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7.学級委員に立候補

仕事をしながら書いているので不定期です。申し訳ありません。

 今は授業中だが、俺とみかんはサボってこっそりと2年A組の窓から阿久比さんをバレないように覗いている。


「ほら。あの窓際の席で座ってるのが阿久比さんだ」

「……………あれが阿久比志紀波」


 ノートに授業内容を書いている横顔姿も美しい阿久比さんがそこにいた。ああやっぱり好き。

 生まれて初めての生阿久比さんを見るみかんはどんな反応をするだろうか。


「確かに高蔵寺が惚れるのもわかる」

「だろっ! あの髪、あの目、あの鼻、あの口、あの耳、あの右手、あの左手ーー」

「待って。もういい。お腹いっぱい」


 まだ阿久比さんの良さの序盤の序盤の序盤なのだがみかんからストップがかかった。


「まずは情報収集から。高蔵寺の手助けをするには阿久比の情報が足りな過ぎる」


 探偵もののドラマみたいなことを言い出すみかん。


「高蔵寺の阿久比の情報はフィルターがかかっていて参考にできない」

「フィ、フィルター?」

「正確な情報がほしいから私に半日くれ。今日の夜には高蔵寺に有益な情報を提供できる」

「そ、そんなことができるのか?」

「私を誰だと思ってるの。あの千種みかんだよ」


 どのだよって言いたいところだったが、その言葉は飲み込んでおく。

 あと授業をサボった俺とみかんは先生からかなり怒られた。






 ◆







 今日も学校が終わり、自分の部屋でゴロゴロしていると誰かがドアをノックしてきた。


「高蔵寺、ちょっと入っていい?」

「おう。いいぞー」


 声の主はみかんだった。みかんが部屋に入ってくると両手にたくさんの資料を抱えていた。


「こ、これは!?」

「阿久比志紀波についての資料」

「もうっ!? こんな短時間で調べたのかよ」

「よゆー」


 みかんが顔の前でピースをする。みかんが持ってきた資料に目を通す。


「こ、この資料…………俺の知ってる情報より全然細かい」

「当然、色々と聞いたりして調べたから」


 阿久比さんの生年月日はもちろん、家族構成や好きな食べ物、今までの経歴など結構細かく書かれている。何時間読んでも飽きない。


「いくら払えばいいんだ?」

「お金はいらない。ところで高蔵寺、明日が何の日か知ってる?」

「明日…………………わからん」

「そっか」

「すまんな。なんかあるのか?」

「おやすみなさい」


 資料を置いたままみかんが部屋から去っていた。


「えっ教えてくれないの?」


 明日が何の日か気になって俺は中々寝ることができなかった。




 ◆





 翌日。みかんが言っていた何かがある日だ。ホームルームの時間で俺たちのクラスは係決めをしている。今のところ何も大きなことは起きていない。


「えー今からE組の学級委員を決めたいと思います」


 担任の守山先生が黒板前に立ち、気だるそうに言う。

 学級委員なあ……。どうでもいいや。まあ適当に誰かがやるだろう。


「じゃあ学級委員やりたいっていう人、手を挙げてー」

「はい」


 女子は蒲郡だけが手を挙げる。じゃあ女子は決定だな。残りは男子だけだ。早く誰でもいいから立候補してくれねえかな。


「おっすんなり決まったな。じゃあ学級委員は蒲郡と高蔵寺で大丈夫かー?」

「はあ? 何で俺なんだよ?」

「えっ? だって手挙げてるから」

「ん?」


 確認すると俺の右手が元気に手を挙げていた。指先までピンピンだ。


「何でっ!?」

「いや知らんよ。自分で挙げたんでしょ」

「違う違う。俺は手を挙げてない!」

「じゃあ今あなたが挙げてるその手は何?」


 この、下がれっ…………。全っ然下がらないっ!! い、石みたいに硬てぇ………。


「ぐっ……くぅっっっ……はぁ!」

「……高蔵寺、後で保健室行ってこいよ」


 必死の抵抗も実らず黒板に『学級委員→高蔵寺』の文字が書かれてしまった。


「はいじゃあ学級委員は蒲郡と高蔵寺で決定ー。高蔵寺、もう手は下げていいぞ」


 先生から許可が出た瞬間、机に俺の右手が勢い良く叩きつけられる。


「痛っっっったっっっっーーー!!」

「…………ほ、本当に大丈夫か高蔵寺?」







 ◆





 係決めが終わり、保健室から帰ってきた俺はある人の机の前に立っている。


「…………みかん。大事な話がある」

「わかった」


 昨日同様、人気が少ない廊下にみかんを連れ出した。


「お前、使ったろ?」

「うん使った」


 あっさりと自白した犯人みかん。包帯が巻かれている俺の右手が視界に入っているはずだが、悪びれる様子もない。


「見ろこの手をっ! めちゃくちゃ痛かったぞ!」

「ごめん」

「見ろこの心をっ! 皆からの視線、めちゃくちゃ痛かったぞ!」

「ごめん(笑)」


 こ、こいつ…………。殴れるなら殴ってやりたい。でも殴れない…………。


「…………何で学級委員なんか、俺はあんなめんどくさそうなことやりたくないぞ」

「はぁ……。高蔵寺は何もわかってない」

「ああん?」

「阿久比がA組の学級委員に立候補するつもりらしい」

「そうだろうな。阿久比さんは1年の時も学級委員だったらしいし、人望もあるからまず学級委員になるだろう」


 そんなこと既に知っているに決まってるだろう。何で今さらそんなことを俺に…………。


「はっ! まさかみかん……」

「そう。学級委員は委員長会議に出ないといけない」

「もし、俺が学級委員になったら阿久比さんと合法的に会うことができるのか」

「ざっつらいと」

「さらに自然に話しかけることもできる」

「いぐざくとりー」


 て、天才だ。天才がここにいる。


「まずはどうあれ高蔵寺が阿久比と接することができる機会を増やすことが大事。動かないと何も起こらない」

「…………みかんさん」


 思わずさん付けをしてしまうくらい、俺は今みかんのことを尊敬している。右手? そんなものいつまでも気にするのは小さいやつだ。


『クールでカッコいい美人なあの娘を惚れさせたいっ!~恋愛チキンの俺は好きな人を惚れさせるために、未来からきた超能力少女の力を借りる~』読んでいただき本当にありがとうございます。




誤字・脱字があったら申し訳ありません。




続きが気になる、面白いと思ってくれた方は感想や高評価、ブックマーク登録の方をどうかよろしくお願いします!




これからも日々努力していきます。




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