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あーん

多恵に楽しいイベントが!

「急な面会をお受けいただきありがとうございます。陛下がまた時間がある時にお茶を共にと申されておりました」


「はい。陛下に連絡いただきましたら伺いますとお伝え下さい。イザーク様。今日の用向きは?」


「先日話しておりましたサリナ嬢の休暇願いが許可され、明日から領地に7日帰省します。陛下の配慮で多恵様の同行を決まりました。綿花栽培と織物が有名は土地柄でのんびりしたところです。ゆっくりされるといいでしょう」

「えっ!マジですか?」

「はい。あの…多恵様前々からお聞きしたかったのですが”マジで”とはどうゆう意味ですか?」

「あ…”本当に”って意味で、元の世界でよく使います。良くない言葉使いですから使わないで下さいね!」

「分かりました。気になっていたので分かりスッキリしました。明日は朝一から出発するの今日はゆっくりなさって下さい」


「はい」

「護衛に第1騎士団から2名騎士が付き添います。今デューク殿が選任中です」


「イザーク様。私が子爵領に行っている間に、他の国の方々が帰国する予定は有りませんか?もしそうなら別の機会でいいです。皆さんがお帰るになる時はご挨拶とお見送りしたいので」

「そう仰ると思い確認できております。同じではありませんが皆様後10日は滞在予定ですのでご心配なく」

「ありがとうございます。あの…アーサー殿下やグラント様の様子は…」

「あぁ…皆さんかなりの落ち込み具合でしたよ。陛下とも話していましたがまだ青いですね。自分の想いばかり先走り相手の事を見ていない。多恵様が見限っても仕方ないと思います。私の思い違いでしたら申しわけありません。多恵様は実際の年齢より経験豊かなお考えをお持ちだ。どちらかと言うと私や陛下に近いと感じます。もしそうであるなら殿下やグラントの考えは幼稚に思うでしょう」


『ピンポーン!イザーク様正解!流石宰相を務める切れ者!』


「しかし殿下もグラントや他の候補者もいい青年です。時間と距離を置けば妥協点も見えてくるでしょう。多恵様召喚から我々は走りすぎて息切れ状態なのですよ。休憩インターバルが必要なタイミングです」

「私もそう思います。ありがとうございます。私の我儘で申し訳ないと思っていたんです」

「貴女は十分頑張ってらっしゃる。もし多恵様が我が娘なら候補者全員張り倒して領地で静養させるところです」

「ありがとうございます。父が出来たみたいで嬉しいです」

「陛下同様に父と思い甘えてくださって結構ですよ」


冷静で堅物なイメージがあったけど父性愛あふれる方なんだと知った。どうやら今の私と歳の近い娘さんがいらっしゃるらしい。

召喚されて本当に人に恵まれている。リリスに感謝しないと。この後お茶と頂きながらイザーク様と雑談をした。何と初めはイザーク様は娘さんをグラント様に嫁がせるつもりで根回ししていたらしい。本人グラントが結婚を望んでいなかったのと娘さんが想う方いらしたらしく、すぐこの話は無くなったらしい。


「グラントは優秀で私の後を任せられると娘との縁を願いましたが、今思えばグラントは多恵様と縁があったんですね」

「いや…どうでしょうか…」

「今はあまり気負わずご自分を甘やかしてあげてください」

「はい」


イザーク様は次の予定があり退室されていった。茶器を片付けていたケイティさんが


「昼食後に明日の荷物を準備いたしますが、多恵様もご一緒になさいますか?私が準備すると多恵様が現地で困る事も出てくると思いますので」


「うん。一緒にやりましょう。って言っても身の回りの物だけだから大した物はないんだけどね。衣類は平民の設定だからシンプルなワンピース中心で用意したいな」


「畏まりました。一緒に致しましょう!…サリナが羨ましいですわ」


「え?ケイティさんも休暇取っていいよ。別に私は侍女さんは何方でもいいし」


「では無くて!我が領地にも来ていただきたのです。我が領地は薔薇が名産で今の時期だとロイヤルローズと言う品種が咲いていて、領地は薔薇に香りに包まれているのです」


「凄いね!行ってみたい!よくよく考えたら私箱庭に来て殆ど王城だからアルディアの領地を知らないわ。いっぱい色んな所に行きたい」


「イザーク様に相談し次は我が領地に訪問できるようにしますわ!」


「お願いします!」


嬉しい!ケイティさんの領地に誘ってもらた。“乙女”でなくなったら色んな所に行けるんだ。早くリリスのお仕事片付けて自由になりたい!

ケイティさんと雑談していたらマリカさんが昼食の準備に入室してきた。昼から明日の出発までマリカさんが付いてくれるみたい。

前日に号泣していたマリカさんはすっきりした顔しててきぱきと給仕をしている。なんか少しお姉さんになった様に見える。マリカさん見ていると娘を思い出すなあ…48歳の母の気持がでてきた。


ゆったりと昼食を頂き昼からは明日から暫く出かける旨をダラス陛下とビルス殿下にお知らせするお手紙を書こう。そんな事を考えながら食後のお茶を飲んでいたら、護衛騎士さんが誰かの訪問を知らせて来た。今日は約束も予定も無いはずだけど…

今日の当番のマーカスさんが気まずそうに…


「多恵様。宰相補佐のグラント様がお見えで面会を求められておられますがいかがいたしましょうか?」


「へっ⁈」予想外の人の訪問に変な声が出た。


「無理なさらなくていいのですよ!」ケイティさんが背中をさすってくる。

大嫌いで解消したわけではないし、別に避ける理由も無い。


「明日の荷造りがあるので少しで良ければお会いすると伝えていただけますか?」


「畏まりました」マーカスさんは退室していった。

マリカさんにお茶の準備をお願いし、ケイティさんにお茶の準備が終わったら席を外してもらう様にお願いする。ケイティさんは何かあったらと退室を渋るけど、そんな方では無いからと説得し何とか納得してもらった。


「何かあったら声でもモノ音でもいいので上げて下さい。騎士様と突入しますから!」

「そんな物騒な事にはならないよ!」

「前回の事もありますからね!」

「あ・・・はぃ」


キスマークを付けられた時の事か…すっかり忘れていた。こういう時って意外に本人は何とも思ってない事が多いのだ。


少し緊張してグラント様をお迎えしたら…


『あ…めっちゃ痩せちゃってる!』


「急に訪問申し訳ありません。お時間は取りませんので私の話を聞いて頂きたい」


「えっと・・・こんにちは。明日の用意があるのであまり時間は有りませんがどうぞお掛け下さい」


顔を歪めて辛そうだ。着席しお茶運ばれるとマリカさんとケイティさんが退室していった


「グラント様。体調が悪いんですか?お痩せになっているし…また徹夜とかしていませんか?」


「・・・心配して下さるのですか⁈」


「当たり前でしょう!昼食は取りました?未だでしたら何か用意してもらいましょう」

「いえ・・・まだ」

「ケイティさーん!」

ケイティさんを呼んで直ぐ用意できる軽食を頼んだ。

食事を用意するとケイティさんはまた席を外した。


「食べれるだけでいいですよ。あっ!でもこのキッシュはお昼に頂いて美味しかったですよ。生ハムのサラダもイケてました」


グラント様の眼差しは優しい。でも食がすすまないのが心配で思わずお節介をしてしまう。

グラント様の隣に座りグラント様からフォークを奪いキッシュを一口にカットしてグラント様に口元に持っていって


「はい!グラント様“あーん”して!」


呆然としながら口を開けたグラント様の口にキッシュを入れた。びっくりしながら租借し食べてくれた。次はロールパンを一口に千切りまた“あーん”し食べてもらう。これを繰り返し用意してもらった食事を半分くらいは食べてくれた。良かった食べてくれて…


「今日は仕事を切り上げて早く寝てくださいね。グラント様が倒れると皆困りますからね!」


頷いてくれるけど声は発しない。気まずくて席を立ち移動しようとしたら手を取られた。


「…ですか?」

「はぃ?」

「子爵領にいってもう帰って来ないのですか?」

「そんな訳ないでしょう⁈サリナさんの休暇中に平民の暮らし体験してくるだけですよ。サリナさんが帰る時に一緒に帰ってきます」


掴まれた手を引っ張られてグラント様の腕の中に収まってしまった。すごい久しぶりな気がする。マリン系香りと温かい体温…やっぱりグラント様の腕の中は好きだ。


「あの…」

「すみません。少しこのままで…」


「リリスに召喚されて箱庭の為に頑張ってきたつもりだし、これからもリリスの助けになりたい。でも今はチョット息抜きしたいんです。

皆さんの気持ちは嬉しいけど今は答えれない。私の事思ってくださるならそっとして置いてほしい」


「貴女を信じているが変な噂を聞いたり平民の暮らしをすると聞いて、私は黒い心に支配されてしまいそうで怖い」


「ずっと想って下さると言って下さったの覚えてますか?私あの言葉で安心してリリスお手伝い出来ると嬉しかったんだですよ。私候補者の方が嫌になった訳では無いんです。あまりにも皆さん早急に答えを出すからクールダウンして欲しいんです。お互いしっかり考える時間がほしくて解消したんですよ。

皆さん真剣だからちゃんと向き合いたい」


「多恵様…」

「それに窶れたグラント様は好きくありません。優しく笑ってくれて凛々しいグラント様がいい。だからちゃんと食べてちゃんと寝て下さい!今のグラント様は頼りなくて抱っこもお願いできません。今倒れたら騎士さんにお願いしちゃいますよ」


「それは嫌だ。不甲斐ない姿を見せてしまいました。貴女が帰って来る時には頼られる男になっていますから」


「不甲斐無いなんて思って無い。人は神じゃ無いから弱くて当たり前。寧ろいつも完璧なグラント様が弱い所を見せてくれて役得です」


グラント様は私の肩に顔を埋めて

「今私は貴女に口付けたいのを限界まで我慢しているんです煽らないで下さい!」


何処に煽る要素が有るのかが分からない⁈でも来た時より元気になったみたいだ。私も気になっていたから会えて抱擁してもらって嬉しかった。

やっぱりグラント様の抱擁は好きだ!

お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価よろしくお願いします。


『時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜』もよろしくお願いします。

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