物したいんだけど難しいかなぁ?」


ジャックさんは驚いた表情で私を見下ろしている。あれ?おかしな事言ったかなぁ?


「いや、簡単な模様でランチョンマット位なら半日有れば織れるさ。そのなんだ…」


急に口籠もり出したジャックさん。やめて不安になるから!


「私変なこと言ってます?」

「いや…俺は見る目あるなぁ〜って思ってさ。見た目の可愛らしさだけで無く心根もいい子だなぁ…ユキちゃんは!やっぱり帰るまでに口説かないと!」


「お世辞はいいから口添えしてもらえると嬉しいです」

「分かったよ。祖母に連絡しておく」

「ありがとう!あっでも内緒にしてね⁉︎」


急にいたずらっ子の顔をしたジャックさんが

「口止め料は?」

「へ?」

「勿論くれるよな⁈」


あ…そう来たか…変な事要求される前に軽めなお礼をしておこう!


「ジャックさん両手上げて!」

「えっ?何?」

「早く!」


慌てて両手を上げたジャックさんに抱き付いた。やっぱりガッチリマッチョだ逞しい肢体に少し照れながら”ぎゅー”っとした。

見上げながら


「口止め料!です」


私を見下ろしたジャックさんの顔は赤い。

離れた所からミリアさんが走ってくる。慌てて離れた。まだフリーズ中のジャックさんを放置して殺気だったミリアさんにいい訳をして何とか落ち着いてもらった。


満面の笑みを浮かべ再起動したジャックさんがピクの串をミリアさんに渡した。

「ユキちゃんが食べたいって言ったから買ったんだよ。甘くて美味しいからミリアさんも食べなよ」


呆気に取られたミリアさんは戸惑いながら受け取り小さい声でお礼を言っていた。

改めてジャックさんにお礼を言いミリアさんと美味しいピグをいただいた。


この後ミリアさんと露天を周りミリアさんはヘアオイルを買い私は髪留めを買った。

街を歩いていると男性からたくさん声をかけられる。ミリアは美人だから仕方がない。しつこい時はリックさんやジャックさんが追い払ってくれる。


街を堪能してそろそろ帰ろうかと話していたら、左腕を掴まれ引っ張られ狭い通路に引き込まれた。びっくりして見るとさっきお誘いを断った男性が掴んでいた。


『やっやばい!この人目がいっちゃってる!』


大声上げようとしたら口を押さえられ、助けを呼べない!


「素っ気なくしたが本当は俺の彼女になりたいんだろ⁈恥ずかしがらずに俺の彼女になれよ!」


抱きつかれ体が密着し気持ち悪い!みんなが私を探している声がする。

男の手がお尻を撫でてスカートをたくし上げた。

『いゃ!』

「うっ!」どぉす!

男が倒れて唸っている。何が起こったか分からず、その場に座り込む。いつの間にか目の前に黒尽くめ男性が立っている。逆光で顔は見えない。


「この様に路地に連れ込まれますから、路地から離れて通行ください。今仲間が騎士二人を呼びに行っています。このままここにいて下さい」


リックさんの声が近づいてくる。

「では…」

「待って下さい。お礼を言わせて!ありがとう。貴方が来なかったらヤバかったです。もしかして陛下が言っていた”影”さん?」

「我々が側におりますので安心下さい。しかしご自分でも用心くだされ」

「はい。すみません」


頭を下げて直ると影さんは消えていた。やっぱり影さんは忍者みたいだと感動していたら、リックさんが走ってきて座り込んだ私を抱き上げ、足早に通路を出た。見上げたリックさんの顔は青い。心配かけたのだと反省した。

この後全員から注意を受け改めて危機感が無いと反省した。この出来事は王城に帰って陛下やイザーク様に報告後に(元)候補者の耳に入り、今まで以上に周りが過保護になったのは言うまでもない…


お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします


『時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分ですよ〜』もよろしくお願いします。

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