06 アルマ君、それは急展開すぎる!
多分私を連れて行くかについて無言の話し合いが行われたんだと思う。
おもわず小学生で転校した時に、はじめて「いーれーて!」をやったときを思い出しちゃったよ
「そうか、王都を出奔したと後で聞いてからずっと気にかけてはいたんだ。でも魔王討伐を優先せざるを得なかった。その旅が終わった今、偶然、こんな所で会えるなんて思わなかった。雑用なんかさせない。何も言わずにオレと一緒に来てくれないか」
え?
ただでさえ隠れイケメンから勇者にクラスチェンジしてさらに大人びて魅力度があがったアルマ君が斜め45度から見下ろして一緒に来てくださいといってきた!?
何これいつの間にフラグ立ててたの? 再会直後にこんな甘い雰囲気出されるとか、気持ちは嬉しいけどこっちの気持ちの準備が出来てないっていうか……
――なんか嘘くさい。
舞い上がった感情はすぅと下りて平常心にきりかわる。
「急いでるかも知れないけど、状況とここにきた理由を教えて? 見たとおり三下くらいなら倒せるようになってるし、これから魔法が消えるなら身体系スキルの持ち主は需要があるんじゃない?」
エヴァが反射的にびくっとした。さっきラジオで魔法が消えるって聞いたときと、きっと同じ顔をしてる。どんな顔かは――わからない。
「そうだな。魔法が消える事を知ってるなら、原因も知ってるよな?」
そういってアルマ君がキリッとした顔をへらっと崩して笑った。そこ笑うところ?
「うん、さっきムゼル陛下が雑に言ってるのをラジオできいた」
「あー、ムゼルのアレか。結構前に録音してた奴だな」
あ、あれ録音だったんだ。まあどうでもいいけど。
「じゃあ世界樹を魔王が破壊したって話も聞いてる訳だ」
アルマ君が湖面の向こうを眺めながら聞いてきた。
「? うん、いってたね」
「世界樹さ、俺が切り倒したんだ」
”世界第一級の犯罪をカミングアウトされた!”
「本当?」
「本当」
本当かー。
放送で陛下は魔王が世界樹を破壊したっていってたけど、確かに実は勇者が壊したなんていえないよね。
「わざとじゃないよね?」
「わざと。あえて」
爽やかに言わないで? あえてを重ねてくるのも陪審員の心証悪くするからね?
「理由、あるでしょ?」
さすがにあるよね? 勇者が犯行動機のない愉快犯だったらどうしよう。
「ある。魔王を倒すために必要だった」
笑顔が消えたアルマ君の顔はすべきことをし、後悔をねじ伏せた顔をしていた。
短い人生でそんな人見たことないけれど、もしもいるなら、今のアルマ君がそうなんだろう。
まさかの告白、という事で話が動きだしました。
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