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景観の楽園  作者: 野毛井 九九菜
第1章 行方不明の少女
12/29

12 : 待人 来る

「ふっざけんなぁー!!」


「「・・・」」


「いやいやいや、分かるわけないじゃないか! 普通思わないって! 神社に人が住んでるとかぁ!」


 それについては、全くの同感だった。

 恐らく誰も思わない。神社に人が住んでいるなんて。(住んでいるというより、ただの居候である)


「っていうか、え!? 私、朝ここの前を通ったよね? な~んだ、近くにいたんじゃん。私の1日無駄になっちゃったよ~」


 と、彼女は膝を付き、その場にへたり込んだ。


「オイ、石黒。この子がお前の言っていた、例の女の子か? 私を探しているっていう・・・」


「・・・」


 その質問に、答える者はいない。


「・・・あれ? 石黒?」


 なぜなら既に俺は、興梠の目前にいなかったからである。

 我ながら、あっちへ飛んだりこっちへ飛んだり、忙しいヤツだと思わされるが、今回もさっきと同様にぶっ飛び、少女の前に移動していたのだ。

 少女のへたり込んだ体を起こし、両手で肩を握っていた。


「おっ・・・お、お・・・!」


「・・・えーっと、ん? 肩が・・・痛いんだけど」


 ググググググ・・・


「お前―――!!」


 全力で肩を揺らした。


「ちょっ、ちょっと待って! 肩が・・・肩が外れる!」


 少女の肩を揺らすには、いささか力が強すぎたらしい――とはいえ、別に力を弱める気なんてなかった。

 無論、怒っていたわけではない。喜んでいたのである。

 一体どうやってここまで辿り着いたのか。そもそも俺の、あの遠回しすぎる説明が通じたのか通じなかったのか、なんてもうどうでもいい。

 今はただ、ここに来てくれた少女に対し、感謝の限りだった。


「よく来てくれた! ありがとぉ―――!!」


 ブンブンブンブン


「? ? !? ????」


 少女の方はまだ、何が起きているか理解できていないようだ。

 “困惑”という言葉をそのまま形にしたような顔で、されるがままにされている。


 可愛いなぁ、オイ。


「興梠! こいつだよこいつ! 俺が朝に会ったっていう、例の女の子は!」


 肩を揺らすのを止め、少女の体を興梠に見せる。


「見ろ! この巨大なおっぱい! 厚い服を着てるから、ちょっと分かりにくいけど、ひょっとしたら、お前のよりも大きいんじゃねぇの?」


「・・・」


「こんなおっぱいばっかりに栄養をあげて、背は小さいままの女の子なんて、世界にあと2人もいてたまるか!!」


「そうそう。全然成長期が来なくて困ってるんだよ。でも大丈夫! おっぱいを押したら代わりに背が伸びるからね・・・って、そんなわけあるかー!」


 ノリツッコミ


 すげぇ・・・。

 俺が思っていないところまでツッコんでくる。


「オイ君! 初対面のくせにかなり失礼だな! 悪いけど君に用はないから、早く手を放してくれ!」


 やっと状況を理解した少女が、俺に怒鳴りかかってきた。

 ひどいなぁ・・・事実を言っただけだろうに。


 っていうか、ん? 初対面?


「あれ? お前、俺のこと覚えていないの!?」

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