仲悪い?
2人のイケメンに挟まれ本来嬉しいはず。
でも多恵の頭の中は『ご飯』で支配されてます。
色気より食い気です。
「お前は今日1日女神の召喚で疲れておるだろう。私がお送りとどける故休むといい」と言って私を引き寄せる。
「兄上、お忘れか!陛下が決めた乙女様の相手は私だ。私がお送りするのが筋でしょう!」アーサー王子に繋がれている手と反対を握られた。
アーサー王子はさっきまでのくだけた表情から一変冷たい視線をヒューイさんに向け
「ヒューイ。お前は本当にいいのか⁈」
「っつ!」ヒューイさんは言葉を詰まらせアーサー王子を見据えている。
『なんか雲行き怪しい…』2人の間が居心地悪くなって来た。
すると”くー”また私の腹の虫が控えめに鳴る。
『すみません。早く戻りたいっす…』
2人の美丈夫に挟まれ普通なら嬉しいはずなんだけどなぁ…
私の頭上で冷戦が始まり早く逃げたくて周りを見渡すと、離れて待機していたにデュークさんと目が合った。『救世主みっけ!』口パクで“デュークさん助けて!!”と言ってみる。
察したデュークさんが来てくれた。
デュークさんが近くに来ると2人はデュークさんに気づき一瞬2人の手が緩んだ。
『ちゃーんす!』2人の手を振りほどいて、あれだけエスコートは恥ずかしいから嫌って言っていたのにデュークさんの手を掴んで
「アーサー殿下、ヒューイ殿下。デュークさんがいらっしゃるので大丈夫です。本日はありがとうございました。お疲れ様でした!」と早口で挨拶しお辞儀をした。
突然の事で2人の王子とデュークさんは目が点になっている。
『私にご飯を食べさせて下さい!!』心で叫んだ。
頭を上げると口元に手をやりアーサー王子がまた笑っていて
「多恵殿は興味深い方だ。後日お話の時間をいただけますか?!」と笑顔を向けられる。なんかアーサー王子って曲者っぽい…警戒した方がよさそうだ。
フリーズ解除したヒューイさんが「婚約者がいる兄上がそのような事を仰ると周りの者が誤解します。控えられよ。」また2人の雰囲気が悪くなる。
「では、失礼します」とデュークさん手を引っ張って歩いてく。
初めは王子を気にしていたがデュークさんだったが、しばらくするとエスコートしてくれた。
『やっと部屋に戻れる・・・ご飯・・・』私の頭はご飯しかない。しかしあの2人何かありそうだなぁ…
一応デュークさんにお詫びしないと。
「デュークさんすみません。早く部屋に戻りたくていきなり手を取って。びっくりしましたよね…」
「いえ…お二人が言い合いになると長くなるので、多恵さんの対応は正解だと思います。」
「アーサー王子とヒューイ王子って仲悪いんですか?!」
「いえ、トーイ殿下も含めてご兄弟の仲はよろしいですよ。ただアーサー殿下とヒューイ殿下はタイプが違うというか考え方が違うので衝突する事は多いのです。お二方ともこの国を思っての事なのですが」まぁ…どこでもお家事情ってあるよね〜
デュークさんと話しながら廊下を歩いていると窓の外が暗い事に気づいた。
今まで緊張の連続で時間なんて気にもしなかった。
「デュークさん今って何時ですか?」お腹空いてるし7時くらいかなぁ?!
「時ですか?今は7刻半位でしょうか!?」
『??7刻半??1日は何刻?元の世界と違う?』
「時間の単位を教えてください。私の世界と違うようなので」デュークさんは一瞬戸惑った。でも私が異世界人だという事を思い出してくれたようで説明してくれた。
「1日は8刻です。月が真上の上がった頃が8刻で、朝日が昇る頃が2刻になり昼食時間が4刻になります。」
1刻=3時間って事?!っという事…今は7刻半だから。。。22時半って事?!
遅!もう寝る時間やん!
デュークさんに日常生活の事を色々教わりながら歩いてると部屋の前に着いた。
部屋の前には騎士さんが2人立っている。扉の前まで来る2人が騎士の礼をしてくれる。
どうやら今日から私に護衛騎士が常に2人付くらしい。今いる2人は今晩から明日の昼まで護衛してくれる騎士さんだ。
『顔で選んでる?』ってくらいこの2人も美丈夫だ。この箱庭には美形しか生息出来ない決まりでもあるんじゃないのか⁈
ぼんやりそんな事を考えていると、2人の騎士は自己紹介してくれた。毎日替わるらしいからしっかり顔と名前覚えないと・・・
送ってくれたデュークさんにお礼をいい部屋に入った。すると部屋に美味しそうな匂いに満ちている。“くー”またお腹が鳴った。
サリナさんが笑顔で迎えてくれる。あ~戻って来たって感じ。
「多恵さん。お疲れ様です。お食事をご用意しております。すぐ召し上がりますか?」
『やった~ごはん!』 食い気味に「はい!!」って返事してしまった。
サリナさんにまた暖かい目を向けられる。
おかしい・・・元の世界の私からしたらサリナさんは娘って言ってもいい歳なのに、何故か私の方が幼く感じる…
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