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シリウス

新たに美丈夫が登場します

夕食は家庭料理で美味しくなんだろう…おばちゃん家のご飯って感じで食べ過ぎちゃいました。

てっきりルカさんが作ったと思っていたら、ダルクさんが全部用意してくれたものだった。


「ダルクさんとっても美味しかったです。スープのお豆は初めて食べました。何て豆ですか?」


「あれはキラスでよく採れるブブって豆です。ウチはルカが庭で育てていて、パンに入れたりするんです」


余りにも私が喜んで食べてたので、ダルクさんは緊張がとれた様で気さくに話してくれる様になった。

ルカさんも会話に入り楽しい。

ふとグリード様と目が合った。微笑んでくれる。


楽しい食事も終わりルカさんに夜着を借りて湯浴みをし、1部屋をお借りして休みます。

ルカさんに部屋に案内してもらったら、部屋の前に騎士さんがいた。確か副団長って呼ばれていた人だ。もう驚きもしない美丈夫で黒髪の長髪でブルーグレーの瞳が印象的だ。いかん!黒髪長髪はめっちゃタイプだ。騎士さんはこっちに気付きこちらに来た。



「警護の為に部屋の扉前に控えております。シリウス・サザライスと申します。何かございましたら、お申し付け下さい」


「よろしくお願いします」


会釈して顔を上げて目が合ったら逸らされた。

うゎ…嫌われてる⁈

ふと横のルカさんを見たら目がハートだ。シリウスさんもルカさんを見ている。そっか…ルカさんは背丈は同じだが目鼻立ち華やかな美人さんだもんなぁ…私みたいな十人前の顔では物足りないか。

うっ…自分で言って悲しくなった。


2人のお邪魔になるから早く部屋に入ろう。


「お休みなさい」


逃げる様に部屋に入った。部屋の外では2人の話し声が聞こえる。ちょっと悲しい…


『たえ てん いる』

『ありがとう。明日には皆んなに会えるから大丈夫だよ』

『フィラ よぶ しない?』

『うん。今呼んだら怒るし、ダルクさんやルカさんが責められる』

『てん よぶ いっしよ ねる』

『当たり前じゃん!』


こんな慣れない部屋で熟睡なんて無理!もふもふ毛玉無いと眠れないです。


ベッドに腰掛けたら目の前に鏡があった。丁度寝ころんだ目線上にある。夜中起きて鏡が見えるので嫌だなぁ…タオルで隠そう!

立上がりタオルを持って鏡に掛けようとしたが、少し届かない!椅子を持って来る程ではないし背伸びしたら届くかなぁ⁈思いっきり背伸びしてタオルを掛けようとした…ら!


怪我した脹脛に痛みが走りバランスを崩した。

「うわ!」

見事にこけた。次の瞬間勢いよく扉が開いた


「多恵様!何がございましたか!」


シリウスさんが凄い勢いで入ってきた。私は見事に床に転がっていた。


駆け寄るシリウスさん。思いっきりお尻を打ったみたいで直ぐに起き上がれない。シリウスさんの手か伸び手を借りようとしたら、「失礼」と抱き上げられた。びっくりして顔を上げたら目が合った。ガラス細工の様な綺麗な瞳をされている

でも…また目を逸らされた。何かしただろうか…ずいぶん嫌われている様だ。

万人に好かれようとは思ってないが、あからさまに嫌われてたらそれなりにショックだ。


「何があった!」


ラフ部屋着のグリード殿下が来た。シリウスさんに抱かれている私を見て表情を曇らす。


「シリウス説明をしなさい」


ヤバいシリウスさんが何か悪者な感じになっている。


「グリード殿下違うんです。私が鏡にタオルを掛けようとして、とどかなくて自分で転んだんです。それを駆け付けたシリウスさんが助けてくれたんです。シリウスさんは悪くありません!」


慌てて一息で話したら息切れした。それを見てグリード殿下は楽しいそうに笑い、シリウスさんは驚いた表情をしている。私また変な事言いましたか?


「多恵様の説明に間違いはないか⁈」


「はい。間違いございません」


「分かった。取りあえず多恵様をベッドに座らせてあげなさい。困ってらっしゃる」


申し訳なさそうにシリウスさんの腕の中で小さくなる私を見てグリード殿下が助け舟を出してくれた。

ベッドに下されほっとしていたらグリード殿下が「失礼」と私の脹脛を見た。湯浴みをしたから塗っていただいた薬も包帯もしていないから、赤く晴れているのが目立つ。殿下は難しい顔をしてシリウスさんに


「ジャスから薬と包帯を貰って来なさい」


「御意」


シリウスさんは部屋を出て行った。 


「さて多恵様。なぜ警護している騎士に頼まなかったのですか?そうでなくても怪我を負っているのにこれ以上何かあれば私はアルディアに顔向け出来ない。私は今貴女を保護しているのですよ。頼っていただきたい」


「殿下。薬を持ってきました」


迷惑かけない様に自分でしようと思ったけど、反対に迷惑をかけてしまった。私の悪い癖だ。

大輔にも「お前は人を頼らない。迷惑何んて思っていないから周りの者に頼りなさい」と言われたていた。昔からなぜか人に頼ることが苦手で、頼るより自分でした方が気楽になってしまった。

だから今回も自分で何とかなると思っていた。


「ごめんなさい。そうでなくても迷惑おかけしているので自分で出来そうなことはやろうと思ったのですが、反対に手間をとらせました。

殿下、シリウスさんごめんなさい。薬は自分で出来ますので、殿下はお休みください。シリウスさんもお仕事に戻っていただいて大丈夫です」


「はぁ…多恵様!私の話しを聞いていましたが?」


「えっはい。ですから無理な事はお願いします。薬位は自分で塗れますから」


「アルディアでもそんな感じだったのですか?」


「はい。いつも通りですが⁈」


「…モーブルでは女性に頼ってもらえない男は一人前として見られない。と言う事は私やシリウスは半人前という事になりますね」


「そんな事ありません!」


「ならば頼って下さい。手当をさせてもらえますね!」


「・・・はい。お願いします」


グリード殿下の迫力に負けて大人しく手当してもらう。安静にしていたらあまり痛みは感じないが、力を入れたり捻じると少し痛い。

舞踏会大丈夫だろうか…いや待て!足の怪我を理由にダンスを断る事が出来るかもしれない。

これって怪我の功名ってやつ!

何か嬉しくなって顔がほころぶ…視線を感じてその先をたどるとシリウスさんが不思議そうな顔をして見ている。

『あっまた目を逸らせれた!』初めはショックだったけど、何か腹が立ってきた。確かに私が来たせいでお仕事増えているのは分かるけど、私のせいじゃないからね!どちらかと言うと私は被害者だからね!

多分不貞腐れていたら手当てが終わっていた様で、グリード殿下が私の顔を見ていた。

焦る!グリード殿下に怒ってた訳じゃないからね…

グリード殿下はシリウスさんを見て何か悟った様に含み笑いをして、私に


「多恵様。シリウスは気難しいですが根本的に愛情深い男です。気にされる事ではありませんよ」


「へ?すみません。意味が良く分かりませんが」


「殿下!余計な事を言わないでいただきたい!」


「おや?私の見立ては間違っているのか?」


「あの…私だけ置いてきぼりになってますが…」


「殿下、多恵様!明日はアルディアまで長距離移動ですので、お早いお休みを!」


「ごめんなさい。お時間取らせて!すぐ寝ます!」


お2人共なぜか笑ってます。いいですよ!てん君抱っこして直ぐ寝てやる!



やっぱり枕が違うと熟睡出来なかった様で体がだるい・・・

ルカさんが起こしに来てくれた。2刻半なのにもうアルディアから着替えが届いている。

ルースさんとシュンさんは寝てないんじゃないの⁈ルカさんに手伝ってもらい着替えを済ませて食堂に行く。

昨日気に入ったブブ豆のパンが出て来た。ダルクさんが私の為に焼いてくれたようだ。

嬉しくて顔がほころぶ。ダルクさんも嬉しそう!

何か帰りたく無くなってきた。箱庭が落ち着いたら絶対泊りに着ますね!とダルクさんとルカさんに誓う。


出発の準備をしていたら、アルディア城を往復してくれたルースさんとションさんが手紙を預かって来てくれていた。お2人にお礼を述べて手紙をみたらグラント様だった。手紙の内容から心配してくれていたのが分かる。手紙の後半は熱烈な愛の言葉で読んだだけで赤面した。これを面と向かって言われたら卒倒しそうだ。

視線を感じるとまたシリウスさんと目が合う。も!また逸らした。嫌われているの決定だ。

あ…早くアルディアに帰りたい。


馬車が手配できないので誰かの馬に乗せてもらう。てっきりグリード殿下だと思っていたら

「多恵様私の馬に乗っていただくべきですが、私の馬は神経質で面識の無い者を乗せたがりません。シリウスの馬は温厚で体も大きく安定しているので、疲れにくいでしょう。アルディアまで約1刻馬車の様にゆったりではありませんが、ダルクの幌馬車よりはマシでしょう。我慢いただきたい」


「・・・はい。よろしくお願いします」


テンション駄々下がりだ。よりによってシリウスさんの馬なんて…乗せてもらうから文句言えない。乗ったら寝たふりでもしてやり過ごそう。

シリウスさんの愛馬の前に重い足取りで歩いて行く。グリード殿下が言った通り他の馬に比べて一回り大きい。見上げて固まっていると、馬の方から顔を寄せてきて撫でて欲しそうだ。脅かさない様に手を鼻の近くにもって行くと鼻先を手で突く。嫌がって無いようなので、そっと鬣をゆっくり撫でた。目を細めて気持ちよさそう。


「ランが初対面の人に触らせたのは初めてです」


びっくりして振り返るとシリウスさんが立っていた。シリウスさんも騎士だけあってとても大きい。思わす見上げたら目が合った。

『うわ…はぃ!また逸らすんでしょう!…あれ?』

今度は逸らされなかった。それどころか優しい眼差しを向けられている。ガラス玉の様な綺麗な瞳に目が離せない。


「シリウス。出発するぞ早く騎乗し多恵様をお乗せしなさい」


グリード殿下に声んかけられシリウスさんは慌てて騎乗し、私に手を差し伸べます。

恐る恐る手を出すと一気に馬上に引き上げられた。高い!思わず身震いすると後ろから腹部に腕を回されて後ろに引き寄せられた。

背中がシリウスさんの胸にピッタリあたりシリウスさんの体温を感じる。

ホンとに男の人の高い体温は心地いい。もう眠くなってきた。


「道中長いので寝て頂いて大丈夫です。しっかり支えていますから」


嫌わてれていると思っていたのに支えてくれる手は優しい。嫌われてると思うのは気のせい?

走り出して直ぐに眠くなって来た。昨晩熟睡してないから…シリウスさんの腕の中が心地いいからじゃないよ・・・多分・・・

温かいシリウスさんの腕の中で熟睡する事になり、あとで慌てる事になった。 



「・・・さま!・・・多恵様!」 


あれ・・・誰か呼んでいるみたい。まだ眠い…寝かせて欲しい。お布団をもっと被って寝たい!今日のお布団は薄いなぁ。。。もっとちゃんとかぶろうとして再度ひっぱたら


「多恵様。アルディア城に着きましたよ」

 

布団を引っ張った手を誰かに取られた。ゆっくり目を開けて見上げたらブルーグレーの瞳と目が合う。優しい眼差しにまた眠くなる。

「多恵様!」聞き覚えのある声に目が覚めた。声のする方を見るとグラント様がこっちを見ている。


「へ?着いたの?」


状況が分からない私は呆然としてたら長いグラント様の腕が伸びシリウスさんの腕の中からグラント様の腕の中に移動した。

グラント様の抱擁はやっぱり安心する。でも…


「グラント様苦しいです。優しくしてください」


「失礼した。お顔を良く見せて下さい。私に安心を下さい!」


色んなところにキスが降って来る。


「グラント様。人前はやめて下さい!」


体を捩ると両手を広げて固まるシリウスさんと目が合った。あれ?また逸らされない。でも分からないけど瞳が哀しそうに見えるのは気のせい?


「モーブル王国の王宮騎士団副団長のシリウス殿とお見受けします。私は宰相補佐のグラント・オブルライトと申します。この度な多恵様を保護及びお送りいただきありがとうございます。

お疲れ様でしょう。部屋を用意しております。皆さんお休み下さい」


「ご配慮感謝いたします」


「シリウスさん!色々ご迷惑おかけしました。ありがとうござい…あれ?」


シリウスさんのマントが異様に皺くちゃになっている。思わず凝視していたら、いつの間にか横に来ていたケイティさんが


「シリウス様のマントをお布団の様にして眠っていらっしゃり、ずっと引っ張っておいでであの様に…」


「マジで!重ね重ねすみません。通りで薄いお布団だと思った。でも肌触りよかったですよね…」


シリウスさんは馬から降りて徐にマントを取り、私に掛けてくれた。シリウスさんの香水だろうかオリエンタルな香りがする。


「お気に召したのならどうぞ。私はまだ予備がありますから。飽きれば捨てて下さって結構です」


そう告げると愛馬を連れてグリード殿下の元へ行ってしまった。訳が分からず立ち尽くす。

でも本当に触り心地がよくいい香りがする。


掛けてくださったのはいいが、背の低い私は引きずってしまうので、ケイティさんが畳ん持ってくれた。ケイティさんが咳払いをしてある方向を見ると、氷の様に冷たい顔をしたグラント様がいた。


「やはり、無理をしてでも昨晩お迎えに行くべきでした。また新しい虫を連れてきましたね」


虫?意味が分からず小首を傾げると、


「かわいくしても…ダメです。昨晩の事を話してもらいますよ!」


被害者なのになんで尋問されるのですか?

新しい恋の予感が!

グリード殿下がよく分からない動きをします。

何かありそうです。

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