12 : 待人 来る
「ふっざけんなぁー!!」
「「・・・」」
「いやいやいや、分かるわけないじゃないか! 普通思わないって! 神社に人が住んでるとかぁ!」
それについては、全くの同感だった。
恐らく誰も思わない。神社に人が住んでいるなんて。(住んでいるというより、ただの居候である)
「っていうか、え!? 私、朝ここの前を通ったよね? な~んだ、近くにいたんじゃん。私の1日無駄になっちゃったよ~」
と、彼女は膝を付き、その場にへたり込んだ。
「オイ、石黒。この子がお前の言っていた、例の女の子か? 私を探しているっていう・・・」
「・・・」
その質問に、答える者はいない。
「・・・あれ? 石黒?」
なぜなら既に俺は、興梠の目前にいなかったからである。
我ながら、あっちへ飛んだりこっちへ飛んだり、忙しいヤツだと思わされるが、今回もさっきと同様にぶっ飛び、少女の前に移動していたのだ。
少女のへたり込んだ体を起こし、両手で肩を握っていた。
「おっ・・・お、お・・・!」
「・・・えーっと、ん? 肩が・・・痛いんだけど」
ググググググ・・・
「お前―――!!」
全力で肩を揺らした。
「ちょっ、ちょっと待って! 肩が・・・肩が外れる!」
少女の肩を揺らすには、いささか力が強すぎたらしい――とはいえ、別に力を弱める気なんてなかった。
無論、怒っていたわけではない。喜んでいたのである。
一体どうやってここまで辿り着いたのか。そもそも俺の、あの遠回しすぎる説明が通じたのか通じなかったのか、なんてもうどうでもいい。
今はただ、ここに来てくれた少女に対し、感謝の限りだった。
「よく来てくれた! ありがとぉ―――!!」
ブンブンブンブン
「? ? !? ????」
少女の方はまだ、何が起きているか理解できていないようだ。
“困惑”という言葉をそのまま形にしたような顔で、されるがままにされている。
可愛いなぁ、オイ。
「興梠! こいつだよこいつ! 俺が朝に会ったっていう、例の女の子は!」
肩を揺らすのを止め、少女の体を興梠に見せる。
「見ろ! この巨大なおっぱい! 厚い服を着てるから、ちょっと分かりにくいけど、ひょっとしたら、お前のよりも大きいんじゃねぇの?」
「・・・」
「こんなおっぱいばっかりに栄養をあげて、背は小さいままの女の子なんて、世界にあと2人もいてたまるか!!」
「そうそう。全然成長期が来なくて困ってるんだよ。でも大丈夫! おっぱいを押したら代わりに背が伸びるからね・・・って、そんなわけあるかー!」
ノリツッコミ
すげぇ・・・。
俺が思っていないところまでツッコんでくる。
「オイ君! 初対面のくせにかなり失礼だな! 悪いけど君に用はないから、早く手を放してくれ!」
やっと状況を理解した少女が、俺に怒鳴りかかってきた。
ひどいなぁ・・・事実を言っただけだろうに。
っていうか、ん? 初対面?
「あれ? お前、俺のこと覚えていないの!?」




