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宝飾品

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オーランド殿下にエスコートされ着席し晩餐が始まる。レックロッドは山々に囲まれた国で一年を通して気温が低い。食料自給率も低く保存食が多く味付けが濃い。今日の晩餐はレックロッド料理が出され味が濃く食がすすまない。多分味付けだけで無く精神的にも食欲が無い。食事が進まない私を向かいに座るオーランド殿下が心配そうに


「レックロッド料理はお口に合いませんか?」


「いえ…美味しいのですが、今日は食欲があまり無くて…気を使わせてすみません」


「そうゆう日もありますよ」


陛下とオーランド殿下は会話が弾んでいる様で、聞き役に徹する。食事がやっと終わった…ごめんなさいオーランド殿下。今日は私ダメな日なんです…


お茶を飲み終えボーとしていたら隣に気配を感じ横を見たらオーランド殿下がいた。

手を差し出されて


「陛下の許可はとりました。お部屋までお送りしましょう」


見上げたオーランド殿下は穏やかな顔をされていて何故か和んだ。

伴侶候補だからぐいぐい来るかと思ったけど、すごい自然な感じで気が抜ける

今の私にはこの位の接し方が心地よい。


オーランド殿下のエスコートで廊下を歩く。疲れていて足取りが重くゆっくりしか歩けない私に殿下は歩調を合わせてくれる。徐に殿下が


「多恵様はこちらに来てまだ日が浅いのに色々ありましたね。レックロッドにも報告が来ています。駆け付け貴女を守りたかった。

もどかしい日々を過ごしました。しかしその期間は己を鍛える修行の時間と自分に言い聞かせ鍛錬に励んだのです」


「ご心配をおかけしました。どおりで初めてお会いした時より大きくなられたと思ったんです。私は体力ないし皆さんが過保護で動かないから、最近はぽちゃぽちゃしてきたんですよね…鍛えようかぁ…」


「いえ、そのままで十分おキレイですし、我々がお守りしますので」


ふと見上げると顔を赤らめ横を向いてしまった。あーシャイボーイは健在か…何か可愛くてじっと見ていたら目線が合った。

本当にオーランド殿下の瞳はルビーのようだ。ルビー…何かあったな・・・ルビー・・・!


「あ!すみません。一番にお礼言わないといけなかった!宝石を贈っていただけるそうで、ありがとうございます」


「私も忘れていました。宝石商から昨日届きお持ちしていますので、明日にでもお渡ししますね」


「あの…頂いておきながらですが、当初のデザインから小ぶりに変更をお願いしたのですが…」


「はい。勿論多恵様のご希望通りにあしらっております。初めに宝石商に多恵様に希望に沿う様にと申し付け多恵様は華奢な方なので小ぶりの可愛らしいデザインにと伝えてあったのですが、宝石商が暴走した様で…私が指示した訳ではなので誤解無き様にお願いします」


やっぱり宝石商のおじさんの暴走か!そんなに商売大切か?あれ?隣で殿下がもじもじしてるよ?


「宝石商を責めないでやって下さい。私が初めて贈る宝飾品ジュエリーなので気合が入ったのでしょう」


「初めてですか?」


「はい。お恥ずかしながら色恋沙汰は縁が無く女性に贈り物をしたことがありませんでした。初めての贈り物で宝飾品ジュエリーですので、周りの者が気合が入った様で…多恵様!」


真剣な眼差しを向けられた。本当に綺麗な瞳だ。箱庭の住人はTVやPCが無いから瞳にダメージが無いんだろうな…皆視力よさそうだ。


「レックロッドでは愛する人に自分の瞳の色の宝飾品ジュエリーを贈る習慣があります。今回宝石商がルビーを勧めたのもその習慣があるからです。

もし、私の愛が貴女に届いたときは貴女の瞳の色の宝飾品ジュエリーを贈って下さいますか⁈」


「私の瞳の色?皆さんと違い私は黒。黒色の宝石ありますかね?」


「はい!!レックロッドでしか取れないブラックダイヤがあります。採れるのは数年に1回で量も少なく殆どが王族か他国の王に渡り、一般の者が手することが出来ません。いや私は宝石でなくて結構です。その辺の道端の石でもなんでも!貴女が与えてくれる物であればなんでも嬉しい」


「いや…さすがに王子に石ころは無いですよ。考えてみます」


嬉しそうに微笑まれるオーランド殿下。頭の上に犬の耳が見えるのは気のせいだろうか・・・


色々話していたらあっという間に部屋に着いた。オーランド殿下にお礼を述べ部屋に入ります。

入室したらケイティさんとサリナさんが困惑顔で話しをしています。


「ただいま!何かありました?」


「「お帰りなさいませ」」


ケイティさんが小さな小瓶を差し出した。小瓶は切子様なデザインで薄いブルーの小瓶だ。何が入っているのだろう?


「これは?」


「先ほどモーブルのシリウス様がお持ちになりまして…打ち身に効く薬だそうです。多恵様の怪我が悪化している様だと…ご心配されておられました」


2人の視線が脚に集中する。やばい2人は気付いている⁉︎怒られる前に謝ろう…


「ごめんなさい。心配かけて…実は昨晩フィラが来て治してくれて全く痛くないの」


「でしょうね…」

「そうだと思いました」


2人は呆れ顔です。

どうやらお2人は今朝から気付いていた。いつ話してくれるか様子を見ていたらしい。しかしシリウスさんが薬を持ってきた段階で、私が仮病を通す気が分かった様だ。


「多恵様!あんなに心配下さっている方を騙す様な真似は感心致しませんわ」


「シリウス様はわざわざ城下まで行かれてお薬を求めてられたそうです。まぁなんと献身的なお方でしょう!」


「だって陛下から痛かったらダンス踊らなくていいって言われて嬉しかったね…ダンス自信が無いし。フィラが治した時誰も居なかったからバレないかなぁ…って」


2人の視線が痛い…


「多恵様。ご自分が思われているよりダンスはお上手ですよ。何を心配してされているのですか!」


「殿方は多恵さんと踊るのを楽しみにされておいでなのに、お可愛いそうですわ!」


もう正論で来られて太刀打ちできません。白旗です。


2人から小言を言われてるうちに眠くなってきて一瞬意識がとんだ!その様子にため息を吐いたケイティさんが、明日グリード王弟殿下が3刻半に来ると教えてくれた。


『全てお話しします』


全てって何?明日が来る前に明日が嫌になっている私がいた。

次話はグリード殿下の思惑が分かります。

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