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ばか!

グラントの虫除けの答え合わせです

グラント様から贈られた虫よけは何だろう⁈箱は手の平サイズだ。高価なモノや宝飾品は断ったが箱のサイズからしてぽくて嫌な予感がする。

横でマリカさんが興味津々で見ている。ここにケイティさんが居たら怒られるよ。私は気にしないからいいけど


リボンを解いて箱を開けると…


「ブレスレット?」

「いえ!多恵様これはアンクレットですわ」


流石ヤキモチ妬きのグラント様だ。シルバーのチェーンに等間隔に紫の宝石が付いている。ニヤけ顔のマリカさんが


「閣下の独占欲が凄いですね。羨ましいです。素敵な殿方にこんなに思われて!」

「…一応嬉しいけど少し引くわ。これ着けられないかも」

「何故ですか?」

「私シルバーは長時間着けると気触れるの」


そう元の世界でもアクセサリーを着かなかったのはアレルギー体質だから。


「大丈夫ですわ。これはシルバーでは無くプラスと言われるもので、シルバーの様に酸化したり汗や香水で変色とかしないものです。肌に優しい素材のですから」


元の世界でいう所のプラチナかなぁ?

フィラは深緑に琥珀色のチョーカーでグラント様がプラチナに紫の宝石のアンクレット。2人共主張が激しい。 


「多恵様、お早く湯浴みと食事をなさって下さい。すぐ出発のお時間となりますよ」

マリカさんがてきぱき動きます。ケイティさんの仕込みはバッチリのようです。

着替えも終わり陛下の執務室へご挨拶に向かいます。朝早いのに陛下は迎えて下さった。


「多恵殿、土産話を楽しみにしているぞ。言ってなかったが護衛の他に影を子爵領に就かせた故、安心して楽しんできなさい」

「へ?影?」

「多恵様はお気になさる事はありません」


普通の事の様にイザーク様が言います。影て忍者?また私狙われているの?不安要素が払拭されないまま出発の時間になり陛下に挨拶を終えて馬車まで移動します。馬車前にはサリナさんとリックさん、ミリアさんがいた。サリナさんは子爵令嬢なので綺麗なワンピースを着ていて、リックさんとミリアさんは平民の設定なのでそこまで華やかな格好はしていない。私も飾りのないシンプルなワンピースだ。事情を知らない人から見たらサリナさんがご令嬢で他3人はお遣いする者に見える。リックさん曰く 


「サリナ嬢にはおとりの様で申し訳ないが、多恵様を隠す目的もあります。多恵様は侍女として振舞って下さい」

「はい!」

「皆さん!1週間お世話になります」頭を下げて挨拶した。


馬車は見た目普通の馬車で大きくも無く小さくも無い。中に入ってびっくり!ふかふかのシートで王族の方が乗る馬車のようだ。

ミリアさんとサリナさんが気後れし引いている。勿論私も…見送りに来てくれたイザーク様が


「多恵様が乗車されるので外はバレない様のに質素にしましたが、内装は陛下の指示で王族の物と同じ仕様でご用意しました。これなら疲れる事無く子爵領まで行けるでしょう」

「あ…ありがとうございます」


馬車の中は女性3人!道中会話が楽しめそうだ。リックさんは御者と交代で道中操縦してくれます。

御者との連絡小窓をリックさんがノックし出発をしらせてくれ馬車が動きだしました。

サリナさんが窓を指さしています。その方向を見ると建物の陰から(元)候補者の方が見ています。


「お嫌いになったのではないのでしょう?ならお手を振っても問題ないかと…」


サリナさんがそう言ってくれ窓から皆さんに手を振った。遠くてあまり表情は分からなかったけど、皆さんの顔色が心なしか良くなった気がした。


出発から半刻ほどでファーブス領に入りファーブス領の端を横断して次にヴァックス伯爵領を通りバース子爵領向かう。1日ではつかずヴァックス領で1泊し明日の昼前に子爵領に到着の予定だ。後1刻走りファーブス領とヴァックス領の境の町で昼食休憩をとる。車内で楽しく話をしていたら御者の連絡小窓をリックさんが叩く。小窓が開いて「右手を見てください」

窓のカーテンを開けて外を見ると白鳥の様な真っ白の綺麗な鳥の群れが飛んでいた。裕に30羽はいる

「すごい!キレイ」青い空に白色が生えて美しい。ほっこりしていたら左肩が重くなった。見るとミリアさんが寝ている。

「ミリア!守りの貴女が寝てどうするんですか!」

「いいよ!サリナさん寝かしてあげて。次の休憩まで半刻でしょう」


サリナさんは立ち上がり私と場所を変わった。ミリアさんが眠った事でサリナさんは話したかった事を切り出した


「多恵様。そのチョーカーは?妖精王フィラですか?お会いになったのですか?」

「会って無いよ。朝起きたら枕元に置いてあった。てん君の感じでは旅のお守り(虫よけ)を渡したかったみたい」

「思いっきり独占欲満載ですね。しかし虫除けが有っても、多恵さんは可愛らしいから我が領地でもモテるでしょうね」

「こんな”ちんちくりん”需要あるとは思えないけど⁈」

「多恵さん今はフリーですから我が領地で素朴な恋愛をするのもいいかもしれません」

「そっち方面は期待してない。綿花の収穫と機織りがしたいなぁ!」

「はい。出来る様に父に連絡してあります。期待していてくださいね」

ミリアさんは深い深い眠りに付いているので、昨日のグラント様との事を話した。


「失礼承知でもうしあげます。多恵さんの判断は正しと思います。(元)候補の皆様は多恵さんなんだと思っているのでしょ。ご自分は心に決めたお方以外は愛せないと豪語しておきながら、多恵さんには候補者全員の想いを全て受けて当たり前の様な考え。同じ女性として許せません。多恵さんは優しいから好意を向けてくれる方を無下に出来ないでしょうが、女性は心を許した男性にしか体を預ける事はできません。それを待つと言いながら実際は圧力もいい所です。屈する事はありません。私のお見受けした所心を預けられそうなお方は2,3人ではありませんか?」


「うっ!鋭いですサリナさん…」

「まして子を儲けるとなると本当に愛を持った方で無いと…」

「多恵さんが解消されたと聞いたときに、お押し売りの愛情から解放されると私喜んだのですよ!」

「押し売りって・・・」


サリナさんは中々の毒舌だけど的を得ている。そうなんだよ!自分は心に決めた人しか愛せないって言っておきながら、私には7人受け入れろって

本当だ押し売りに近い。本当にこのままバース領で平民の男性と静かに恋愛でもいいかも…


『ん?』スカートに何かに引っかかった。見ると裾のレースにアンクレットが引っかかっている。怖い!他の人と恋愛なんて考えていたからグラント様の虫よけが発動したのかも…じっと動かず足元を見て考えていたら、サリナさんがすぐに屈み取ってくれてアンクレットを見て…

「これがグラント様の虫よけですか?まるで足枷ですね!」

「!!」

サリナさん冷たく微笑みホラーチックで怖かった…


少し沈黙の後にミリアさんが目覚めて慌てている。護衛が対象をそっちのけで眠るなんて!サリナさんに怒られている。いいのに別に…人間欲には勝てないものです。


“ガッタン‼︎”いきなり馬車が大きく弾み馬が嘶き馬車のスピードが速まる。御者の小窓が開きリックさんが

「すみません何処かに掴まって下さい!スピードを上げます。ミリア念のため警戒」

「リック殿何事?」

「2刻の方向より猛スピードで5騎が接近中!あと少しで町に着くのでこのまま逃げます」


咄嗟にサリナさんとミリアさんが窓のカーテンを閉めブランケットやクッションで私の周りを囲む。揺れまくる馬車の中サリナさんとミリアさん両方から抱き付かれ身をひそめる。複数の馬の蹄の音が響いて来た次の瞬間!

「掴まれ!」リックさんの叫びにサリナさんとミリアさんがさらに強く抱き付く。何頭もの馬の嘶きの後に馬車は止まった。すごく長く長く感じたけど物の3分ほどの出来事だった。


小窓が開きリックさんが


「サリナ嬢。貴女に用向きがありようだ。護衛にミリアも付き添え俺が馬車の扉を守る」

「危ないよ!サリナさん出たらだめ!」

「大丈夫です。ミリア嬢もいます。絶対に馬車から出ないで!」


手を取ろうとしたけど振り払われ二人は出て行ってしまった。怖くてでも2人が心配で床に座り扉にもたれかかり外の話し声に耳を傾ける。

男性と女性の話し声が聞こえるけど、喧嘩や揉めている感じはしない。物騒な話ではなく知り合いとかだろうか?

男女の話し声が近づいてくる。『リックさんが扉の前にいるから大丈夫』自分に何度も言い聞かす。

何の前触れも無く馬車の扉が開いた怖くてブランケットを頭から被り体育座りをして丸まる。薄暗い馬車に開いた扉から光が差し大きい人影が写る。


「多恵様?」

「へ?」聞いたことある声!


ブランケットから顔を出し見上げるとそこにキース様が居た。

緊張の糸が切れて涙が出てる…


「も・・・怖かった!キース様のばか!」


暫く泣く私。横であたふたするキース様。サリナさんが溜息交じりで仕切るまでこの状況は続いた。


目を腫らしサリナさんに抱きしめられて馬車で不貞腐れている私。不審者と思われた一行はキース様と公爵家の護衛騎士だった。

何故この場に現れたのかはまだ説明されていない。あと2キロほど行くと最初の休憩地点の宿がある。そこに予約を入れているのでそこで話を聞く事になった。泣いたのと気が抜けたのでぐったりだ。もうこのままキース様一行を無視こいてバース領に行かない?

馬車がゆっくり停車した。リックさんが扉を開けてくれミリアさんとサリナさん降りて行く。私も降りようと立つと力が入らず床にヘタってしまった。キース様が駆け寄るがここで頼っては駄目だ!もう候補者ではない。


「リックさん。申し訳ないのですが足に力が入らないので手を貸してもらっていいですか?」

「畏まりました。ただ予約した部屋は2階ですので多恵様がお嫌でなければお抱きしてもよろしいですか?」

「重くてすみませんがよろしくお願いします」


リックさんは少し屈み軽々と私を抱き上げて移動していく。


「…」


見なくても分かる。直ぐ後ろにいるキース様の落胆ぶりは…でも今は驚かされた事をまだ根に持ってて優しく出来ない。


宿に入り予約した部屋に向かうために階段をリックさんが上がる。階段を登り始めてすぐに階段の踏み板が大きな音と共に軋んだ。リックさんは流石騎士で全くブレないが、私が音に驚いて左手をリックさんの首元に回した。


「あっ…」


直ぐ後ろに居たキース様が何かに反応する。気になってチラ見したら頬を赤くし嬉しそうに見つめてくる


「?」何故か分からない…候補者を解消しさっきも冷たくスルーしたのに…

まぁ〜いいっか!とリックさんを見たらリックさんの耳が赤い。どうしたんだろう…こちらも分からない!先に上がっていて待っていたサリナさんと目が合ったらに溜息を吐かれた。

も!今日は理解不能な事だらけだ!

ミニクイズの答えは「アンクレット」でした。

当たりましたか?

また機会が有ればミニクイズ出したいと思います


お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜』もよろしくお願いします

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