クラッシュ!! ~百難有ろうと今日も無事が一番~
どんな事でもネタにする。それが稲村某流である。
※ご注意※
道路交通法に照らし合わせなくとも、運転の際は節度と注意を払い、安全運転を心掛け、何よりも自他の区別なく全ての命に配慮をする事。
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毎度ながら定番のご挨拶。
はじめましての皆様には初めまして、そしてお馴染みの方々には毎度お馴染みの稲村皮革道具店本館。長いので自称は稲村某、最近はイナボーと軽く自己紹介をしている、変態紳士を目指す物書き……の、端くれです。
堅ッ苦し~い挨拶はここらで打ち止めにして、気楽に書きましょうかね? その方が楽チン快適ウヒャヒャのヒャじゃねぇ?
……まー、先に言っておくと、事故った。
不幸中の幸いにして相手が存在し無い、只の単独事故だったけど、結果は中破である。某ソシャゲ的には
「……っく! 油断したか……だが負けぬ!!」
みたいな感じじゃね? 服破けたおにゃのこが涙目で訴えながら修理に回される体でさ。……やったことないけど。
では、事の顛末を。
四日前の深夜、勤務先の店舗を後にした稲村某。車を走らせ帰宅の路に着いたのだが、時間が時間だけあり道路はガラガラ。
片側二車線の国道バイパスを法定速度を大幅に超過しながら走ると、不意に雨が降り出した。
(……面倒だな。早く帰りたいってのに……)
心内で舌打ちしつつ、しかし速度は維持したまま走り続けた。やがて雨足は更に強まり視界も悪化。思わぬ悪天候に我が身を呪いながら幾つかのオーバーパス(交差点を回避する為の陸橋)が続く箇所に差し掛かった。
雨はほぼ豪雨に等しい激しさになり、車体底面に跳ね飛ぶ水飛沫が轟音と化し、路面に大きな水溜まりが点在している事を物語っていた。
……はぁっ? ……轟音ッ!? いや、不味くねぇかッ?
と、思った瞬間、唐突に車が横滑りした。
予め説明しておくけれど、我が愛車は典型的な国産FF車。四輪駆動でもない、普通の車である。そして稲村某はサーキット走行経験者、でも無い。咄嗟にハンドル操作はしたが、とっくの昔に焼け石に水状態。
一度制御を失った車は、容易く路肩に接触。更に勢いを失わないまま車体を大きく振りながら右後部そして右前部を中央分離帯へと叩き付けて、やっと車は速度を落として二車線の左側で停車した。
停車した瞬間、まず最初にした事は車両のハザードランプを点灯させて後続に報せると同時に、エンジンを停めた。
そこからは焦りと苛立ちで我を忘れかけながら、何故か自らの手で飛ばしてしまったメガネ(何かの操作をしようとして停車後に飛ばした)を慌てて探し、それを着けながらやたらと曇るレンズに苛立ち、その原因がエアコンを切って湿度の上がった車内だと判ると改めて車のエンジンを動かし、ゆっくりと陸橋上から路側帯の有る合流地点まで進めていった。
【……はい、こちらは○○共済自動車保険、事故対策ダイアルの○○ですぅ】
気の抜けそうな位のハイトーンな若い女性のオペレーターと会話し、レッカーの手配と事故対応手続きをし、手持ち無沙汰になって車外へと出た。
……傷付いた車体、あらぬ方向を向いた右前輪、そして深夜十一時半。
お盆休みで超多忙、明日(あと三十分で今日になるが)も朝から仕事である。一先ず店舗の上司に事の成り行きを説明し、「とにかく店に来てくれれば何とかなる」との暖かいお言葉を頂きつつ、やがてやって来たレッカー車の助手席に身体を預けた。
【……今日も日本一早い目覚ましのベルと共にお送りいたします!】
ラジオから耳馴染みのある言葉が流れ、日付が変わり今日の朝7時には店舗に着かないといけない事を思い出して、憂鬱な気持ちが更に増す。
「……身体は無事だったんでしょ? だったらよかったじゃない……」
まだ起きていて、異常事態に慣れっこな三次元嫁にそう言われながら、出勤時間と電車通勤する事を話す。上司よりも先に連絡した三次妻は「すぐ短気を起こしてつまらない失敗をするんだから、治さなきゃダメだよ?」と今更な事を言いつつ、始発で勤務先へと向かう為に炊飯器のタイマーを変更してくれた。
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ノハ゜⊿゜)<いきなりAAで悪ぃけどよ、そこは広い心で許してくれ。ワタシはホーリィ! イナボーの作品に出ているヒロインだ!
(イナボ)<……ヒロインっちぁヒロインか? まぁいいか。作者の稲村某(イナボー)だ。
ノハ゜⊿゜)<おい死に損ない! さっさと小説書けよ! オメーが書かないといつまで経っても動けなくて退屈なんだよ!!
(イナボ)<確かに! でもまぁ、↑こんな事があって、もともと一日当たりの執筆時間がなかなか取れない日々に壊滅的打撃を被りました。
ノハ゜⊿゜)<心配はしてねーが、身体は無事なのか?
(イナボ)<お察しの通り、ピンピンしてる。過酷な勤務状況のせいで膝の持病が悪化しつつあるけれど、事故の影響は皆無だと思う。
ノハ゜⊿゜)<もう小説は書かないのか?
(イナボ)<書く書く!! ただ、もともと現行作品がながら執筆だったので、呼び水になる書き出しが思い浮かばず困っているのは事実。自分が凡人だとつくづく思うよ……HJ大賞も落ちたし。
ノハ゜⊿゜)<久々の電車通勤ってどんな感じだ?
(イナボ)<学生時代は電車通学だったから、読書の時間に割り振ればいいか? と思ったが睡魔に負けて乗り越したり(最終電車でね!)、車通勤なら作業着並みのボロいシャツでも平気だったのに、通勤用に別のシャツを用意したり……久々に新鮮な緊張感を得られたよ。
ノハ゜⊿゜)<退屈してんのか?
(イナボ)<……行きの車内は眠くてタブレットは見てられないし、帰りは疲れ切って目が限界……それに冷房が効いてるとタブレットの表面が結露して誤打されまくりで執筆なんて全然出来ん……スマホ派の皆さんはどーなんだろうか?
ノハ゜⊿゜)<……で、車はどーなった?
(イナボ)<先ほどディーラーに預けてきたが、見積り前でもかなり深刻な状態で、全損(修理費が現状車両価格を越える可能性)もあるらしい。金無いから笑えないよ、マジでね。
ノハ゜⊿゜)<……代車は?
(イナボ)<それが最新型の同型車だったけど、別世界の乗り物みたいで軽くうっとり。どっちにしても安全運転しなきゃダメだけどね。
……と、言う感じです。車に乗らない皆様には全く実感は無いだろうけれど、乾燥した路面と濡れた路面では、性能に関係無く危険度が飛躍的に増大する。いつもなら問題ない状況でも、中央分離帯や遮蔽壁を飛び越して人生オワタ!! に為り兼ねないので冷静且つ安全重視で運転してください。
最後になりましたが、少なからずご心配お掛けして申し訳ありませんでした。これからも皆様のご期待に少しでも近付けるよう、執筆に励みますので宜しくお願い申し上げます。
ノハ゜⊿゜)ノシ<じゃ、作品でまた会おうぜ!!
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……おまけ。
事故報告ついでに、過去に稲村某が経験した事故の事を話そうか。
あれは19才の時。北海道ツーリングに赴いていた稲村某は、雨が降る中、道央を北上し襟裳岬を目指していた。
片側二車線の広い道(路肩の無い都市間を繋ぐ国道)を走行していたが、前方を走るトラックを追い越そうと右側車線に出て加速、派手に水飛沫を上げながら400ccのレーサーレプリカのギアを掻き上げた。
ぐに、と不思議な感触を前輪に感じた瞬間、雨の溜まった轍にハンドルを取られたバイクはその場でスピン。トラックと並走したまま稲村某は路面に投げ出され、バイクと共に水に濡れた路面を滑走していた。
真横にはトラックの車輪、後方には滑走するバイク。自分の身体はカッパのせいか水の上を止まらず滑らかに滑り続けていたが、やがて停止し何とか立ち上がった。
横転していたバイクから奇跡的に荷物は落下もしていず、稲村某は急ぎバイクに駆け寄り起こして路肩に停車させ、止まっていたエンジンを再始動させてみる。
……キュ、キュルル……ボボボボボ……
安定してアイドリングする愛車に一安心し、先に停まって待っていてくれた仲間と合流。心配する彼等に笑いかけながら身体は無事だ、と伝えて先を目指し、また走り始めたが、
……一歩間違えば、俺はトラックのタイヤに巻き込まれて死んでいた。そう思った瞬間、膝と腕が震え始め、暫く収まる事は無かった。
バイクに乗って二年目の夏、若かりし頃の稲村某はその時、【死】を初めて実感した。
その後、バイク便の会社に勤めて数年後。
帰社途中で某所の運送会社の出入口付近に見慣れぬ人溜まりがあり、何事かと近寄ると、大型トラックの左折に巻き込まれた小学一年生の女児が倒れて救急車を待つ状況に遭遇した。
たまたま非番の救急隊員が居て、冷静な判断で現場を指揮する中……何か出来る事は無いかと女児に近寄り、力無く垂れた手を取り、声を掛けながら必死に言葉を掛けた。
「大丈夫だよ! もうじき救急車が来るから、それまで頑張るんだよ!!」
声を掛けながら、彼女の身体を見る。
だが、頭部はやや歪み、目を閉じたまま口を半開きにした状態で、どこから出たのか判らない血液はややどす黒く、ゆっくりと路肩に向かって流れていた。
……救急車で運ばれた彼女は、翌日の新聞の事故欄に載っていた。
……即死、だったのだろう。搬送先の病院で死亡が確認された、そうだ。
それ以来、稲村某の頭の中には、人の死って奴が必ず存在する。
……まぁ、自分に関しては相変わらず、無頓着なのだが。
良い子のみんなは真似しないでね!!