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5.家族紹介

仕事をしながら書いているので不定期です。申し訳ありません。

「ただいまー」


 ファミレスから歩いて約10分、ようやく我が家に帰って来ることができた。


「お帰りなさい遅か…………」


「おじゃまします」


 玄関まで出迎えに来てくれた母さんが俺の隣にいるみかんを見て固まる。


「…………た、たたた大変大変大変よっーー!!」


 10秒ほど固まった後動き出したかと思うといきなり大声を発した。家中に母さんの声が響き渡る。


「何なんだ騒がしい。静かにせんかっ!」


 母さんの大声に仕事が終わりにリビングでくつろいでいた父さんがイライラしながら玄関へやって来た。


「伊織が女の子を誘拐してきたの!」


「な、なにぃ!」


「んなわけあるか」


 この人たちは息子をどんなやつだと思ってんだよ。みかんの前でこんなやり取りを見せて…………恥ずかしいな。





 ◆






「千種みかんです。よろしくお願いします」


「「おおぉ……」」


 みかんの自己紹介を聞き終わった両親から拍手がパチパチと起こった。いや何の拍手だよ。

 玄関からリビングに移動し、俺とみかんが隣同士で机を挟んで父さんと母さんが座っている。


「…………伊織説明しなさい」


 拍手をし終わった父さんが俺にこの状況になった経緯の説明を求めた。


「えっとみかんはーー」


「もう下の名前で呼ぶ仲なのっ!」


 話し出しで母さんが机から身を乗り出し俺に近づいてきた。

 ええい暑苦しいな。母親の顔をこんなにアップでは見たくないわ。


「近いから離れろよ。いやまず話をーー」


「高蔵寺とはマブダチです」


 おいっ話をややこしくするなよっ! みかんの顔を睨むがみかん本人はケロッとしている。


「伊織っ!! ちゃんと説明しなさい!!」


 ほらこうなるだろ。父さんも机から身を乗り出して俺に近づいてきた。父さんの顔のアップなんて母さんより見たくない。


「…………今からするから。頼む、一回静かに聞いてくれよ」


 これじゃあ話が進まない。興奮している父さんと母さんを宥め、ようやく説明を始めた。


「みかんは家出してきたんだ」


「い、家出?」


「親と喧嘩したらしくてな。帰りたくないらしくて、こんな暗い中河川敷で一人でいたから心配で連れてきた」


 ファミレスから家までの帰宅時間でみかんと一緒に考えた嘘だ。10分で考えた割には上出来だと思う。


「そ、そうなの。大丈夫みかんちゃん?」


 母さんから話を振られたみかんがチラッと俺の目を見る。いいぞ見せてやれお前の演技力をっ!


「ダイジョウブデース」


 おいおい演技力ゼロかよ。誤算だった。これは嘘だとバレても仕方ないな。


「そう…………強い子ね」


 怪しまないのかよ。想像以上に棒読みだったが両親は気にならなかったのかそのまま話が進んでいった。


「それで何日くらいみかんちゃんは家にいる予定なの?」


「えーと…………に、二、三年くらい」


「その喧嘩本当に大丈夫なのっ!?」


 再び母さんが机から身を乗り出してきた。

 やばい失敗したか。選択をミスったな。この場では二、三日とか言って終わらせておくべきだった。


「今両親は海外に行ってて」


 俺が悔やんでいる間にみかんがすかさずフォローに入ってくれた。ナイスフォロー。

 みかんにフォローしてもらったのはいいが、さすがにこの設定は無理があるかもしれないな。

 いくら両親が大のお人好しでだいぶ抜けている人たちだからといってもこの即興で作った子供の嘘には騙されないか。


「子供と喧嘩してすぐに海外に行くなんてけしからんっ! みかんちゃん、何年でも家にいなさい」


「そうよ。みかんちゃんは今日から私たちの娘よ。使ってない部屋があるから好きなように使ってね」


 おいおい騙されたよ。やったぜ。

 …………いやこれは喜んでいいのか? こんなボロボロの穴だらけの嘘に騙されてしまう俺の両親は本当に大丈夫なのか、少し心配だ。


「わーい。ありがとうございます」


 ともかくみかんの宿の確保には成功したことは間違いない。






 ◆




「何とかなるもんだな」


 夕食も食べ終わりお風呂も入ってあとは寝るだけとなった状態で俺の部屋に集合するみかん。


「高蔵寺のお父さんとお母さんはいい人だね」


「…………まあな」


 中学時代に数えきれないほど迷惑をかけてしまったがそれでも見捨てずに育ててくれたことは本当に感謝している。


「みかんは学校どうするんだよ?」


「それはオフレコ」


「なんだそれ。助けに来てもらった立場で言うのも何だが学校は行かないと駄目だぞ」


「大丈夫だよ。こっちでも学校には絶対にいくから」


「……ごめんな。本当は何かやってあげれたらいいんだけどよ」


「気にするな」


「そうか。まあ今日はとりあえず寝るとするか。超疲れたわ」


「うん。おやすみ高蔵寺」


「おう。おやすみなみかん」


 みかんは大丈夫って言っていたが本当だろうか。学校に入るのに手続きがいるって聞くし。それをそんな急に揃えられるのか。

 みかんの心配や今後のことについて色々と考えていたが、今日一日のバタバタな出来事の疲れからあっという間に眠ってしまった。

『クールでカッコいい美人なあの娘を惚れさせたいっ!~恋愛チキンの俺は好きな人を惚れさせるために、未来からきた超能力少女の力を借りる~』読んでいただき本当にありがとうございます。


誤字・脱字があったら申し訳ありません。


続きが気になる、面白いと思ってくれた方は感想や高評価、ブックマーク登録の方をどうかよろしくお願いします!


これからも日々努力していきます。



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