03 来訪者達
急いでセルフビルドした自慢の家から古い盾と剣を持ちだして草むらに隠れて馬車を待つ。
武器は王都を去る時に陛下から下賜されたものだ。
――まーセンベツってやつ? 魔法が無い時代に作られたから魔導機構なんてねーけどさ、そもそもお前魔法つかえねぇからいらんじゃん? 宝物庫でホコリかぶってるよりましだからもってけよ。
渡された時もホコリをかぶっていたので、見送りに来てくれた鞠子にクリーンをかけてもらった。
センベツなら綺麗にしとくべきじゃない? ほんと雑だったなあのチャラ王!
でもさすが宝物庫にしまってあっただけあって、使い勝手はすごくいいんだよね。
盾は魔法を受けても傷一つつかないし、たまに出る魔物も一刀両断できるし。
あの馬車が敵だったら……いやだな。
この世界の戦闘は基本魔法でしかされない。
皆一応は帯剣しているけど、それは古代の名残。魔法を操る際の依り代として使っているので魔法の杖とさほどかわらない。
なのに私は人を斬った経験がある。魔法が使えなかったから。
王都での訓練には盗賊の拠点を潰すというものがあった。
私だけ他の皆とは違う場所に連れられて、護衛の騎士達が遠距離で魔法を撃つ中、私だけ至近距離で殺してこいって言われた。
死にそうになったから泣きながら斬った。
だからじゃないけど、王都を去ってしばらくふらふらした後、あえてこんなへんぴな場所に家を建てた。
当然女一人で住んでいれば盗賊がよってくる。そして正当防衛が成立する。
トラウマ治療「数をこなせば最初の1回ぐらい誤差だよ」法だ。馴れともいうね。
どうせ殺人という罪の重さを問えば、そこらの人達も生き残るために魔物も人もそれなりに殺している。
この世界ではたまたまレアだっただけで、異世界テンプレならみんな至近距離でサクサク殺しているし、そんなもんだろうと思う。
やなものは嫌だけど。
「ん? もう一台?」
敵だったらどうやって処理しようとか考えていたら2台目の馬車がきた。状況からして先を行く馬車を追っているんだろう。
「もう少し様子みようかな」
とはいってももう馬車は目の前だ。開けた草地に二台の馬車が滑り込んでくると同時に人が次々に飛び降りてきた。
「ここで迎え撃つ! 城に入ればまだ補充はきくんだ。マナを惜しむな!」
出てきた仲間に指示を出しているのは鈍い色のマントに胴鎧だけをつけた青年――
――アリマ君!?
(一部編集済み)
【余談 】
チャラ王の宝物庫は基本どんな宝物もホコリをかぶっています。なぜなら宝物庫に臣下は入れず、入るのは王族だけだからです。そして王族は代々雑な家系……
【ちょっと真面目な話】
作中ルカはトラウマを、同じ経験を繰り返す事で克服したと考えていますが、
彼女はそうしてしまい、結果的に上手くいっていった幸運なパターンです。
根性でトラウマ克服できれば世話ないよ! という話ですね。
男主人公ものです。よろしければ見てください!
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元英雄は壁をつくる ~やりすぎ専守防衛による最強国家建設~
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