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痛み

やっと王城に戻った多恵。またまた色々起こりそうな予感

やっと戻ってきた!早く部屋で寝たい…

グリード殿下と一緒だったから正門から入城する。グラント様に腰をがっちりホールドされて歩き難い。グラント様は絶賛溺愛中の為離してくれそうに無い。少しすると目の前に50段強の階段が見えてきた。

ダルクさんの宿の階段も痛いけどゆっくりなら登れたから大丈夫だろう。


1段目に足を掛けた時痛みが走る。大丈夫!我慢できる!部屋に戻ったらケイティさんに湿布を貰おう。あれ?急に日が陰ったよ?

顔を上げるとシリウスさんが立っている。

「ん?」グラント様に用事かなぁ?

話の邪魔かなぁ…と思ってグラント様の緩んだホールドから逃れて一歩横に移動した。横のグラント様を見たらグラント様もシリウス様の発言待ちだ。


「失礼」


シリウスさんは数段下りて来て私の横に来て、いきなり私を抱き上げた。


「「え!」」


唖然とするグラント様を横目にズンズン階段を上がっていくシリウス様。


「シリウスさん!自分で上れるから下ろして下さい」


「貴女はまた私を半人前扱いしたいのですか?」


「いえ!そんなつもりありませんし、ゆっくりなら大丈夫です」


「お見受けしたところ痛みがあるようだ。本当に貴女は周りに頼らない。側は迷惑何て思ってないのだから頼りさない」


「あっ!」大輔と同じ事言われた…なんでだろう…素直に聞ける。大輔と同じセリフだから⁈


「すみません。階段だけよろしくお願いします」


「…」


『やっと目を合わせてくれる様になったのに、また嫌われてちゃったかなぁ…』


「シリウス殿!いきなり失礼ではありませんか⁉︎」


グラント様がシリウスさんの肩を掴んで止めた。


「いきなり失礼しました。あのままだと多恵様はまた無理をして痛めてしまうので…実は多恵様は足を痛めてらっしゃる」


シリウスさんの発言に驚き私の手を取るグラント様。


「多恵様!どこを傷めたのですか?なぜ仰って下さらない!」


「ごめんなさい。脹脛を打撲しました。ゆっくりなら大丈夫です。後でちゃんとお医者さんの所に行きますから」


2人の美丈夫に怒られ委縮する。ふと顔を上げるとシリウスさんの眉間に深い溝が…あー怒ってる半人前扱いに


「閣下に失礼承知で発言させていただきます。確か閣下は多恵様の伴侶候補と聞きおよんでおります。ならばなぜ不自然な歩き方や階段を上った時の苦痛に顔を歪めたのに気付かないのです。多恵様は人に頼られるのが苦手なようで、なんでもご自分で成さろうとするし限界まで我慢される。

箱庭女性の様に男性に頼ることを成されない。周りの私共が気付かないといけないのではありませんか⁈」


「…っく!」


「失礼。そこの侍女。医務室までの案内を頼む」


後ろとついてきていたケイティさんが困惑してグラント様を見て指示を仰ぐ。


「ケイティ嬢。シリウス殿を医務室に案内して差し上げて」


グラント様は私の頬に手を当てて


「気付かず申し訳なかった。後でお部屋に伺てもよろしいですか⁈」


「はい。勿論です。ごめんなさい・・・」


グラント様は悲し気な表情をし、私の手甲に口づけを落として手を離した。


微妙な表情をしたケイティさんが階段を上がりシリウスさんを案内する。

グラント様はその場にとどまったままこちらを見上げている。

なんだか申し訳ない。私のせいでシリウスさんに小言?を言われた。何か迷い猫の様に見えて来た。シリウスさんに抱き上げられていて何も出来ないけど・・・


「グラント様!ちゃんと部屋に来てくださいね!」


グラント様は目を見開き次にとても優しい微笑みをくれた。



ふと疑問に思う。シリウスさんは階段の上にいて離れていたのに何で痛いの分かったんだろう。


「シリウスさん。なぜ私が痛いの分かったのですか?」


シリウスさんは目を見開き目線を逸らして


「ずっと見ておりますから気付きます」


「ずっと?」


階段を上がりきるとグリード殿下とアーサー殿下がいた。グリード殿下はなぜか楽しそうな表情をし、対照的にアーサー殿下は険しい。


「シリウス。あまり早急だと誤解を受け逃げられるぞ」


「殿下。余計な事を言わないでいただきたい」


「シリウス殿。多恵様は私が運びましょう。こちらに」


アーサー殿下が両手を広げて近づいてくる。するとグリード殿下が…


「アーサー殿下。陛下にご挨拶したいので、ご案内願いたい。シリウス。早く多恵様を医務室へ」


「御意」


うわーアーサー殿下の目線が痛い!何も出来ない私はシリウスさんの腕の中で縮こまるしかできない。医務室までの道のりが長いなぁ…無言怖いよ!

ふとシリウスさんの顔を見上げた。『ん?髪に葉っぱが付いている』驚かさない様にそっと手を伸ばす。

驚いたシリウスさんが歩みを止めて私を見て目が合った。

本当に綺麗な瞳だ。吸い込まれそう…


「たっ多恵様何か⁈」


「えっえっと!葉っぱが付いていたので。驚かせてごめんなさい」


再度前を向いて歩きだした。あ…また呆れられたようだ。アルディアに戻って来たのにテンションが上がらない。それにしてもシリウスさんの温かいなぁ…いかん!また眠くなってきた…

うつらうつらしてきた。シリウスさんの香水はオリエンタルな香り。本来あまり好まないがシリウスさん香りは嫌いじゃない。


頑張って起きていたら医務室がやっと見えて来た。


「シリウスさん。ありがとうございました。下して下さい。お疲れでしょう」


シリウスさんは歩みを止めず真っ直ぐに医務室に入っていく。もー下してよ!


「多恵様どうされました⁈」


「えっと・・」「脹脛に打撲と擦過傷があります。昨日鎮痛作用のあるモコロの軟膏を塗りましたが、まだ痛みがあるようです」


何でシリウスさんが問診に答えているんだろう⁈まじまじとシリウスさんの顔を見た。


「お可哀想に。どれ患部を見せて下さい」

ドレスの裾を持ち上げようとしたら


「シリウス様。ありがとうございました。多恵様は治療を受けられるので退室願います。外に案内の侍女を控えさせておりますので、お部屋にご案内致します」


「あ…失礼した。多恵様お大事になさって下さい」


「はい。色々すみません」


シリウスさんは慌てて退室して行かれた。

心なしかケイティさんが怒っている気がする。先生に湿布を塗ってもらい包帯を巻いてもらった。


「大事をとって今日は部屋でゆっくりお休み下さい」


「ありがとうございました」


「多恵様。騎士を呼んでまいりますのでこちらでお待ちください」


「はい。よろしくお願いしま・・・」


医務室に誰か来たようだ。先生が返事をすると凄い勢いでクレイブ様が入って来た


「多恵様。ご無事で何よりです。ヒューイ殿下の指示でお部屋までお送りいたします」


「あ…ありがとうございます。よろしくお願いします」


クレイブ様と第2騎士団の騎士さんが部屋まで送ってくれました。今第1騎士団と第3騎士団は他の任務で忙しい様で、暫くの間第2騎士団の騎士さんが護衛してくれるそうです。

護衛って言っても暫く動けないから要らない気がしますが…それを言ったらケイティさんとクレイブ様に怒られました。

怒られた理由を後に聞いて自分の知らないところで、また事件が起こっていたことを知った。


やっと部屋に戻るとサリナさんが居てくれた!サリナさんの“お帰りなさい”でやっと帰って来たと実感する。


ソファーに座るとサリナさんがお茶とフィナンシェを出してくれた。嬉しい!速攻いただきます。


「シリウス様のマントはいかがいたしますか?」


「貸して下さい。ひざ掛けの代わりにかけるので」


受取り膝にかけると温かいしいい香りがする。ほっこりしながらサリナさんと昨日のダルクさんの宿で食べたブブ豆のパンが絶品だったと話をしていたら、料理長に作れないか聞いてくれるらしい。あれが食べれるのは嬉しい!ちょっと癖があるから貴族の方は苦手かもしれない。

庶民の私の口にはばっちり合いました。 


「多恵様…お帰りになられてすぐに申し訳ありませんが、事情をお聞きになりたいと皆様お見えになるそうです。お疲れならお断りいたしますが⁈」


「大丈夫です」


あと少ししたらお見えになるらしい。皆様って誰が来るの?

お読みいただきありがとうございます。

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