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急に仲が悪くなったケイティさんとサリナさん。

後に原因が分かります。気長にお待ち下さい

険悪な2人にどうしていいか分からず呆然としていたら、ゴードンさんが助け船を出してくれた。


「多恵様はどうなさりたいですか?」


「えっと…舞踏会でお披露目したいです」


アーサー殿下は立ち上がり私の手を取り引き上げ、ハグして頬に口付けた。


「舞踏会で美しく着飾った貴女と踊るのを楽しみに公務に励みます」


「どこまで化けれるか分かりませんので、あまり期待しないで下さいね」


元が並なので期待しないで欲しい…

アーサー殿下はすんなり退室されていきました。

ゴードンさんが音頭を取り衣装合わせを進めていきます。綺麗な箱から取り出されたのは、シャンパンゴールドのシルクのドレス。

私の希望通り肌の露出が少なく、スカート部分もボリューム控えめで大人しいデザイン。


「多恵様希望では装飾が少なく貧相になってしまうと心配しましたが、その分生地を良質のシルクにした事で多恵様の美しくさを強調できるものとなりました。今までのドレスはいかに派手にするかが重要視されてきましたが、召されるお方を美しくを引き立てるドレスを作ったのは初めてで、いい勉強になり感謝しております」


「私は箱庭女性に比べて容姿が貧相なので、皆さんの様なドレスでは負けてしまうんですよ」


「また!ご謙遜を!確かに華奢でいらしゃるが、凛とした美しさをお持ちです。まずはドレスを試着してみて下さいまし」


ケイティさんに付き添われ衣装部屋に移動して着てみました。流石に最高級シルクだけあって肌触り良く軽い。着ていないみたい!着心地バッチリです!


確認してもらう為に居間に行きゴードンさんにチェックしてもらいます。赤面する程ゴードンさんに褒められて、萎縮しているとゴードンさんが


「グリード殿下が仰る通り、多恵様にはシャンパンゴールドが良くお似合いです。この色味なら他の殿方のお衣装にも合うでしょう。私的にはグリード殿下が贈られるドレスなので、殿下のお色のコーラルでいいと思ったのですが…」


「殿下のお色って?」


「モーブルでは生まれた時に自分の守護色を一族の最年長者から与えてられます。ちなみに私は若草色です。お祝いの席や大切な場面では守護色を用いた物を身に付ける習慣があります。ですから殿下の守護色のコーラルのドレスを勧めたのですが、殿下が多恵さまには他に伴侶候補がいらっしゃるからと、他の候補の方を思われこの色にお決めになりました」


「…」


グリード殿下の本心は分からないけど、コーラルはきっとビビアン王女に贈りたいのだろう。ビビアン王女の話を聞いたからコーラルは着たくない。


「グリード殿下のお優しさに感謝します。明日にでもお礼を」


その後若干の直しがあるらしくドレスは一旦ゴードンさんが一旦持ち帰られました。



ゴードンさんが帰って寝室に籠りベッドにダイブして寝転がります。一昨日から精神的に疲れている。

このまま寝室に籠城きめたい!


『たえ てんを よぶ』


出てきたてん君は顔を舐めて慰めてくれる。もふもふの毛玉を抱きしめその温もりに暫し嫌な事を忘れる。


もふもふに癒されてうつらうつらしていたら、サリナさんが声を掛けて来た。どうやらオーランド殿下が来城され、謁見時間が近づいているらしい。

寝室から出たく無くて仮病を考えたが、体調悪いなんて言ったら反対に大事になりそうだ。

嫌だけど行くか…


今日は3度目の着替えをし騎士さんに付き添われ謁見の間に向かいます。

城内はモーブルとレックロッドから来た人で人口密度が高い。普段廊下を歩いていても人と会う事もあまり無いのに、廊下を歩いていると誰かしかに会う。それで会いたく無い人にも遭遇する


前からシリウスさんが歩いて来た。『うっわー猛烈に回れ右して引き返したい!』逃げる事はできないけど視界に入りたくない。思わず今日の護衛騎士のテリーさんの後ろに回りテリーさんの陰に隠れる。

テリーさんともう1人の騎士のジョンさんに

「すみません。このまま行って下さい」

とお願いする。めっちゃ困惑しているお2人だけどお願い聞いてくれた。


ドキドキしながらすれ違う。よかった無事かわしたと思ったら、後ろからシリウスさんに手を取られた。私の後ろにいたジョンさんがシリウスさんの手を掴み


「いきなり失礼ですぞ!」


シリウスさんとジョンさんの睨みいが起こる。私はテリーさんに抱えられている。なんだこれ?


「何事だ!」また誰ですか?もう面倒くさいの勘弁です。振り返るとヒューイ殿下です。


「シリウス様がいきなり多恵様の手を取られまして!」


「多恵様。脚はどうされました!」


『あっ!痛い設定忘れていた』なんて言い訳しようか咄嗟に出てこなくて黙り込んでしまう。その様子が怯えている様な見えた様で、ヒューイ殿下が怒気を含んだ声でシリウスさんを叱責する。


「シリウス殿。モーブルではこの様に女性に接するのですか?アルディアではあり得ない!断りも無く触れられて多恵殿は怯えられている。キラスで助けて頂いたとしても失礼だ」


「確かに断りも無く触れた事はお詫びいたします。しかし怪我の具合が気になりまして…悪化されているのではありませんか⁈」


『ん?悪化?』あれ真逆を言われた。何もかも嫌すぎで足取りが重かったから?それが悪化したふうに見えたのかなぁ⁈


「シリウスさんご心配をおかけしましたが、悪化はしていませんから大丈夫です。ヒューイ殿下もありがとうございます」


「…悪くなられていないなら良かったです。まだご無理なき様に…私に出来ることがあればなんなりとお申し付け下さい」


「ありがとうございます。皆さんに良くしていただいているので大丈夫です。グリード殿下の警護はよろしいのですか?」


「殿下は今日は王都に視察に出かけられています。私は今日は非番でして」


「そうですか…あっ!昨日のマントやはりお返しします。よくみたら刺繍されていて特別みたいなので、私がいただいていい物ではないと思うのです。後で侍女さんに届けてもらいますから」


「不要なら捨てて下さい…私には必要ない」


「いやあんな立派なマント捨てれませんよ!」


「多恵様お時間が迫っています」


シリウス様は哀しそうな表情をして騎士の礼を取られて行ってしまわれた。

ヒューイ殿下に促され謁見の間に急ぐ。

シリウスさんが分からない。恋愛スキルの低いおばさんには難しいよ…


謁見の間に着いたら皆さんお揃いで私待ちで焦る。


「遅くなりましてすみませんでした」


視線を感じその先を見るとオーランド殿下がいらっしゃる。あれ?前にお会いした時と雰囲気が違う気がする。あっ!じっと見過ぎた!…ん?

微笑まれた。本当に箱庭の男性は峯麗し方ばかりで自分の凡人さをひしひしと感じる。

オーランド殿下は陛下に何か言ってこちらに向かってくる。目の前に来たら変わった理由が分かった。

背が伸びていて目線が高い。それに他の男性に比べて華奢だったけど、一回り大きくなった感じする。太ってじゃ無い鍛えて筋肉が付いた感じだ。

オーランド殿下は私の手を取り口付けを落として


「この1ヶ月長かった…貴女にお会い出来るのを指折り数えていました。やっと貴女に愛を捧げられる」


あれ?オーランド殿下の第一印象はシャイボーイだったのに、こんなセリフ言えるキャラだったけ?


「オーランド殿下。お目にかかれて光栄です」


「オーランド殿下、多恵殿も陛下がお待ちです」


ヒューイ殿下に促され移動する?どんどん陛下の近くにエスコートされ、なんで陛下と王妃様に挟まれているの?


「陛下、王妃様。私場所を間違えていませんか?」


「多恵殿は儂の娘故間違っていない」

「あー嬉しいわ!娘欲しかったのよ〜多恵さん!私をお母様と呼んでね!」


知らん間に母まで出来ていた…



オーランド殿下の謁見は何ら特別な事も無く終わり皆さん退室されて行きます。

私は何故か王妃様に拉致られて庭園の東屋でお茶を頂いています。


「多恵さん。フィナンシェとチョコラーテが好きだと侍女から聞いて用意させたわ。いっぱい食べてね。多恵さんはもう少しふくよかになった方がいいわ。殿方はその方が喜ばれるから」


目の前にいる王妃はナイスバディで出るとこが出て色っぽい。今の私の体は細くも無く太くも無くで出るとこは少しで色っぽさが全くない。


「食べても私はお腹や足にお肉着くだけで、王妃様みたいにはなれません」


「多恵さん!“お母様”よ!」


「えっと恐れ多いです」


「でしたら“義母さん”でも良くてよ!」


絶対遠慮したい!陛下の父親も“義父”って事?恐ろしくなって来た。

「多恵さん。私専属の髪結いが多恵さんに教えてもらったと編み込みを施してくれてね。髪型のバリエーションが増えて楽しいのよ。

陛下は凄く気に入ってくれて、今日もほらサイドを編み込んでもらったのよ!みて!」

確かにサイドを編み込み小花を飾って可愛らしく仕上がっている。王妃様は3人も子供がいるけど少女の様に可愛い。


「多恵さん。他に編み込みの様な髪結い技術はないかしら・・・陛下を喜ばせたいの…」


王妃様可愛い!乙女だ。夜会巻きかフィッシュボーンを教えてあげよう!

王妃様とガールズトークを楽しみ少し気分が浮上した。ありがとう王妃様。お母様では無くお姉さんと呼ばせてください。


王妃様とのお茶会の後は一旦部屋に戻り今日4回目となる着替えです。グロッキー寸前の私。重い心と体を引きずり会食の部屋に向かいます。

もうお願い!誰とも遭遇したくありません。

思わずテリーさんに


「他の方が通らない隠し通路とかありませんか?騎士さんだけの秘密通路とか⁈」


「存じ上げませんし、聞いたこともありません。申し訳ございません」


「えっと…気にしないで下さい」


真っ直ぐ続く廊下を歩いていてとっても嫌な予感がする。少し行くと右に通路がある私の本能が曲がれと言っている。


「テリーさんそこの右の通路からでも、会食の部屋に行けますか?」


「えっ?あっはい大丈夫です」


「ではそこを曲がって行きましょう!とっても曲がりたい気分なんです!」


強引にテリーさんとジョンさんの手を取り右の通路に入り少しすると後方でアーサー殿下の声が聞こえて来た。

『やっぱり。このメンタルと体調でアーサー殿下の濃厚な愛情表現は確実にやられる』回避した自分を褒めてあげたい。安心して通路を歩いて突き当りを左に曲がったら…グリード王弟殿下が…



「おや多恵様今日はオーランド殿下と晩餐でしたね。今からですか?」


「はい。あっ!殿下素敵なドレス贈って頂きましてありがとうございます」


「いえ。多恵様に着ていただけるなら何着でもお贈りしますよ。相談はされましたが出来上がりをまだ目にしておりませんので、舞踏会で着飾った貴女を踊るのが楽しみです」


「申し訳ありません。脚を傷めているのでもしかしたら踊るのは無理かもしれません」


「おや⁉それは残念ですね。私は騎士ではないので無理ですが騎士でしたら多恵様をお抱えして踊るのは可能でしょうね。私では力が及びませんからシリウスに相手をさせましょうか⁈」


かっちーん!あれだけ昼食時に不機嫌になったのにまだ言うか!言っちゃう⁈

文句言ってやる決意をして息と吸った瞬間!


まっすぐ真剣な表情でみつめられて

「…もう貴女は私の意図をお気づきですね。申し訳ございません…」


いきなりグリード王弟殿下が跪き深々と頭を下げられた。呆気に取られていたら…


「私の幼馴染は騎士としては強く立派だが、愛の囁き方は知らないようです。全て隠さず貴女に真実を話すと約束しましょう。明日お時間いただけますか?」


「えっっと・・・予定は侍女さんに任せているので戻って聞いてみないと…えっと分かりませんので…その…」


「では、予定を確認し明日お時間を作ります。呼び止めて申し訳ありませんでした。オーランド殿下とのお食事楽しんできてください」


グリード王弟殿下は礼をされ颯爽と行ってしまった。その場でフリーズしていたら陛下付の文官さんが走って向かいに来た。

どうやら時間ギリギリらしい。絶賛困惑中だけど今は約束があった!また遅れちゃう!ドレスの裾を引っ張り上げ走ろうとしたら、騎士のお2人に止められた。頬を赤らめ照れながらも制止するテリーさんとジョンさん。お目汚しですみません。


危ないので走らないと騎士のお2人に約束させられた。破ったら抱っこされるらしい。


時間ぴったりに何とか着いた。毎度毎度すみません。陛下とオーランド殿下が歓談していて、私に気付いたオーランド殿下が席を立ち私の元にやってきた。改めて見ると本当に第一印象と別人の様だ。

ふと視線が合う。ルビーの様な綺麗な瞳をされている。ルビー?あれなんかあった気する。

なんだっけ?

お読みいただきありがとうございます。

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