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奔放

グリード殿下の面会に胃が痛い多恵です

食事後ソファーに寝転がる。ケイティさんの目が怖い!でも次の来客が憂鬱でパリッと出来ない。

誰か来た。グリード殿下の先触れにしては早いよ⁈誰だろう…ケイティさんが対応をして気不味そうに


「シリウス様がお越しになりお話ししたいとの事です。いかがされますか?」


時計を見たらグリード殿下が来るまで30分強ある。こんな時に私断れないのだ…迷い気味に頷きソファーの横に立ちお迎えをする。

シリウスさんが入ってきた。心なしか顔が緩んでないかい?


「多恵様急に申し訳ない。この後殿下から話があると思うが、誤解を受けない様に先に話しておきたいのと…」


「はい?」


「貴女に少しでも早く会いたかった…」


えっと…シリウスさんが甘い言葉セリフ言うイメージ無かったから固まる。

背後から小さな悲鳴が上がり振り向くとマリカさんが口を手で覆い頭を下げ、その横で氷の様に冷たい表情のケイティさんがいた。

後でマリカさん説教部屋行きが決まったようだ。

とりあえずシリウスさんに座っていただき、話を聞く事にした。


今城内で噂されている話は大半がデマである事。シリウスさんはビビアン王女とグリード王弟殿下の為に伴侶候補になろうとしているのではないと再度熱弁する。ケイティさんのシリウスさんに対する目は冷ややかだ。私の耳に入って来ないけどビビアン王女とモーブルはどうやら悪者のなっている様子。グリード殿下は飄飄としていて本心が読めないけど愛国心が強く、乙女である私との縁を軽視している様には思えない。またシリウスさんもどちらかと言うと脳筋タイプで人を欺けるタイプではないと思う。

どちらにしてもビビアン王女に会って王女の為人を見ないと何とも言えない。


「シリウスさんの言いたいことは分かりました。私も急に舞踏会にビビアン王女がお越しになると聞いて驚き如何していいか分からないのです。今は状況を冷静に見ている状況です。ですので初めからグリード殿下もシリウスさんにも疑ってませんから安心してください」


シリウスさんの顔が綻び優しい微笑みを向けてくれる。普段笑わない人の微笑みは破壊的だ。

ここに来てから何度も思うけど、こんな素敵な殿方達に好意を向けられるのが不思議で仕方ない。私が女神の乙女で無かったら見向きもしてもらえないだろう。異世界に転移して助けも無くこの箱庭の何処かでひっそりと暮らし、特殊趣味の男性と縁を持ち平民の生活をしていただろう。

この逆ハーレム状態は偏にリリスがおかげだと思う。八百長試合の様ですこし気がひける。

シリウスさんは少し遠慮気味に


「脚が直られたのなら明日の舞踏会是非1曲踊っていただきた。私もダンスは何年かぶりで自信がありませんが、貴女と踊れるのなら何曲でも踊りましょう」


また背後でため息が聞こえる。意識をそちらにやるとやっぱりマリカさんだ。まだまだ経験不足なんだなぁ…こんな甘い言葉を聞いてもベテラン勢は表情一つ変えないもんなぁ…


部屋の外の騎士さんからグリード殿下の先触れが来たと知らせがきた。はぁ~胃が痛い。フィラに頼んだら胃に効く薬草とかもらえるかしら…

シリウスさんは私の横に立ち腰に腕を回してくる。ふと見上げるとめっちゃいい笑顔。シリウスさんの頭にケモ耳が見えるのは気のせいだろうか…

グリード殿下が入室して開口一番


「シリウス。居ないと思ったら抜け駆けか?」


グリード殿下は意地悪そうな顔をしてシリウスさんをからかいます。グリード殿下って狸だ!気を付けよう…


殿下とシリウスさんが並んで座り私は向かいに一人で座る。マリカさんがお茶を入れてくれたタイミングでグリード殿下が人払いをした。扉を少し開けてケイティさんとマリカさんは退室する。

怖い何を言われるんだろう…


「まずは多恵様にお詫び申し上げます。城内で色々噂されており多恵様にお耳には入っていると思います。モーブルもバスグルも貴女に悪意が無い事を分かっていただきたい。ビビアン王女は好奇心旺盛な方で行動力があり昔から私も驚かされる事が多かった。まぁ…今回もですがね」


グリード殿下は溜息を吐きシリウスは呆れ顔です。どうやらビビアン王女は自由人のようだ。この手の人は悪気が無いからタチが悪い。

私が最も苦手なタイプだ。明日はキース様に対応をお願いしよう。


「彼女は本当に謝罪をしたいのだと思います。そしてあわよくば貴女とのコネクトが欲しいのでしょう。バスグルは現王が保守的で閉鎖的な為、アリアの箱庭の中でも最も国力が劣っている。ビビアン王女はそれを憂いでいて、積極的に他国と交流をし技術や文化を積極的取り入れている。モーブル王国への留学もモーブルの農業技術を学ぶためです。彼女は貪欲に学んでいました。王位を継承するにあたりさらに交流を進めたいのだと思います。この舞踏会はレックロッドのオーランド殿下もいらっしゃるので繋がりを持てますからね。誤解しないでいただきたい。彼女は本当に自国を思っての行動なのです」


グリード殿下はえらくビビアン王女を庇います。横に座るシリウスさんは何とも言えない表情でグリード殿下を見ています。

この二人は同じ意見ではないようだ。一体何を信じていいかもう分からない。

でも一つ言える事は『だから何?』ボリスが言ってた。困ってどうしようもないなら、その箱庭の女神が異世界人を召喚すればいい。自分勝手なレオン元皇太子も国を思っているビビアン王女もしている事は同じ。他国に召喚された便利な異世界人を利用しようとしているだけ。召喚に神力を使いこの箱庭の為に尽力するリリスの想いを知らない。知ろうとしていない。今のグリード殿下は友人を庇っているだけだ。


少しムカつきついキツイ口調になる。


「明日ビビアン王女とお会いすればご挨拶はさせていただきますし、謝罪をされるならお受けします。そこからは互いの信頼が築けたのなら深い話もするでしょう。しかしそれは誰かに指示されたり強要されるものでは無い。もしビビアン王女が国として私に協力や援助を求むなら、私に直接交渉するのは筋違いです。私はリリスに召喚されこの箱庭の為に来たのです。すみません。失礼な事を言います。どうしても異世界人の力が必要なら女神アリアが異世界人を召喚すればいい。私はこのリリスの箱庭の為に来ているのです。則ちリリスの命で動いています。一国の王女かもしれませんが女神に対して不敬ではありませんか?前のベイグリーの妖精王ロイドの時は女神イリアから女神リリスに協力の願いがあったと聞いています。筋を通していただきたい。まして他国であるグリード王弟殿下が口添えすべき話ではありません」


グリード王弟殿下は立上り私の斜め前に跪き頭を深く下げて


「大変失礼な発言をし心からお詫び申し上げます。どうやら私はお優しい多恵様に甘えていたようです。今後は分を弁えます故お許しを」


「それにアルディアに対しても失礼です。大義名分が有れば相手の都合は関係なしですが⁈自由と奔放をはき違えていませんか?正直その様な方とは付き合いをしたくない」


ダメだ…こうなるとエスカレートして自分を抑えられない。この箱庭の為に力を使い私を呼んだリリス。リリスの思いが軽視されている様に感じて腹ただしく思い、また感情的になりグリード殿下に言い過ぎた自分に泣けてきた。


「多恵様!」


シリウスさんが立ち上がり駆け寄った瞬間!風が吹き体が浮いた。目の前が若葉色に染まり温かい腕に包まれる。誰って聞かなくても分かる…


「グリード…なぜ我が番が泣いているんだ?」


頭を抱え込まれてフィラの顔は見えないけど、怒っているのは分かる。


「フィラ違うの…思っている事が上手く伝えられないのと、グリード殿下に言い過ぎた自己嫌悪からなの!」


「アリアの跳ねっ返りが好き放題している様だなぁ⁉︎リリスが頭を痛めている。グリードよ。我が父の祖国ゆえある程度目をつぶってきたが、多恵が泣く様な事が有れば対応を見直す必要があるなぁ⁉︎」


「…」グリード殿下は言葉が出ない


離して欲しくてフィラの腕の中でもがくけど、離してくれない。


「フィラ!大丈夫だからとりあえず離して!」

「駄目だ。お前の泣き顔は他の奴に見せたくない!」


騒動に気付いたケイティさんと騎士さんが入って来て部屋の中は収拾が付か無い。


シリウスさんがフィラの前に跪き

妖精王フィラ!発言許可を」

「お前…名は?」

「シリウス・サザライスと申します。前妖精女王シュリ様が番のサザライス公爵家の者です。私の話を聞いていただきたい」


「やはりサザライス家の者か…目元がどことなく父上に似ている」


フィラの腕の中で驚いて固まる。フィラのお父様の事も初めて聞いたし、シリウスさんとフィラが親戚だった事にも驚く。

今凄い嫌な予感がした。何か話が長引きそうだ。

今日のお茶の時間は諦めよう…

お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価よろしくお願いします。


『時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜』もよろしくお願いします。

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