表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/442

キースに渡すお返しは何かなぁ⁈

「キース様。そろそろ時間です。起きれますか?」


ゆっくり目を開けたキース様と目が合う。


「やっぱり寝不足だったんですね。よく寝てましたよ」

「夢で純白の花嫁姿の貴女を見ました。美しかった…予知夢であって欲しい」


ゆっくり起き上がり抱きしめてくるキース様。

来た時と違ってスッキリしたお顔をされています。サリナさんがそっと温かいお茶を用意してくれます。2人で並んでお茶を飲みほっこりし、キース様の手を取り手の平にリボンのお返しを乗せる。


キース様の反応待ち。めっちゃ緊張する…

リボンのお返しは栞。桜色の生地に焦茶色の刺繍糸で『 T to K 』と刺繍した。

10㎝程の小さい栞。普段持ち歩けるように手帳に挟めるサイズにした。この世界はスマホなんて無いから手帳が必須アイテムだ。令嬢の様な完璧は刺繍は出来ないから簡単なクロスステッチで刺繍した。趣味の域を出ない腕前だからキース様の反応が気になる。サリナさんは褒めてくれたけど不安だ。


「これは…」


「栞です。リボンのお返ししたくて…私は文字を書けないから手紙は代筆なんです。自分で何かしたくて趣味レベルの裁縫しか出来なくてですね…

こんな物しか出来なくてすみません」


「この刺繍は…」


「私の世界の文字で”多恵からキースへ”という意味の略語でよく使う言葉です」


キース様はまだ栞を見つめています。あまり見ないで欲しい。手縫いだから縫い目が粗いのが分かっちゃう!


「そこの侍女。少し外してもらえないか…勿論扉を開けくれていい」


サリナさんは私に目線で確認してくる。頷き答えると礼をして退室して行った。

2人きりになり無言のキース様に緊張する



「貴女の側で眠り目覚めたら貴女がいる。こんな幸せな事はない。私は今気持ちを抑えられない。妖精王フィラや他の候補も貴女に想いを告げていて、貴女が答えいるのも知っています。我々の想いが貴女の負担になるのも理解しています。しかし一欠片でいい貴女の愛が欲しい。与てもらえませんか⁈」


キース様にぐっと身を寄せられて固まる。嫌じゃないから困る…こっちに来て私の倫理観崩壊していて、皆さんの想いが嬉しいし心地よい。

不器用な私は皆平等に返せるか不安だ。だから踏み出せない。


「私は皆さんの気持ちは嬉しいです。でも不器用だから、平等に愛せる自信が無いから踏み出せない」


「誰かに言われませんでしたか?リリスの箱庭住人は愛情深く、一度心に決めた人を一生涯愛すると。想いが叶わなくても変わる事はない」


「答えれるかわかりません」

「受け取ってくれればいい」

「まだ自分を出し切れていません。本当の私を見たら幻滅するかも」

「完璧な人間はいません。貴女の短所も愛おしい」


どんどん距離を詰められソファーの端まで来て後がない。キース様の手が私の頬に添えられる。

この流れはキスなんだけど嫌じゃ無いんだなぁ…困った。


キース様の綺麗なお顔が近く。争う気が起きない…

触れるだけの優しい口付け。欲情を含んでいなくて愛情だけ感じで心が満たされていく。

瞼や頬にいっぱい降ってくる口付けに溺れていたら扉を誰かノックする。

どうやらキース様の従者が迎えに来たようだ。

キース様は明らかに不満そう。

幼子が拗ねた様な顔にキース様もこんな表情するんだと想い愛おしく思う。


キース様は確認するかの様に口付けして身を離して


「明日は必ず貴女を守ります。貴女に想いが届いた私は無敵ですから」


「頼りにしていますね」


キース様は立ち上がり私の手を取り引き寄せ抱き寄せた。キース様はサリナさんを呼び冷やしたタオルを頼んでいます。意味が分からずキョトンとしていたらサリナさんが温かい目で見てきます。


「この栞は大切に肌身離さず持ち歩きます。今日は私にとって最良の日となるでしょう。明日は大変な1日となるのでお早くおやすみ下さい」


「明日はよろしくお願いします」


キース様は退室されて行った。

ぼーと立ち尽くす私にサリナさんが冷やしタオルを渡してくれる。何故冷やしタオルなのか疑問に思っていたら


「多恵さんお顔が真っ赤です。冷やして落ち着いて下さい」


慌てて鏡をみる。

「・・・」見事に真っ赤だ。お笑いコントの酔っ払いのようだ。冷たいタオルを顔に押し付け必死に冷やす。駄目だ!どんどん熱くなってくる。


「サリナさんどうしよう…キース様のお心もらっちゃいました。勢いって怖い」


「私がお見受けするに候補者の方々はお心は本物です。多恵さんがお嫌でなければお受けすれば良いと思います。お断りしても諦める方々ではありませんしね。皆さんも多恵さんが戸惑っているのも理解されているはずです」


また顔が熱くなる。ふわふわした感じがする。

またフィラにバレるんだろうなぁ…

夜がこわい…

ケイティさんが食事の準備に来た。侍女さんと騎士さん交代の時間だ。

デュークさんとガイさんにお疲れ様をして、今日の担当のジュードさんとポールさんにお願いしますをする。


食卓の準備をサリナさんがしていてケイティさんが誰かを連れてきた。綺麗な亜麻色の髪と瞳の雪と変わらない年頃の可愛らしい娘さん。エレナさんの替わりの侍女さんで、暫くケイティさんに付いて仕事を覚えるらしい。


「多恵様。新しい侍女のマリカです。暫く私に付きます。至らぬ所が多いと思いますが、よろしくお願いします。マリカ。多恵様にご挨拶を」


「マリカと申します。一生懸命お仕えいたします。よろしくお願いします」


「多恵です。知らない事が多いので教えて下さいね」


「はい!」

かわいい。構ってあげたい!


「多恵様。4刻半にグリード王弟殿下がお見えになると聞いています。お食事をお早く召し上がって下さい」


キース様との事があってまるっと忘れていた。グリード殿下来るんだ。火照った顔が一気に冷めていく。リリスの力で明後日に私を飛ばしてくれないかなぁ…


現実逃避しそうだ!

「多恵様。今日はクロワッサンですよ」


サリナさんが笑顔でクロワッサンが入ったカゴを見せてくれる。焼きたてでめっちゃいい匂い!

席に着いて一口食べたら幸せ!ふとサリナさんと目が合う。しまった!またパンに釣られた…

サリナさんは私の操縦方法を熟知している様に思うのは気のせいだろうか…

お読みいただきありがとうございます。

アルディア編はもう少しです。頑張ります。


続きが気になりましたら、ブックマーク登録と評価よろしくお願いします



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ