引き抜き
現れた美丈夫は誰?
水色美丈夫の後ろからアーサー殿下が現れた。殿下顔色悪いよ!
「レオン殿!案内する旨お伝えしたはす。勝手に城内を散策されては困ります」
「すまない。私は気になると我慢できないタチでして。それよりアーサー殿ここで乙女考案のマスクとやらを作っているのだな!」
作業場内を歩き回り出す水色美丈夫。
「多恵様。落ち着いて作業をして下さい。殿下が対処下さいますから」
ミリアさんが小声で伝えてくる。頷きマスクを縫い続けると視線を感じ顔を上げた。
綺麗な水色の瞳と目が合う。別格の美丈夫さんで、今まで会った美丈夫と違うタイプだ。どう説明したらいいんだろう⁈『…あっ!悪役の美形枠』影のある美形って感じだ。目力がつよ!
目線をマスクに戻して作業を再開すると頭上で笑い声が聞こえて来た。
「この私と目が合ったのに無視をするとは!其方面白いなぁ」
「えっ?」周りを見渡すと針子さんは皆んな水色美丈夫に見惚れている。私だけが針仕事を続けていた。そりゃ目立つよね…
「其方の名は?」
「えっと…アンでございます」
「乙女考案のマスクなる物を我が国でも導入したい。腕のいい針子を連れて帰りたいのだ。其方に決めた!ベイグリーに来い」
「は?お断り致します。私はまだお勤め1ヶ月の見習いでございます。お役に立てる技術はございません」
作業場が凍りつき水色美丈夫は呆気にとられていて、アーサー殿下は頭を抱えています。
水色美丈夫は私の手を取り手の甲に口付けを落として微笑みます。針子さんは溜息を吐き殿下は苦々しい表情です。ごめんなさい!私のまわりは顔面偏差値高いので動じません。
「レオン皇太子!」
「へ?」この人が強欲皇太子?王族だけあって美形だ。でも”自分イケてる”感がいけ好かない。
「ベイグリーに来れば私の側に置き望むモノ全て与えよう」
「お戯れはおやめ下さい。恐れながら私には過ぎた待遇でそれに似合う対価は私にはありません。職務中ですので失礼致します」
気まずい雰囲気に…プライド高そうだからこれ位言ったら怒って「要らん!」て言うだろう。
「断ると申すか⁈」
怒りを含んだ地を這うような声で威嚇しています。
「私のような無作法者を連れ帰れば皇太子様の品位を下げてしまいます。お考え直しを…」
呆気に取られるの2回目ですね皇太子!いい加減諦めて!周りを見渡すと皆顔色が良くない・・・ごめん私が原因ですよね。
「そ…」
皇太子が何か言いかけた時、息を切らしヒューイ殿下が来て
「レオン殿。妖精王から乙女の体調が良くなり明後日の晩餐会には出席されると連絡が入りました。打合せがある故貴賓室に戻っていただきたい」
皇太子は私の頬を撫でて「また来よう」と告げ退室していきました。皇太子に付いてアーサー殿下も退室されます。
「多恵殿大丈夫ですか?」
「ありがとうございます。でもあの人なんでここに来たんですか?今日はフィラのところに行っているはずなのに」
「妖精王が門前払いなさった様です。どこで聞いたのか定かでは有りませんが、マスクの事を聞いた様で、針子の作業場を見学したいと申され貴賓室だお待ちいただいていたのですが…」
「勝手に来ちゃったんですね」
「はい。重ね重ね申し訳ない」申し訳無さそうなヒューイ殿下。貴方は悪くないよ…
作業場は混乱しています。針子さんに迷惑をかけたので謝罪したら、皆さん滅多にお会い出来ない王族の方に(美丈夫)を見れたと反対に感謝されました。どこの世界も女子はミーハーです。
裁縫道具を片付け部屋に戻ります。きっと明日は何処かの部屋に缶詰ですね…お仕事は1日で終わってしまいました。楽しかったのに…皇太子のばか…
寮までヒューイ殿下が送ってくれます。殿下とゆっくり歩いていたら気が抜けたようで、しゃがみ込んでしまった。ミリアさんがより早く殿下が抱き上げてくれた。
「気丈な方だと思っておりましたが、やはりか弱く愛らしいお方だ」
身を捩り下ろしてとお願いしたら
「いつも申している様に多恵殿は軽すぎる。もう少しふくよかになられても…」
ミリアさんとエレナさんの視線が冷たいのは気付かなかった事にしよう。殿下は下ろしてくれる気配は無く、大人しく運ばれてる事にしました。
あと少しで寮ってところで第2騎士団の騎士さんが3名足早にやって来て殿下に耳打ちしています。
「周囲を警戒しろ」
その言葉にミリアさんも警戒を強める。
誰が居るんだろう⁈キョロキョロしてみるけど分からない。殿下が耳元で
「鼠が彷徨いている様です。寮に戻りません」
ふと中庭を見ると光の玉がいた
『妖精さんだ。もしかしたら…』心で妖精さんと話したいと念じてみた。
光の玉は鳥の羽を持った妖精になり私の元にやって来て頬にキスをした。
てん君みたいに心で会話できるかなぁ⁈
『私の声聞こえる?』
『わかる よんでくれて うれしい』
『あのね周りに怪しい人いない?』
『あやしい わからない でも かくれる ひといる』
『どこ?』
妖精さんは背の低い茂みの上を旋回して知らせてくれた。殿下かに指を差して知らせると、茂みから人が走り去っていく。
「追え逃すな!」
騎士さんが追跡、やっぱり鼠のようです。
妖精さんにお礼を言うと嬉しそうに飛んでいった。
殿下になぜ分かったのか聞かれたけど、妖精の事は言えなかった。だって…契りの説明する羽目になるから言えない!とりあえず”何となく”と言い茶を濁した。
やはり寮には戻らずヒューイ殿下の執務室に連れて行かれた。室内には第2の騎士さんが3人と後から来たカリナさんが待機してくれています。
部屋は広いとはいえ騎士さんは大きいから圧迫感半端ない。この後どうなるのかも分からずソファーに座っているだけ。暇と疲れから巨大な睡魔に襲われています
「・・・」一撃で睡魔に負けました。
お読みいただきありがとうございます。
書きたい事が多くなかなか進みません。
気長にお読みいただきたいです。




